河井案里氏の公職選挙法違反疑惑〜閣僚の辞任が続き安倍政権の痛手となるか〜




広島選出の国会議員、河井克行法務大臣が、


妻で自民党・参議院議員の河井案里氏に公職選挙法違反の疑いが浮上し、


その責任を取って法相を辞任しました。



【河井克行法相辞任 後任は森雅子氏 菅原氏に続く辞任ドミノ】
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191031-00000594-san-pol

河井克行法相(56)=衆院広島3区=は31日、妻の案里参院議員(46)=広島選挙区=の陣営が7月の参院選で法定上限を超える報酬を運動員に渡していたとされる公職選挙法違反疑惑の責任を取り、安倍晋三首相に辞表を提出し、受理された。事実上の更迭となる。首相は後任に自民党の森雅子元少子化担当相(55)=参院福島選挙区=を起用。森氏は認証式を経て正式に就任した。

 9月11日の第4次安倍再改造内閣発足後、閣僚の辞任は公選法違反疑惑で10月25日に辞任した菅原一秀前経済産業相に続き2人目で、1週間で閣僚2人が辞任するのは異例。野党は当面、国会審議に応じない方針で、首相の任命責任を厳しく追及する考えだ。

 首相は官邸で記者団に「責任を痛感している。国民に深くおわびしたい」と述べ、陳謝した。その上で「菅原氏に続き、河井氏が辞職することに厳しい批判があることは真摯(しんし)に受け止めなければならない。身を引き締めて行政の責任を果たしたい」と語った。

(後略)



…。


河井案里氏は今夏の参議院選挙で国政初当選した人物。


何と、現職のベテラン政治家・溝手顕正氏を破っての当選でした。


かねてから、当時の広島選挙区は


自民党が河井氏と溝手氏の両名に候補者を出した異例の選挙として


ちょっとした話題になっていました。


何やら、総理官邸側が河井氏を推し、


自民党側は溝手氏を推していたようで、


同じ組織が分裂したイメージの悪い選挙でしたね。


また、県知事や市長が溝手氏への支持を露骨に示すなど、


政治家のさまざまな思惑が見え隠れしていました。


私自身は、支持基盤の厚い溝手氏が勝つかと思っていましたが、


結果は河井氏の勝利


なんか後味が悪いなと感じていた矢先に、今回の疑惑。


怒りや不信感というよりも、ただただ悲しいという思いです。


まぁ、まだ疑惑ではありますが…。


政治家は選挙で当選できなければただの人ですから、


法律すれすれのことをして、票集めに奔走している人もいるでしょう。


しかし、今回は選挙演説で雇ったウグイス嬢に


過大な報酬を支払っていたということですが、


選挙協力者の買収はいかんでしょう、さすがに。


そうまでして勝ちたかったのか、と考えてしまいます。


正々堂々と選挙で戦えない人が、


言論を通じてより良い政策の実現などできるはずがありません。


疑惑が本当であれば、


河井氏の不誠実さに気が付けなかった有権者にも責任がありますね。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
人気ブログランキングに参加しています。ぜひクリックをお願いいたします。

社会・経済ランキング
にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村

【ツイッター】

東洋経済オンライン・『令和の新教養』から学ぶ「物語」の必要性〜MMTを広める切り口になるか?〜




東洋経済オンラインにて不定期で連載されているコラム「令和の新教養」


先日、そのコラムに島倉原氏の記事が載りました。



【MMTが日本に「公益民主主義」をもたらす理由 「租税国家論」に代わる「新たな物語」が必要だ】
https://toyokeizai.net/articles/-/307183

内外で議論の最先端となっている文献を基点として、これから世界で起きること、すでに起こっているにもかかわらず日本ではまだ認識が薄いテーマを、気鋭の論客が読み解き、議論する「令和の新教養」シリーズ。
今回のテーマは、ホットな話題となっている現代貨幣理論(MMT)。このたび上梓された『MMT現代貨幣理論入門』の監訳者である島倉原氏が、日本にとってのMMTの意義を説き明かしていく。

(後略)



