消費税増税を前に~あきらめるのではなく、これから出来ることとは!?~




明日、10月1日から消費税率が10%に上がりますが、


その直前の日に藤井聡京都大学教授(元内閣官房参与)のコラムをご紹介します。



【増税は「リーマンショック超え」の大災厄を招く】
https://president.jp/articles/-/30039

▼97年3%→5%から始まった日本の凋落
消費増税で何が起こるかが、知られていない

2018年末まで6年間、内閣官房参与として内閣府に在籍していましたが、消費増税を推し進める財務省の大変な強さを感じました。政府、国会、野党、学会とあらゆる領域に増税推進派が多数を占めているんですが、そういう状況をつくり出したのは明らかに財務省。マスメディアにも大きな影響力を持ち、財界に対しても、社会保険料の負担を軽減したり法人税を減らしたりするのとバーターで増税に賛成させるという形で影響力を使っています。

財務省の勝利の最大のポイントは、経済学者を押さえたことです。

学者が真実を語れば、それがメディアを通じて政治家と世論に伝わり、増税を止める状況をつくれたかもしれませんが、吉川洋(東京大学名誉教授)、土居丈朗(慶應義塾大学教授)、伊藤隆敏(東大・一橋大学名誉教授)といった主流派の経済学者がほぼ全員財務省の意向を汲んでいますから、その意向に反するような情報はメディア上ではごく少ないという状況が長く続きました。データそのものは政府が隠さずに公表していましたが、それをちゃんと加工してメッセージを伝えるという作業を、経済学者、エコノミスト、ジャーナリストがほとんど行ってこなかったのです。


(中略)


まず、増税した瞬間に個人消費がほぼ増税分だけ減ります。なぜなら、家計の出費額はモノの購入と税金とに分けられますが、今どき国民の可処分所得の金額は増税する前でも後でも別に変わりませんから、家計の出費額もそのまま。だから、税金が増えればモノの購入額は必然的に減ります。単純な話です。すると、実質的な需要が減って、必然的に売れるモノが減るわけです。

この短期的な影響以上に恐ろしいのは、消費の伸び率への影響です。ご存じのように日本のGDP(国内総生産)の半分から6割程度を個人消費が占めるわけですが、その消費の「伸び率」は、税率が3%から5%に、5%から8%に上がった際、増税前の半分になっているのです。


(中略)


この間の経済の変化についての読者ご自身の肌感覚や、平成の日本の経済・産業史を思い起こしていただくと、消費増税以後の平成期に、日本と日本人の未来がどれだけ奪われたかが、容易にご想像いただけると思います。所得が減り、消費が減る。そして国民が貧困化し、経済が下落し、政府の収入、税収が減る。さらに国民経済の規模そのものも停滞し、衰退していく。国力そのものも相対的に下落し、国際社会における地位も低下しました。

かつては世界の18%を占めた日本のGDPも、今は6%程度です。尖閣列島問題が起こったのは、中国にGDPを抜かれた10年の9月でした。こうして日本は後進国化していくのです。単に、消費者がかわいそうだから、というだけが増税反対の理由ではありません。


「借金は全部返せ」という強迫観念が利用されている

90年代に入るまでの日本経済は、経済企画庁や建設省などが投資を行い、それを通して実際に成長し続けていました。しかし財政緊縮派が強くなった90年以降は、財務省の緊縮の圧力が強くなり、その結果、投資が先細りとなり、経済産業省や官邸などが主導する「構造改革」で成長しようという路線に変わりました。

つまり、財務省が「カネはない。経済成長したいならカネを使わずに何とか適当にやれ」という態度を取ったがゆえに、官邸を中心として編み出したのが、構造改革路線だったのです。デフレの日本が、投資せずに成長するなんて錬金術のようなもので、事実上不可能。構造改革は、緊縮財政の鬼っ子で、いくらやっても景気は良くなりません。


(後略)



…。


ご自身の内閣官房参与時代のご経験なども踏まえられており、


かなり読み応えのある内容です。


残念なのは、これほど経済・財政に関して深い見識をお持ちの方を


政策のアドバイザーである内閣官房参与に起用していたにも関わらず、


緊縮財政路線を継続した(している)安倍政権です。


それほど、財務省ほか緊縮財政勢力の力が強いということでしょう。


記事の中で興味深いのは2点。


1点は、90年代以降、財務省主導の緊縮財政路線が勢いを増す中で、


それでも何らかの経済政策を実行するために、


構造改革を続けてきたことです。


供給が需要を上回るデフレ期に、


供給力を高める構造改革なんて行っても逆効果なだけ、


というのは当たり前の話なのですが、


そんな中で構造改革が推し進められてきたのは


そういったことも背景にあったのですね。


もう1点は、


財務官僚は緊縮財政が国民を豊かにしていないことに


もう気が付いているにも関わらず、


そうした見たくない現実に目を背けている、ということです。


財務官僚の気持ちは分からないでもないですが、


国の動きを決めるエリートであるならば、


そんなくだらない自己防衛意識は金繰り捨ててほしいものです。


…。


ともあれ、消費税増税阻止に向けて自分のやれることをやってきた立場からすれば、


今回は完璧に敗けです。しかも完膚なきまでに…。


しかし、重要なのは僕らが諦めない限り、


緊縮財政路線との闘いは続く、ということです。


財務省などは、すでに10%からのさらなる税率引き上げの議論を始めています。



「さらなる増税の在り方焦点=安定的な税収確保「不可欠」-政府税調」
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019090401063&g=eco



正直、政府の経済センスのなさには呆れてしまいますが、


政府がそう出るのならば、粘り強く反対するしかありませんね。


明日からも、消費税のさらなる引き上げ阻止と、


減税・廃止に向けて、自分のやれることを地道に続けていきます。



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農業は国民を食わせることが本分~今、農政に必要な意識とは?~




現在の政権が成立してから、


農業に関して「これからは攻めの農政だ!」


何て言うフレーズをよく耳にするようになりました。


こうしたフレーズや考え方に疑義を呈する記事をご紹介します。



【提言 JAグループに望むこと 柴山桂太・京都大学大学院准教授 周回遅れの農政に否 自給体制の強化急務】
https://www.jacom.or.jp/noukyo/tokusyu/2019/07/190724-38699.php

食料・農業・地域の未来を拓くJA新時代を本当に迎えるために、いまJAグループは何を考え、どのような行動を起こすことが必要なのかについて、柴山桂太京都大学大学院准教授に提言していただいた。

◆危うい"輸出戦略" 国家間の対立激化

グローバル化の時代は長続きしないのではないか。私は以前からそのように主張してきた。歴史を振り返っても、市場が開放され各国の経済が緊密に結びついた時代の後には、必ず巨大な反動の時代がやってくる。19世紀後半から本格化した前回のグローバル化が、やがて各国の保護主義を招くことになったのはその好例である。
 20世紀後半から始まった現代のグローバル化も、いずれ激しい逆流に見舞われることになるのではないか...。最近の国際情勢を見る限り、私の予想は大きくは間違っていなかったようである。これまで自由貿易の旗振り役だったアメリカで、公然と保護貿易を唱える大統領が出現する。他の地域に先駆けて市場統合を進めつつあった欧州では、選挙の度に反EU派の政治勢力が台頭している。私の見立てでは、これはまだ新たに始まりつつある歴史的変化の、ほんの序盤に過ぎない。近く起こる次の世界的な景気後退で、すでに表面化しつつある国家間の対立は、ますますエスカレートしていくことになると思われる。

