当たり前の感覚を取り戻す~長年の緊縮財政で日本のインフラはボロボロです~




台風15号による被害は、政府の災害対策が十分に行き渡っておらず、


日本は災害大国であるにも関わらず、


災害に極めて弱い国に成り下がってしまったことを浮き彫りにしています。



【真相深層 台風15号の大規模停電で断水 水道事業のもろさ映す 自家発電配備進まず】
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190921&c=DM1&ng=DGKKZO5006524020092019EA1000

台風15号の大規模停電に伴う断水は、日本の水道事業が直面している危機を改めて浮き彫りにした。全国の水道施設の6割は自家発電装置を備えておらず、停電に無防備な状態だ。人口減などによって各地の事業体の経営は厳しさを増し、災害対策どころか老朽設備の更新さえ滞っている。

千葉県の木更津、君津、富津、袖ケ浦の4市の事業体が4月に合併した「かずさ水道広域連合企業団」では、今回の台風15号によって一時、給水戸数全体の12%に当たる1万7千戸で水道が使えない状態となった。20日午後4時時点でも2002戸が断水している。

原因は水を送るための加圧ポンプが停電で止まったこと。「自家発電装置は大規模な浄水場などにあるだけで、配水の途中にあるポンプ場はカバーできていなかった」と担当者は話す。

2018年9月の北海道地震では44市町村で最大6万8千戸が断水し、揺れによる設備の被害だけでなく停電が原因の地域も広範囲に及んだ。地震を受けて厚生労働省が18年12月にまとめた調査によると、配水に電力を使う全国1万745カ所の施設のうち、6693カ所(62%)が自家発電設備を備えていなかった。

かずさ企業団は19年度に18億円分の企業債を発行し、設備の改修・改良予算を合併前の18年度の合計から3割積み増して44億円とした。だが「老朽化した水道管の改修を優先し、自家発電には予算を振り分けられなかった」(担当者)という。

水道管も老朽化

水道管の法定耐用年数は40年とされており、高度経済成長期に普及した各地の水道インフラは老朽化が進んでいる。日本水道協会によると、全国で耐用年数を過ぎた水道管の割合は16年度に14.8%を占め、今後も増加する見通しだ。

老朽管の更新率の全国平均は近年わずか0.7%台にとどまっており、「地方の事業体は人口減による収入低下で設備改修の余力がない」と厚労省水道課は説明する。

総務省の18年のまとめによると、水道事業を担う全国1263団体の3分の1に当たる419団体で、給水コストが料金を上回る「原価割れ」の状態となっている。


…(中略)


普及率98%に上る日本の高度な水道網が深刻な危機に直面するなか、国は官民連携や市町村を超えた広域化による水道事業の効率化、経営基盤の強化を掲げている。10月には民間企業に運営を委託しやすくする改正水道法が施行される。


…(中略)


水道事業に詳しい日本政策投資銀行の足立慎一郎・地域企画部長は「人口減少が進んでいる地方では特に、更新・防災投資の料金転嫁も避けられない」と厳しい現状を指摘。「首長がリーダーシップを取って広域化を進め、不要な設備や水道管を整理するなどしてコストカットを図り、値上げ幅を緩和していく必要がある」と話している。



…。


高度経済成長期に整備した全国の水道管は老朽化が激しく、


メンテナンスの時期を迎えています。


永遠に朽ちないインフラなど存在しませんので、当然です。


しかし、本来メンテナンスを担うべき政府が、緊縮財政


これでは、水道管の破裂事故が多発しても何ら不思議ではありません。


そんな中で、大規模災害が発生し、


何と千葉県では一時1万7000戸が水道を使えない状況に陥りました。


政府がインフラ整備をサボっている以上、当然の結果です。


こうした状況は、国土強靭化法案の成立に尽力された


藤井聡元内閣官房参与などが、以前から声を大にして警告されていました。


その警告が実現してしまった今、


ただただ、悲しいです。


我々はいい加減、


政府が国民の暮らしを守るためにインフラ整備に予算を掛ける、


という当たり前の感覚を取り戻し、


それを政府に求めなければなりません。



「インフラ整備にお金を回す余裕はないよ。日本は借金大国なんだから」



なんて声が聞こえてきそうですが、


そもそも、人の命が懸かったインフラ整備にお金を惜しむことがおかしいですし、


日本政府の負債は100%自国通貨建てのため、


通貨発行権を有する日本政府は財政破綻は不可能です。


記事には、水道の老朽化に対して、


日本の水道インフラが外資に売り渡される可能性をはらんだ


「改正水道法」があたかも対策になるかのような記述があります。


いや、別に民間にメンテナンスしてもらわなくても政府がやればいいんだけど…。


記事にコメントを付けられている、


日本政策投資銀行の足立慎一郎・地域企画部長さま。


立場を活用して、「単に政府がお金を出して水道を再整備すればいいだけ!」


と言ってくれないかなぁ…。



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