…。


島倉氏は、MMT(現代貨幣理論)を提唱する中心的人物である、


L・ランダル・レイ教授の著作「MMT 現代貨幣理論入門」の監訳を務められた方です。


その島倉氏は、上記の記事の中でMMTについて丁寧に解説した上で、


MMTの認知を高め、経済・財政に関する正しい知識を一般に広める上で、


通貨や税に関する解釈を得て、


「公益民主主義」の物語を創る必要性について書かれています。



(前略)


必要なのは「公益民主主義の物語」か

『表現者クライテリオン』2019年9月号における柴山桂太氏の論稿「国家が貨幣をつくる」では、MMTが人々に受け入れられるうえで最大の障害となるのは、租税国家論に代わる新たな物語の不在なのではないか、という問題提起がなされている。

租税国家論とは、「国民の税金で政府は運営されている。だから政府は国民のために働かなければならない」という物語であり、柴山氏によれば、これが近代以降の国家において、人々の納税意識を支えてきた。


(中略)


必要なのは「正しい貨幣観」に基づく発想の転換

「税金が財源」という見方は政府を家計や企業と同一視することにほかならず、それゆえ私益の論理と結びつきやすいという側面がある。MMTの貨幣観に基づいて、民主主義に基づく政府や通貨制度が公益のために果たしうる積極的な役割を認め、それらへのいわば信任投票として税金を理解する――そうした発想の転換が求められていることを、同書の記述は示唆しているのではないだろうか。

そして、このテーマはMMT受容以前の問題として、第2次世界大戦を経て政府あるいは国家の存在を否定的にとらえる風潮が根強く残り、それが財政法(赤字国債や財政ファイナンスの原則禁止)という形で現在の緊縮財政にも影を落としているこの日本において、とりわけ重要な意味を持つように筆者には思われる。

『MMT現代貨幣理論入門』の示唆をふまえれば、「民主的なプロセスの下で、政府が持つ無限の支出能力を活用してデフレ脱却という公益を成し遂げる」という新たな「公益民主主義の物語」が必要なのかもしれない。



…。


社会通念に沿って生活していれば、


「税金が政府支出の財源になる」という認識に至るのが普通です。


公務員に対して、「君たちは税金で食っているんだから」


って巷ではよく言ったりしますね。


ただ、この認識は実は正しくありません。


その理由は同書での解説に譲りますが、(私も読みました!)


こうした社会通念上の認識が根底から覆ってしまった場合、


頭が混乱し、税金を納める意味を疑ってしまうかもしれません。


ここで、通貨や税に関して新たな解釈をする必要があります。


その解釈として同書が提起するのは、


「政府は景気の安定化装置(ビルトイン・スタビライザー)、所得再分配による格差縮小などの公益のために通貨を発行し、その通貨を税金として受け取ることで通貨制度を裏付けする(日本であれば、日本円の使用を強制する)」


というものです。


なかなか馴染めないでしょうが、これがMMTが示す通貨・税の役割です。


この解釈を踏まえた上で、


『政府の支出能力をフル活用し、デフレ脱却して「公益」を実現する』


という物語が必要です。


人は、どうしても行動などに意味を求めがちですから。


国を統治する場合、神話を用いることがあるのもそのためですね。


通貨や税、政府による公益の実現について、


社会通念を覆し、違和感のないような物語を創ることが


MMTという正しい貨幣観を広めるカギを握っています。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
人気ブログランキングに参加しています。ぜひクリックをお願いいたします。

社会・経済ランキング
にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村

【ツイッター】

今こそ政治の力を!~財政主権を財務省から取り戻し、緊縮財政の打破を~




大規模な災害が相次ぐなか、


政治の世界においても、さすがに防災インフラの整備に向けて


公共事業拡大の声が上がり始めています。



【公共事業予算確保で圧力…台風被害で「防災・減災」関心 自公、長期の「強靱化」計画】
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20191027-OYT1T50261/

台風19号の被害を受けて、自民、公明両党が国土強靱きょうじん化に向けた公共事業費の拡大圧力を強めている。防災や減災に対する国民の関心が高いうちに、継続的な社会資本(インフラ)整備の予算獲得を確実にしたいとの狙いからだ。