(中略)

そのような視点に立ったとき、危惧されるのは日本の農政である。安倍政権は「攻めの農政」を合い言葉に、農業生産物の輸出を積極的に後押ししている。海外の消費者に販路を拡大することが日本の農業を再生させる切り札になる、との考えに基づいているのだろう。だが、国際政治経済の現状を考えた時、農業の輸出志向戦略は本当に望ましいと言えるのだろうか。
 改革派は、農業の国際競争力を高めるために、生産の大規模化や株式会社の新規参入を認める方向に舵を切るべきだと主張している。なるほど品目によっては、そのような改革が求められる分野も存在するのだろう。だが、海外への販路拡大を前提とした農政改革に危うさを覚えるのは、私だけではあるまい。

(中略)

もちろん、農産物の輸出を頭から否定したいわけではない。品目によっては輸出の余地が大きいものもあると聞く。また地域によっては農地の大規模化を進め、余剰生産物の海外販売に活路を求めざるをえないところもあるのだろう。だが、海外市場への依存度を高めるとは、自分たちではコントロールできない国際政治経済の不確実な要因に事業の未来を左右されてしまう、ということでもある。それに国際競争力を獲得するにはさらなるコスト削減に向かわなければならないが、それによって農業従事者の所得が増えるのかは未知数である。

(中略)

だが、日本の農政が、官民一体となってグローバルな市場を積極的に取り込む「重商主義型」に転換することが、長期的に見て本当に望ましいことなのだろうか。冒頭にも述べたように、今や世界各地で、行きすぎた国際分業を自国優位に編成し直そうとする動きが生じ始めている。その過程で生じる国家間の摩擦は、これから大きくなることはあっても小さくなることはないだろう。過去30年以上にわたって続いてきたグローバル化の流れが、この先30年も同じように続く可能性は低い。時代は明らかに「スローバリゼーション」に向かう兆候を示しているからだ。
 国際的な緊張が高まるという見通しの下では、各国は農業の自給体制をこれまで以上に強化しようとするだろう。これから農業をグローバル化しようとする日本は、こうした歴史の流れに逆行する「周回遅れ」の存在として孤立していくのではないか。現状を見る限り、そのような疑念が拭えないのである。

(後略)


…。



雑誌「表現者クライテリオン」の編集委員を務められている


柴山氏の記事だけあって、地に足が着いたものだと思います。


もちろん柴山氏も、


日本の農産品を海外に輸出することを否定しているわけではありません。


ただ、一貫して強調されている視点は、


こうした「攻めの農政」を推し進めることが、


本当に農業従事者やおよび国民を豊かにすることにつながるか?ということです。


柴山氏は、現在の世界における「反グローバル化」の流れを鑑み、


それは難しいのではないか?と主張されています。


私自身もそう思います。


また、農業従事者を厳しい国際競争にさらすことが本当に正しいのか?


という疑問もあります。


仮に、海外で大規模な災害が発生し、


食料の輸入が滞った場合、誰が国民の胃袋を満たすのですか?


国内の生産者しかないでしょう!


農政では、農産品で稼ぐことを考えるよりも、


まずは国民の胃袋を十分に満たすことを第一に考えなければならないと思います。


記事中にもありますが、


こうした当たり前の感覚を有し、


「攻めの農政!」という政治圧力に対抗できるのは、


JAのような中間組織しかありません。


こうした中間組織が十分に機能してきたからこそ、


我々は今、飢えることなく生活ができているのです。


そのことを我々は改めて再確認する必要があります。


自民党は、かつてこうした中間組織を根強く支持基盤にしてきたからこそ、


盤石な政治体制を築くことができていました。


しかし、現在はTPPには参加するは減反政策は廃止するは、


日欧EPA・日米貿易協定で安価な農産品輸入を拡大するは、


さらには農業改革と称してJAを攻撃するは、


農業従事者を締め上げる政策ばかりを推し進めています。


自民党が中間組織を重視した政策に舵を切り直せば、


もっと国民の支持を集められると思うけどなぁ…。



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「医療費」という貴重な需要~これがなければ日本のGDPは激減!?~




「医療費が過去最高!」


こうした新聞などの見出しを目にすると、あなたはどう思いますか?



【医療費、18年度42・6兆円 2年連続増加で過去最高】
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50253150W9A920C1EE8000/

厚生労働省が26日発表した2018年度の概算医療費は42.6兆円で、前年度に比べ0.8%増えた。増加は2年連続で、過去最高を更新した。75歳未満の医療費は0.2%減となった一方、75歳以上で2.4%増となったことが押し上げた。高齢化や医療技術の発達に伴い、今後も医療費は膨らむ見通しだ。

概算医療費は労災保険などを除いた費用で、医療費全体の98%に相当する。16年度にC型肝炎を治療する高額薬剤の薬価を引き下げたことなどで一時的に減少したが、17年度から再び増加に転じた。ここ数年は平均で年2%のペースで増加している。

今回は0.8%増と一見、伸び幅が緩やかになったように見える。ただ18年度の診療報酬改定で薬価を引き下げており、「(引き下げの)影響を考慮すれば例年の伸びと同程度で、高齢化や医療の高度化で医療費が増える基調に大きな変化は無い」(厚労省)という。


…(後略)



…。


恐らく、多くの人は



「医療費がこんなに伸びているなんて大変だ!これでは国の財政はますます厳しくなるし、今後医療費の自己負担が増えそうだなぁ…」



とか、



「高齢者が増えて、彼らを優遇しすぎているせいで現役世代が搾取されているのに、それがますます進んでいるのか…」



と感じるのかなと思います。


実はそんな心配は無用です。


医療費の増加は、むしろ今の日本にとって良いことです。


まず、「医療費の増加」とは、


医療サービスを受けたいという「需要」が膨らんでいるということです。


現在の日本は需要不足で生じるデフレに悩まされています。


ということは、


医療サービスという膨らむ需要が、


今まさにデフレを緩和してくれているのです。


逆に、この医療サービスの需要が膨らんでいなければ、


もっと、デフレが進行して


我々の所得は減少していたでしょう。


考えるだけでも恐ろしいです…。


医療費の自己負担の増加についても、心配する必要はありません。


正直に言って、お金なんて中央銀行が発行すればいくらでも調達できます。


いざとなれば、政府が国民に医療費を給付することだってできないことはありません。


つまり、医療費の増加は「お金」の問題ではないのです。


本当に大切なのは、我々が医療費を支払って医療サービスを受けようとした際に、


そのサービスが適切な価格で安定的に供給されるかどうか、ということです。


即ち「供給能力」が維持されているかが大切なのです。


病院に行っても十分な数の医師がいない、


医療器具が足りない、高度な医療技術をもっと人材がいない…などなど。


お金を出しても、十分な供給能力が残されていなければ、


医療サービスは受けられません。


要は、お金ではなく供給能力を高めていく必要があるということですね。


どうすれば供給能力が高まるかって?


それはもちろん、投資をした時です。


「技術開発投資、人材投資、設備投資、公共投資」


この4投資を積極的に行うことで、供給能力が高まります。


しかし、この4投資を行うにはデフレから脱却しなければなりません。


デフレ下で儲からない場合、誰も投資を増やさないからです。


今後も高度な日本の医療サービスを受け続けたいのであれば、


早期にデフレから脱却しなければなりません。


政府にデフレ脱却のための財政出動を求めましょう!



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財源の議論なんて旧い!~MMT(現代貨幣理論)で貨幣とは負債であることを知ろう~




日本の野党は現在、与党に対抗するために


会派を合流を行ったり、公約を練ったりしているようですが、


政策を実行する際の財源の議論が行われています。



【[多弱の行方 政党を問う]<4>旧民主 公約トラウマ…財源議論 踏み込めず】
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20190920-OYT1T50331/

夏の参院選に向けた立憲民主党の公約作りは、民主党時代の「トラウマ」に縛られた。

財源まで踏み込むべきだ」「いや、そこまで入れなくてもいいんじゃないか」

 経済分野のとりまとめを担った代表・枝野幸男(55)直轄の経済政策調査会では、こんなやりとりが交わされた。

 経済政策の柱は「所得再分配」の強化。最低賃金の引き上げや残業代の完全支払いなどを実現し、消費の喚起を促す仕組みだ。財源として化石燃料の使用に応じて企業や個人に課す炭素税などの案も浮上したが、踏み込んだ議論には至らなかった。

 結局、財源については「税の累進性を強化して公平な税制へ転換」と曖昧な表現にとどまり、具体的な波及効果も示されなかった。「『この財源でこんな事業をやってこれだけ効果を上げる』と書いて失敗した2009年のマニフェストがトラウマになって、具体的な数字にはなるべく触れないという雰囲気があった」。調査会メンバーは振り返る。

 9月6日に開かれた全国幹事長会議では、公約に対して「全体として抽象的だった」「支持者に不評だった」と不満が漏れた。


■甘い見積もり

 子ども手当、最低保障年金創設、高速道路無料化――。

 鳩山由紀夫(72)が率いた民主党は09年衆院選の政権公約(マニフェスト)で、こうした政策を4年で実現すると掲げた。必要な財源16・8兆円は無駄遣いの削減や予算の組み替えで生み出すと約束した。

 マニフェストを原動力に政権を奪ったが、財源の見積もりの甘さはすぐに露呈した。鳴り物入りで始めた行政刷新会議の「事業仕分け」の成果は約1・7兆円にとどまり、政策は次々と修正を余儀なくされた。

 トラウマを抱えるのは国民民主党も同じだ。

 代表の玉木雄一郎(50)は18年8月、3人目以降の子どもが生まれた家庭に1000万円を給付する「コドモノミクス」を提唱したが、財源を見つけられず参院選公約には盛り込まれなかった。

トラウマを抱える両党は、思い切った経済政策の打ち出しに及び腰だ。財源に裏打ちされた精緻せいちな公約を目指そうにも、「所属議員が少なく、民主党時代より政策立案能力は落ちている」(政調関係者)。日本の政党は欧米のようなシンクタンク(政策研究機関)を持っていない。野党は与党と異なり、霞が関の官僚集団をシンクタンクとして活用することもできない。


…(後略)



…。


政治家の皆さんが、


国民を豊かにするために何とかしようと動かれているのは分かります。


が、未だに財源の話をしているのは旧い!旧すぎます!


財源の話で揉めるのは、平成時代に置いておきましょう。


今は、貨幣に関する事実を教えてくれる「現代貨幣理論(MMT)」があります。


MMTによれば、自国通貨を発行できる政府は債務不履行(デフォルト)に


陥ることはあり得ず、政府は財源を気にすることなく支出することができます。


その制約は金額ではなく、供給能力(インフレ率)です。


つまり、この記事に登場する


最低賃金の引き上げ、残業代の完全支払い、


3人目以降の子どもが生まれた家庭に1000万円を給付する「コドモノミクス」など、


実現したい政策は全てやればいいんです。


どれかに絞る必要はありません。


恐らく、政府・自民党内にはこのMMTの正当性を理解している議員もいますが、


財務省の抵抗が強く、なかなか財政拡大を実行できないでしょう。


であれば、野党の政治家の方々がMMTを基に、


財政拡大を訴えなければなりません。


国民の暮らしを豊かにするための政策を行うことに、


財源の心配はいらないだなんて、なんと素敵なことでしょうか!


国民の誰が反対しますか?


野党は財源論何ていう古臭い議論を捨てて、


MMTを基にした財政拡大政策を堂々と打ち出しましょう!



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国民経済を語るならマクロの視点で~合成の誤謬について理解するには~




10月の消費税率引き上げに向けて、


我々に節約を勧める記事が掲載されていました。



【消費増税に節約で勝つ 日常生活品にこそ削る余地あり】
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO49938170Y9A910C1000000


…(前略)


■日常生活費を削減するため、まずは買わない生活を

1つめは「日常生活品を買わない」というアプローチです。私たちは思った以上に「買いすぎ」ていますし、「買わなくてもいいもの」に手を出しています。

購入するのが当たり前に思っているものほど、「一度買うのをやめる」ことにチャレンジをしてみてください。私は若い頃にオタク趣味に散財しまくっていた時期があります。試しに数カ月、ゲームもアニメのDVDもマンガも雑誌もとにかく買わないという生活をしてみたことがあります。

何カ月かすると、それまでは当然のように思っていた物欲が、ほとんど強迫観念のようなものだったことに気がつきました。買っても遊びきれず読み切れず、「積みゲー」「積ん読」になっているなら、それは買ったお金が自分に還元されていないことになります。

食のあり方や生活習慣を見直すための「プチ断食」、スマートフォンやインターネットとの距離感を考え直すための「デジタルデトックス」などがあるように、「できるだけ買わない生活」を一度試してみることをオススメします。
もしどうしても欲しいものがあったとしても、数カ月くらい前のものなら電子商取引(EC)サイトでたいてい注文できます。


■コンビニやスーパーで「買わない」に挑戦

コンビニやスーパーマーケットで買うお菓子や食料品などは削れない買い物のように思うかもしれません。でも、これらも「買わない」チャレンジに含めてみましょう。

最近、コンビニなどのフードロス(食品廃棄)問題が話題になっていますが、実は「家庭内フードロス問題」も無視できません。つまり野菜やお肉などの期限切れによる廃棄です。野菜を毎週2~3個捨てている人は買いすぎたことにより、月4000~5000円の節約チャンスを捨てていると言えるかもしれません。

フードロスは家計的には「使わずに捨てるお金」そのものですから、これをまずは削ってみたいものです。週末のまとめ買いなどでスーパーに行くときは、意識的に「ちょっと少なめ」に買うようにします。それだけで毎週1000円の節約がしばしば実現できるはずです。

どうしても必要なときに買い足した食材が少し割高であっても、トータルでは節約になることが多いものです。ぜひ「ちょっと少なめ」を意識してみましょう。

また、「レジ前で一度立ち止まって本当に買う必要があるか再考する」とか「棚に数品戻して会計する」といったワンクッションを自分に課すのもいい方法です。なんとなく買っていた買い物には、実はそれほど必要でなかった買い物がたくさんあることを考えるチャンスになるからです。

どうしても削るものがないという人は、清涼飲料水とお菓子を断ってみてください。お財布だけでなくカロリーの面からもいいダイエットになるはずです。


…(後略)



…。


この記事は、家計の視点で見れば正しい部分もあります。


消費税が上がる分、物価が上がるわけですから、


それに対応するために節約は合理的な行動でしょう。


しかし、その節約という合理的な行動を皆が皆実行したらどうなるでしょうか?


消費や投資が減り、その分、誰かが得るはずであった所得が減少することになります。


所得を減らした人は、当然ながら節約に走ります。


するとまた消費や投資が減り、誰かが得るはずだった…、、、、、


国民経済はつながっています。


即ち、今のようなデフレ下で皆が皆節約に走ってしまうと、


デフレがさらに悪化してしまいます。


デフレが悪化すれば我々の所得の低迷がさらに続きます。



…。



まぁ、個人向けの記事だと思うのでしょうがない部分もあるのですが、


「経済」という名前を冠する新聞であるならば、


こうしたデフレを悪化させる節約礼賛の記事ではなく、


我々を豊かにするためには経済成長が必要だ!


という内容の記事を載せてほしいものです。


このままデフレを放置して所得の低迷が進めば、


間違いなく、新聞を購読する余裕のない世帯や企業が増え、


日本経済新聞社さんも部数減で困ることになりますよ。


経済を語るのであれば、


マクロの視点に立った報道がもっと必要だと思います。



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当たり前の感覚を取り戻す~長年の緊縮財政で日本のインフラはボロボロです~




台風15号による被害は、政府の災害対策が十分に行き渡っておらず、


日本は災害大国であるにも関わらず、


災害に極めて弱い国に成り下がってしまったことを浮き彫りにしています。



【真相深層 台風15号の大規模停電で断水 水道事業のもろさ映す 自家発電配備進まず】
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190921&c=DM1&ng=DGKKZO5006524020092019EA1000

台風15号の大規模停電に伴う断水は、日本の水道事業が直面している危機を改めて浮き彫りにした。全国の水道施設の6割は自家発電装置を備えておらず、停電に無防備な状態だ。人口減などによって各地の事業体の経営は厳しさを増し、災害対策どころか老朽設備の更新さえ滞っている。

千葉県の木更津、君津、富津、袖ケ浦の4市の事業体が4月に合併した「かずさ水道広域連合企業団」では、今回の台風15号によって一時、給水戸数全体の12%に当たる1万7千戸で水道が使えない状態となった。20日午後4時時点でも2002戸が断水している。

原因は水を送るための加圧ポンプが停電で止まったこと。「自家発電装置は大規模な浄水場などにあるだけで、配水の途中にあるポンプ場はカバーできていなかった」と担当者は話す。

2018年9月の北海道地震では44市町村で最大6万8千戸が断水し、揺れによる設備の被害だけでなく停電が原因の地域も広範囲に及んだ。地震を受けて厚生労働省が18年12月にまとめた調査によると、配水に電力を使う全国1万745カ所の施設のうち、6693カ所(62%)が自家発電設備を備えていなかった。

かずさ企業団は19年度に18億円分の企業債を発行し、設備の改修・改良予算を合併前の18年度の合計から3割積み増して44億円とした。だが「老朽化した水道管の改修を優先し、自家発電には予算を振り分けられなかった」(担当者)という。

水道管も老朽化

水道管の法定耐用年数は40年とされており、高度経済成長期に普及した各地の水道インフラは老朽化が進んでいる。日本水道協会によると、全国で耐用年数を過ぎた水道管の割合は16年度に14.8%を占め、今後も増加する見通しだ。

老朽管の更新率の全国平均は近年わずか0.7%台にとどまっており、「地方の事業体は人口減による収入低下で設備改修の余力がない」と厚労省水道課は説明する。

総務省の18年のまとめによると、水道事業を担う全国1263団体の3分の1に当たる419団体で、給水コストが料金を上回る「原価割れ」の状態となっている。


…(中略)


普及率98%に上る日本の高度な水道網が深刻な危機に直面するなか、国は官民連携や市町村を超えた広域化による水道事業の効率化、経営基盤の強化を掲げている。10月には民間企業に運営を委託しやすくする改正水道法が施行される。


…(中略)


水道事業に詳しい日本政策投資銀行の足立慎一郎・地域企画部長は「人口減少が進んでいる地方では特に、更新・防災投資の料金転嫁も避けられない」と厳しい現状を指摘。「首長がリーダーシップを取って広域化を進め、不要な設備や水道管を整理するなどしてコストカットを図り、値上げ幅を緩和していく必要がある」と話している。



…。


高度経済成長期に整備した全国の水道管は老朽化が激しく、


メンテナンスの時期を迎えています。


永遠に朽ちないインフラなど存在しませんので、当然です。


しかし、本来メンテナンスを担うべき政府が、緊縮財政


これでは、水道管の破裂事故が多発しても何ら不思議ではありません。


そんな中で、大規模災害が発生し、


何と千葉県では一時1万7000戸が水道を使えない状況に陥りました。


政府がインフラ整備をサボっている以上、当然の結果です。


こうした状況は、国土強靭化法案の成立に尽力された


藤井聡元内閣官房参与などが、以前から声を大にして警告されていました。


その警告が実現してしまった今、


ただただ、悲しいです。


我々はいい加減、


政府が国民の暮らしを守るためにインフラ整備に予算を掛ける、


という当たり前の感覚を取り戻し、


それを政府に求めなければなりません。



「インフラ整備にお金を回す余裕はないよ。日本は借金大国なんだから」



なんて声が聞こえてきそうですが、


そもそも、人の命が懸かったインフラ整備にお金を惜しむことがおかしいですし、


日本政府の負債は100%自国通貨建てのため、


通貨発行権を有する日本政府は財政破綻は不可能です。


記事には、水道の老朽化に対して、


日本の水道インフラが外資に売り渡される可能性をはらんだ


「改正水道法」があたかも対策になるかのような記述があります。


いや、別に民間にメンテナンスしてもらわなくても政府がやればいいんだけど…。


記事にコメントを付けられている、


日本政策投資銀行の足立慎一郎・地域企画部長さま。


立場を活用して、「単に政府がお金を出して水道を再整備すればいいだけ!」


と言ってくれないかなぁ…。



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気骨のある政治家・西田昌司参議院議員~自民党内の緊縮財政派を切り崩せ!~




西田昌司参議院議員は、


昨日ご紹介した安藤裕衆議院議員と同じく、


「安藤裕衆議院議員の奮闘」
https://eskunsf.blogspot.com/2019/09/blog-post_20.html


経済・財政について正しい知識を持ち、


デフレ下での消費増税に強く反対されています。



【自民党で消費税“延期論”も 「増税で景気が冷え込むと首相に直談判」】
https://dot.asahi.com/wa/2019091700085.html?page=1

自民党の中にあって「消費増税凍結」を一貫して訴え続けてきたのが、西田昌司参院議員だ。政府はリーマン・ショック級の出来事が起きない限り、消費税率を引き上げるという立場を示してきたが、西田氏は不安を隠さない。

「アベノミクスで経済は再生路線に向かったが、金利が上がらずデフレ脱却には程遠い状態です。このため銀行の収益力は大幅に減少し、融資も伸び悩んでいます。何かの拍子で不良債権問題が発生したら、2008年のリーマン・ショック以来の金融危機に陥る恐れがあります。この時期に消費税を上げると、さらに景気が悪化する可能性が高い」

 参院国会対策委員長代行を務める西田氏は、参院選から間もない8月6日、党役員連絡会が開かれた際、安倍首相にこう直言した。

「すでに消費増税を行う決意をされているのなら仕方がありませんが、私はいまでも反対です。今後は景気対策をしっかりとやって頂きたい。そのためには大胆な財政出動で経済を支える必要があります。私が国会でも提唱したMMT(現代貨幣理論)について、党内で議論して頂きたい」


…(略)


西田氏は17年12月、内閣官房参与(当時)の藤井聡・京都大学教授らとともに公邸を訪れた。安倍首相と会食しながら、MMTの理論について説明した。

「安倍首相は私たちの考えを理解してくれていると思います。だからといって、党内議論が盛り上がらないことには、MMTが直ちに採用されるということはないでしょう。MMT支持を多数派に転換できるよう努力していきたいと思っています



…。


政治家の中で、財政拡大派がいかに少数派であろうとも、


自分ができることをコツコツと続けられている政治家の方は、確かにいます。


彼らを我々有権者がどれだけ支援できるかに、


これからの未来が掛かっていると思います。


ただ、


やはり世の中の大きな流れ(緊縮財政など)を変えることは難しいですね。


西田氏がどれだけ安倍首相に財政出動の必要性を訴え、


デフレ下での消費税増税の危険性を伝えようとも、


また、安倍首相自身が西田氏の考えに賛同していようとも、


議会で多数を占める自民党内の意志調整が出来なければ、


何も変えることはできないということですね。


しかし、政治というのはマックス・ウェーバーいわく、



「絶対に穴を穿つことができないほどに固い岩盤に、凄まじい情熱に基づく絶えざる努力によって、穴を穿つ取り組みである」



であるのあれば、


これからも反撃の時を待ちながら、


経済・財政について正し知識を発信していくしかありませんね。



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安藤裕衆議院議員の奮闘~「日本の未来を考える勉強会」が日本を救う~




緊縮財政・構造改革派の政治家さんが多い印象のある自民党ですが、


その中にも、経済・財政について正しい認識を持たれている方もいます。


例えば、安藤裕衆議院議員。


先日、安藤議員があるべき財政政策などについて語った記事が配信されていました。



【「財政出動が必要」前内閣府兼復興大臣政務官安藤裕氏】
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190913-00010001-jindepth-pol&p=1

本日のゲストは、自民党衆議院議院で前内閣府兼復興大臣政務官の安藤裕(あんどうひろし)氏。安藤氏主宰の「日本の未来を考える勉強会」の活動について、政治ジャーナリストの細川珠生が話を聞いた。

…(略)

このまま若手議員で先輩達が決めることに従うのではなく、若手でも「こうするべきではないか」としっかり意見を出して、提言をまとめてく姿勢をとろうという意図で勉強会を始めたという。
安藤氏は、「初めて当選したときから、少人数での勉強会はやっていた。そのとき、内閣官房参与で京都大学の藤井聡先生に指導いただいた。なかなかデフレ脱却できない、そんなときにもうちょっと幅を広げて、うちの同期全員に声をかけて始まってのがこの勉強会。」と述べた。

…(略)

安藤氏は、「アベノミクスが始まる前まではずっと緊縮財政だった。政府は金を使うな。財政が厳しいから、政府支出は削減するのが正しい、というのが流れだった。そこでアベノミクスは、財政再建の前に経済再生が必要だが、それではデフレから脱却できない。そのために財政支出を拡大することが必要だから第2の矢を撃った。その原点に戻り、それをしっかりやるべきだ。」と述べた。


…(後略)



…。


安藤さんは記事にもある通り、


「日本の未来を考える勉強会」https://nihonm.jp/)を立ち上げ、


経済・財政に関する正しい知識を多くの議員さんたちと勉強されています。


こうした未来への危機感から社会通念(日本の財政破綻論など)に疑問を感じ、


自ら動かれていることは素晴らしいと思います。


結局、世の中を動かすのは、こうした地道な努力の積み重ねではないでしょうか。


とはいえ、現在の自民党は緊縮財政・構造改革派が主流です。


安藤さんたちは党内で不利な立場に追いやられる可能性もあります。


私たち有権者にできることは、


安藤さんたちの勉強会や提言などを拡散し、


彼らが行おうとしている政策が正しいということを広めていくことです。


そうすれば徐々に(本当に徐々に)、


財政拡大派の勢力を拡大できるかと思います。


記事中の特に素晴らしい部分をご紹介します。



「我々がこどもの頃は、世界の中でも豊かな国で、先進国のプライドをもって暮らすことができた。子ども達にそれを残せるかどうかの瀬戸際にいる。やらなければいけないのは、我々の暮らしを次の世帯に残していくこと。20年間停滞してきたのは、はっきり言って、経済政策のどこかがうまくいっていなかった。



安藤さんがおっしゃられる通り、


現在の日本の繁栄を次の世代に引き継ぐことが、


僕たちの使命であり、責任です。


そうでなければ、繁栄した日本を残してくれた先人たちに申し訳が立たないですから。


また、アルベルト・アインシュタインが、



「いかなる問題も、それをつくりだした同じ意識によって解決することはできない」



との言葉を残した通り、


緊縮財政・構造改革で20年間も経済が低迷しているのであれば、


意識を変えて、


財政拡大に舵を切り直しましょう!



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EUは財政拡大へ!日本は?~日本もEUに続いて財政拡大を目指せ~




欧州連合(EU)が今後の世界経済の悪化などを懸念し、


景気を下支えするための財政支出の拡大を検討しています。



【EU、財政規律緩和の議論着手 景気下支えを視野に】

【ブリュッセル=竹内康雄】欧州連合(EU)は加盟各国を縛る財政ルールを緩和する検討に着手する。米中貿易戦争などのあおりを受けて欧州経済が減速するなか、柔軟な財政出動の余地を認め、成長を下支えする構想だ。実現すれば厳格な財政規律を堅持してきた姿勢からの転換となる。だが北部欧州を中心にルールの緩和は財政規律の緩みにつながりかねないと反対論も根強い。実現には曲折がありそうだ。

13~14日にヘルシンキで開く財務相会合で議論を始める。EU議長国のフィンランドは会合前に議論のポイントを提示した文書で、従来のEU財政ルールが「健全で持続可能な財政を守るのが唯一の目的だった」とした一方で「数カ国が財政政策の役割は経済の安定にもあると提起した」と説明した。財政規律にこだわるあまり、景気を犠牲にすべきではないとの主張だ。

北欧のフィンランドは財政規律の維持に厳格なEU加盟国のひとつ。それでもこの問題を取り上げるのは、足元で欧州景気が減速感を強めているためだ。ユーロ圏経済は4~6月期の実質成長率が前期比0.8%増(年率換算)と前期(1.7%増)から減速。とりわけけん引役のドイツは0.3%減で7~9月期もマイナス成長になるとの見方がある。

このまま手をこまねいていては、域内が景気後退に陥ることになりかねない。2010年前後の欧州債務危機では財政健全化を重視しすぎて、景気回復が遅れたとの批判もあった。

金融政策の余地が一段と狭まっていることもあり、財政で景気を下支えすべきだとの声は広がっている。12日に3年半ぶりの金融緩和を決めた欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁も「財政余力のある国は(財政出動に)動くべきだ」とドイツなどを念頭に対応を呼び掛けた。


…(後略)



…。


EUおよび共通通貨ユーロという枠組みは、記事にもある通り


各加盟国に財政赤字を国内総生産(GDP)の3%以下


債務残高を同60%に抑えるよう定めています。


つまり、ユーロ加盟国には


独立国家であればどの国でも有する「財政政策」の自由な権限


制限されていることになります。


なぜ加盟国がこの重要な権限に自ら制限を掛けているのかは、


財政政策を忌み嫌う主流派経済学の影響や、


景気変動に応じて、財政政策を通じて政府が需要をコントロールする


ケインズ主義的な政策を実行させたくない勢力の影響などが絡んでいますが、


それらを細かく説明することはできないので、省きます。


それよりも重要なことは、


こうした財政政策の自由を制限する枠組みに押し込められている国々において、


景気の下支えのための財政政策拡大の議論が巻き起こっていることです。


すなわち「財政規律?そんなモノ知らねぇよ!景気を上向かせることの方が大事だ!」


といったところでしょうか?


本当に財政拡大が実行できるかどうかは置いておいても、


この流れは大したものだと思います。


欧州の国々の政治家には、


まだ「国民を豊かにする」という政治の基本意識が残っているようですね。


一方で我が国はどうでしょうか?


20年以上デフレを放置して、国民を貧困化させておきながら、


未だにデフレを悪化させるだけの消費税増税を10月に行い、


さらなる引き上げの議論をしています。


1997年、2014年の引き上げが大失敗だったにも関わらず、です。


この欧州との日本の差は、


どれだけの人が物事を真剣に考えているかどうかだと思います。


日本の政治家も、



「財政規律?そんなモノ知らねぇよ!デフレから脱却して景気をよくするために、減税もするし、財政政策も拡大すればいいんだよ!」



くらいなことを言ってほしいですね。


ただし有権者も、それを支持しなければなりませんが。


EUを見習って、我が国も財政政策の拡大という


当たり前の経済対策を実行しましょう!



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インフラ整備を怠ってきたツケ~自然災害大国が公共事業バッシングで滅びる~




台風15号の被害により、


日本が20年近くインフラ整備を怠ってきたツケ


一気に回ってきているように思えます。



【老朽インフラ、日本の岐路に 台風で停電、復旧あと2週間 送電網や道路橋、更新コスト重く】
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190914&c=DM1&ng=DGKKZO4982085013092019MM8000

大規模停電を引き起こした台風15号は生活インフラが抱える災害リスクを浮き彫りにした。なお17万戸が停電し影響はライフラインに広がる。1970年代に整備が進んだ送電施設は更新時期が迫り老いるインフラは道路などにも共通する課題だ。国と地方を合わせた借金が1千兆円と財政が厳しく社会保障費も膨らむなか、巨額投資によりインフラをどこまで維持していくか、重い判断が迫られる。

台風15号が首都圏を直撃した9日以降、千葉県南部を中心に停電が続く。東京電力パワーグリッドは13日夜、東京都内で記者会見し、「今後、2週間以内におおむね復旧見込み」と発表した。

同社は当初、11日に全面復旧するとの見通しを発表していたが、会見で「過去の被害規模から過小な想定をしてしまった。複雑な難工事に直面している」と釈明した。房総半島の送電網は山林に張り巡らされており、倒木によって大規模に損傷しているという。

台風による被害は広範囲に及び、停電の全面復旧は時間がかかる傾向にある。2018年に関西を襲った台風21号の被害は、全面復旧まで17日間を要した。

停電はライフライン全体に影響を及ぼした。携帯電話の電波を飛ばす基地局が多くの場所で機能せず、スマートフォンの電源も確保できなくなったため、11年の東日本大震災の際には避難所や支援物資の情報共有で力を発揮したSNS(交流サイト)の効果も限定的なものになった。市役所などに設置された充電設備には電源を求める人で長蛇の列ができた。

被害が広がった背景として、想定外の強風に加え、送電設備の老朽化も指摘されている。送電線の鉄塔は70年代に建てられたものが大部分を占める。倒壊し、10万戸の大規模停電につながった千葉県君津市の鉄塔は72年に完成したものだった。


…(後略)



…。


こうした災害が発生し、大規模な停電が発生した場合、


普段、「公共事業は政治と土建屋の癒着だ!悪だ!」


「電力会社は優遇されていてけしからん!改革だ!」と発言されている方は、


どう感じられるのでしょうか?


災害などの非常時に生活を守るのは、


地元の土建業者(建設会社)や電力会社です。


彼らがいざという時のために、技術やノウハウ、人員などを維持するには、


一定程度の安定した仕事や優遇策が必要です。


確かに、公共事業に無駄なものもあるでしょうし、


電力会社が法律などで優遇されている部分はあるでしょう。


(そもそも、電力会社が民間企業で運営されていることが異例ですが…)


しかし、それらはあくまで一面的であり、


全てを「無駄だ!けしからん!」と叩くのはあまりにもナイーブです。


平時にはムダに思えることが、


非常時には人命を助けるために役に立ちます。


平成時代は、そうした「平時のムダ」を徹底的に叩き、


それを削減することが圧倒的に正しいとされる考えが蔓延していました。


令和の時代は、「平時の冗長性こそ、非常時に役に立つ」という、


当たり前の感覚を取り戻さなければいけませんね。


最後に、上記の記事にツッコミを入れたいです。



「国と地方を合わせた借金が1千兆円と財政が厳しく社会保障費も膨らむなか、巨額投資によりインフラをどこまで維持していくか、重い判断が迫られる。」



財政が厳しかろうが何だろうが、


人命を救うためのインフラ整備にお金を使うことを躊躇すべきではないはずです。


日本経済新聞社のスタンスが、


「人命よりもお金が優先」というものであれば、別ですが…。


そんなことはないはずです。(そう信じたい)


そもそも、日本政府の負債は100%自国通貨建てであり、


通貨発行権を有する日本銀行を子会社に持つ


日本政府が財政破綻に陥ることはあり得ません。


こうした正しい経済・財政に関する知識を広めて、


政府に太っ腹なインフラ整備費の支出と、


電力会社への財政的支援を求めましょう!



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「異次元緩和」が終了~もう、日銀だけに頼らず政府は財政拡大を!~




黒田総裁が率いる日本銀行が、2013年4月以降に開始した、


いわゆる「異次元緩和」が先日、終了しました。



【日銀、「異次元」の国債購入終了 黒田緩和前の水準に ピーク時の3割に縮小】
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190912&c=DM1&ng=DGKKZO4970040011092019EN2000

日銀の長期国債の年間購入額が、2013年4月に異次元金融緩和を始める前の水準にほぼ戻ってきた。19年8月末の長期国債保有額は1年前と比べて約24兆円の拡大にとどまり、13年4月末時点の年間増加額(約25兆円)を下回った。ピーク時の3割程度への縮小だ。中央銀行の歴史に残るとの見方もあった「異次元」の巨額国債買い入れは、いったん終わった。


日銀は黒田東彦総裁の下で異次元緩和を始めたとき、年約50兆円ペースに向けた長期国債の購入増額に着手した。14年の追加緩和で約80兆円とした。白川方明前総裁時代の13年1~2月期には年23兆円程度のペースだったので、文字通り異次元だった。だが次第に政策の持続性に疑問が指摘されるようになった。


そこで16年9月に決めたのが緩和策の軸足を「資金供給」から「長短金利操作」に移す措置だ。長期国債は長期金利(10年物国債利回り)を「ゼロ%程度」に誘導するのに必要な額だけ買えばよくなり、減額への道が開かれた。「ステルス(隠密な)緩和縮小」と呼ばれたこの路線を3年続け、ついに異次元緩和前の購入額にほぼ戻った。


…(後略)



…。


景気回復やデフレ状態からの脱却など、名ばかりである今日この頃ですが、


なんだか、その責任は日銀にあるかのような雰囲気が世間にある気がします。


日銀が今回、国債の購入額を減らさざるを得ないのはしょうがありません。


なぜなら、政府が国債発行を減らしているため、


そもそも市場にある国債のそこが見えてきているからです。


また、景気回復やデフレ脱却は日本銀行の金融緩和だけでは実現できません。


日本銀行による金融緩和はあくまでも、


民間銀行の企業への融資可能な額を拡大するだけであって、


融資自体を拡大させることはできないからです。


ではなぜ融資自体が拡大していないのでしょうか?


それは単に、企業の資金需要が乏しいためです。


なぜ、企業の資金需要が乏しいのでしょうか?


それは、デフレ(需要不足)により企業がお金を借りてまで投資をしないためです。


であれば、誰かが需要を創り出さなければなりません。


デフレ下で、それができるのは政府だけです。


ところが、現在の政府は先ほど書いた通り、


需要を削って(国債発行の抑制=緊縮財政)います。


これでは、日銀がいくら頑張って(金融緩和)も、景気は回復しませんね。


日本銀行はこれまでよく踏ん張ったと思います。


政府はこれまでの緊縮財政の姿勢を改めて、


需要創出へ国債発行に乗り出さなければなりません。


日銀の異次元緩和終了は、市場が国債発行を求めている合図です。


政府は今回のことを契機に、


積極財政(国債発行による需要創出)への転換をしなければなりません。



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迫る「大倒産時代」~市場原理を絶対視すれば中小・零細企業が壊滅する~




政府による中小・零細企業支援法の終了など、


様々な要因が重なり、「大倒産時代」が迫りつつあるようです。



【恐るべき「大倒産時代」が到来中の日本で、これから起きること】
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/67115

…(前略)


東京商工リサーチがまとめた2018年の倒産件数は8235件と10年連続で前年を下回り、過去30年で3番目に低い水準となった。日本は倒産件数が異様に少ない「無倒産」社会となっているが、その直接的な原因は、2009年に導入された中小企業金融円滑化法である。

この法律は、銀行が、資金繰りが厳しくなった中小企業から返済条件の変更を求められた場合、金利の減免や返済期限の見直しに応じなければならないというものである。この法律が存在していたことで、銀行は仮に融資先の経営が苦しくなった場合でも、安易に資金を引き上げることができなかった。

日本は長期間にわたって消費が低迷しており、中小企業の経営環境はむしろ悪化しているが、銀行は政府の意向によって無条件で融資を継続してくれる。先行きが不透明であるにもかかわらず、資金繰りに窮することはないという、ある種のぬるま湯状態が続いていたわけだが、この状況に終止符を打つきっかけとなったのは、皮肉にも量的緩和策がもたらした異様な低金利だった。

銀行は低金利が長期にわたって継続したことで、利ざやが稼げなくなっており、メガバンク各行の収益力は大幅に低下した。手数料収入の強化や海外進出などで収益源の多角化を図ってきたが、そろそろ限界となりつつある。メガバンクは、極めて重い人件費と店舗網の維持コストに耐えられなくなり、数万人規模のリストラ計画を表明。経営体質のスリム化に乗り出した。

地方銀行の状況はさらに厳しく、各行は規模拡大を目指して経営統合を進めている最中だ。主要行の経営統合は一段落しつつあり、今後は、統合効果を顕在化させるため、コスト削減を本格化させることになるだろう。

こうした中、今年の3月、とうとう金融庁に対する報告義務がなくなり、中小企業金融円滑化法に関するすべての施策が終了した。

円滑化法に関する施策が終了したことと、メガバンクが前代未聞の大リストラに乗り出したこと、そして、地方銀行の統合が一段落したことが、同じタイミングなのは決して偶然ではない。昭和から平成にかけて維持されてきた日本型金融システムがとうとう継続不可能となり、円滑化法の完全終了をきっかけに、金融庁がシステム全体の再編成に乗り出したとみてよい。

金融庁は統合した銀行が、金利引き上げなどの措置を実施しないよう貸出金利の監視を強化するとしているが、これも融資姿勢の変化を警戒した動きと捉えるべきだろう。人口が減少し、経済がシュリンクする日本においては、過剰となった企業がいよいよ市場から退出を迫られることになる。


…(後略)



…。


記事中で触れられている「中小企業金融円滑化法」は、


亀井静香氏の主導の下で成立した法律です。


デフレ不況が続く中、一定の効果を発揮していたようですね。


また記事中では、その法律が失効した上に、


金融機関が日銀の低金利政策によって収益が悪化し、余裕を失っていること


そもそも、企業自身も不況で売り上げが下がり苦しんでいることなどが重なり、


倒産が相次ぐのでは?と書かれています。


この状況で、10月には消費税が上がります。


ますます消費が冷え込み、企業の売り上げは下がるでしょう。


やはり、このタイミングでの増税は正気の沙汰とは思えませんね。


今こそ、かつて亀井氏が金融法円滑化法を成立させたように、


立場の弱い企業を救うべく、政治が動かなければなりません。


今は、その逆方向に動いていますね…。


そして気になったのは、


記事の最終段落において、


「倒産は過度に回避しない方がよい」とした上で、


「倒産は当該社員にとっては大変なことかもしれないが、人材の最適配置と経済の新陳代謝を促す効果もある。持続できない企業は、自然の摂理に従って市場から退出させた方が、社会全体の不利益は少ないはずだ。


という記述がありました。


うーん、この方は市場原理を全て正しいと考えていらっしゃるんですかね?


敗者は、退場しろと。


しかも「新陳代謝」という言葉が特に気になります。


新陳代謝って、人体で言えば「垢を体外に排出する」ってことですよね?


倒産した企業や失業者って、垢なんですか?


…。


これは個人の記事ですし、公人でもなさそうなので構いませんが、


何だか読んでいて悲しい気持ちになりますね…。



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世界中が「日本化」する~需要縮小で貸し出し先が減り、国債金利が暴落へ~




世界の主要国が発行する債券の金利低下が著しいです。


何と、金利がマイナス圏に達した債券は全体の4分の1に達しているようです。



チャートは語る 水没する世界の金利 債券の4分の1、マイナス圏 欧米で「日本化」懸念

マイナス金利(総合2面きょうのことば)の拡大が止まらない。利回りがマイナスの債券の残高は世界で約17兆ドル(約1800兆円)と年初から2倍になり、いまや全体の約4分の1を占める。世界的に景況感が悪化し、金融緩和がさらに進むとみられているためだ。欧州では金利がマイナスの住宅ローンまで登場。「金融システムや経済に悪影響を与える」として過度の低金利を問題視する声が増えている。

債券を金利収入と満期時に戻る元本の合計額を超える高値で買うと、利回りはマイナスになる。貸し手が金利を負担する異常な状態だ。その背後には債券の一段の値上がり(利回りの低下)を見込む短期筋や、お金の置き場が見当たらないとして損失覚悟で債券を買う機関投資家がいる。

金融危機後の2008年12月に、逃避マネーの流入で米短期国債は利回りが史上初めてマイナスになった。12年以降、欧州や日本でマイナス金利政策が広がり、債券のマイナス利回りが定着した。スイスでは残存45年債の利回りまでマイナス圏に「水没」している。



…(後略)



…。


見出しの中で、「欧米で『日本化』懸念」とあるのは、


我が国では1998年に経済がデフレ化して以降、


国債の金利が低迷し続けているからです。


巷では、「国の借金で破綻する!」と騒がれながらも、です。


国債の金利が下がる、とはどういうことでしょうか?


当たり前ですが、国債が多く買われている場合ですね。


では、なぜ国債が多く買われるのでしょうか?


それは、国債を購入する金融機関が貸し出し先に困っているからです。


金融機関、特に銀行は預金者からお金を預かります。


そのお金は預金者にとってはもちろん資産ですが、


銀行にとっては負債です。


そして預金者に金利を支払わなければならないため、


企業等にお金を貸し出して金利を稼ぎ、収益を上げなければなりません。


しかし、肝心の貸し出し先がないのです。


なぜなら、企業がデフレ不況下では十分な収益を上げられないと判断し、


お金を借りてまで投資をしないからです。


したがって、何とかして金利を稼ぎたい銀行は、


わずか(本当にわずか)ではありますが金利の付く国債を購入している、という話です。


即ち、解決策は企業がお金を借りて投資したくなるほどに、


政府が財政出動を通じて需要(仕事)を創り出すほかない、という結論になります。


興味深いのは、こうした「政府による需要創出」


日本だけではなく、世界の主要国で求められていることです。


どの国も、適切な財政政策が打たれていないんですね…。


「世界中が需要不足」と言ったところでしょうか?


日本が他の主要国に先駆けて、


政府による需要創出に乗り出すことを願って止みません。



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めげない藤巻さん~日本の財政破綻を煽るのは自らのビジネス拡大のため?~




ネット上で「オオカミ少年!」と揶揄されながらも、


めげずに日本の財政破綻論を主張する藤巻健史さん。


またもや同様の内容で講演をされています。



【「いつか日本経済はクラッシュする」 “オオカミ少年”と呼ばれても藤巻健史がめげないわけ〈週刊朝日〉】
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190908-00000001-sasahi-bus_all

「日本の経済は世界でもダントツのビリ成長。やはり成長する国の資産を買っていかなければなりません」

 9月7日に都内であった個人投資家向けのイベント「みんなのお金フォーラム2019」で、“伝説のディーラー”と呼ばれた藤巻健史さんはこう訴えた。

 数百人の聴衆を前に講演した藤巻さんは、日本という国は安全だし自然も豊かで大好きだとしつつ、海外への投資が「リスクヘッジ」になると強調した。

「個別にどの株が上がるのかではなく、日本の経済がどうなるかを考えて投資しないといけない。全体的に強い国の資産を買うのが原則。自分の財産を海外に移すことは一種の保険です」

 こう訴える背景には日本の財政悪化がある。国債や借入金などを合計した国の借金は1105兆円に達し、過去最高を更新し続けている。藤巻さんは早くから日本の財政危機を唱えており、ネット上の一部からは“オオカミ少年”と呼ばれるほど。そう言われても気にならないのは、もはや通常のやり方では借金は返せないという確信があるからだ。

「これだけ借金がたまると尋常な方法では返せない。景気が良くなれば税収も上がると言われるが、国の税収が過去最高になっても60兆円ほど。これから大増税して税収を大幅に増やすのは難しい。できるのは『インフレ税』。インフレは借金をしている人にはラッキーだが、銀行にお金をためている人にはつらい。日本最大の“借金王”は国なので、国民から国へと富が移る。これだけの借金を返すには、ハイパーインフレしかないのです」


…(後略)



…。


日本の借金、というか日本政府の負債は100%円建てであり、


通貨発行権を有する日本政府が財政破綻(債務不履行)に陥ることはできません。


あり得ない、のではなく不可能なのです。


また、政府は個人と違って永続するものであるため、


そもそも借金を返す必要はありません。


それこそ地球滅亡の日まで借り換えを続ければいいだけの話です。


そして、「誰かの負債は、誰かの資産」である以上、


政府の負債(借金)の裏側には、必ず同額の資産が発生します。


つまり、政府の財政赤字はその他の経済主体(国民)の財政黒字になります。


すなわち、「財政赤字が悪い!」というのであれば、


「国民黒字が悪い!」と言っているのと変わらないのです。


ツッコミはさておき、藤巻さんが講演などで財政破綻論を繰り広げるのは勝手です。


しかし、同氏が参議院議員という公人である以上、看過してはなりません。


政策に影響を及ぼす可能性がありますから。


またタチが悪いなと感じるのは、


こうした同氏は財政破綻論を謳った著作を多く出されており、


破綻論を声高に叫ぶことが、


自分のビジネスにつながっていることです。(本が売れるから)


買う方もアレではありますが…。


藤巻氏が本当に財政破綻論を信じているのであれば、


ある意味しようがありません。


しかし、自分のビジネスのために財政破綻論を


ポジショントークとして使っているのであれば、


もっと公人として誠実であってほしいな、と思います。



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自民党総裁選の危ういシナリオ──仮に党員票トップの高市氏が敗北すると開かれる“消滅への道”

  いよいよ本日、自民党総裁選が行われる。候補者の中でも注目を集めるのが高市早苗氏と小泉進次郎氏だ。 仮に今回の総裁選で、 高市氏が党員票で圧倒的にトップを取りながら、決選投票で小泉氏に議員票で逆転される ──そんな展開になったら、自民党はどんな未来を迎えるだろうか。 結論から...

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