財政規律重視 財務省難色

 両党は23日に幹事長、国会対策委員長間で防災・減災と国土強靱化に関するA4判1枚の合意文書をまとめた。強靱化を「国家百年の大計」と位置付け、政府に対し、中長期の新たなインフラ整備計画を作り、必要な予算を確保するよう求める内容となっている。

 主導したのは、国土強靱化の旗振り役である自民党の二階幹事長だ。二階氏は今月17日、台風19号で利根川の氾濫を防ぐ働きをしたとされる八ッ場ダム(群馬県長野原町)を視察した。

 同ダムを巡っては、2009年に誕生した民主党政権が「コンクリートから人へ」をスローガンに一時、建設中止を表明した経緯がある。二階氏は視察で「この現状を見ると『自民党も重要なことを指摘しているな』と思うはずだ」と述べ、野党を当てこすった。

 公明党も自民党と足並みをそろえている。12年の第2次安倍内閣発足後、一貫して国土交通相ポストを押さえていることもあり、この間の国政選挙では防災・減災対策を公約の目玉に据えてきた。今年9月まで約4年、国交相を務めた石井啓一幹事長代行を党の対策本部長に充て、今月25日には台風対策の提言を政府に提出した。石井氏は「災害対策は国政の最重要課題の一つ」と強調した。

 政府による国土強靱化基本計画に基づく現在の緊急対策は3か年で、20年度に期限切れを迎える。自民、公明両党は、今から公共事業による防災・減災への機運を盛り上げて、21年度以降の新たな対策の作成、予算規模の拡充につなげたい考えだ。

 現在の公共事業予算は1990年代後半のピーク時に比べ半分近くにとどまる。東日本大震災による復興需要も落ち着きつつある。自民党中堅は「国民の防災への関心が高いうちに長期間の予算を確保したい」と語る。

(後略)



…。


国民の生命・財産を守るための公共事業を実行するために、


予算を獲得するべく、圧力をかける。


実に真っ当な政治の動きだと思います。


ここ20年ほどは、とかくこの動きが叩かれがちでした。


「公共事業悪玉論」が世間に蔓延していたんですね。


記事にもある通り、


現在の公共事業予算はピークの半分にまで減っています。



日本の公共事業関係費の推移(兆円)
(出典:新世紀のビッグブラザーへ http://mtdata.jp/data_62.html#KJ



ところが、これほどまでに毎年災害で甚大な被害が出ると、


悪玉論を振りかざす人は随分と減ったようです。


しかし、こうした政治家の予算圧力をかわそうとするのが、


ご存知、財政規律を国民経済よりも重視する財務省です。


案の定、政府・与党からの予算圧力を警戒しているようですが、


こういう時こそ、「政治の力」の見せ所でしょう!


官僚が薦めてくる政策に対して、


本当に国民の生活向上に役立つものかどうかを考え、実現までもっていく。


逆に、政治家が薦めたい政策に対して、


官僚が歯止めを掛けなければならない時もあるでしょう。


例えば、高インフレ期の政府支出拡大など。


こうした政治家と官僚の綱引きを通じて、


国民生活を向上させる政策を実現する。


これが国の中枢で本来行われなければならないはずです。


ところが、今は財務省(官僚)の力があまりにも強すぎ、


綱引きが成り立っていません。


この現実が今の日本の一番の問題だと思います。


災害から国民の生命・財産を守るために、予算を使う。


これに反対する人などいないと思います。


今こそ、政治家の皆さんは力を発揮して、


財務省との予算権限の綱引きに勝利してください!



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
人気ブログランキングに参加しています。ぜひクリックをお願いいたします。

社会・経済ランキング
にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村

【ツイッター】

認識の甘いエリート経営者~消費税の影響を舐めてはならない~




10月1日に消費税率が引き上げられました。


消費税は消費に対する罰金なので、


消費が今まで以上に低迷するのは明らかに思えるのですが、


そうではないと考える方もいるようです。



【月曜経済観測 増税後の消費行動 来月は巡航速度に アサヒGHD社長 小路明善氏】
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20191021&c=DM1&ng=DGKKZO5120910020102019NN1000

消費増税に伴う駆け込み購入と買い控え、ラグビー・ワールドカップ(W杯)の盛り上がり、台風19号に備えた備蓄などで消費活動の変動が大きくなり、実像が見えにくくなっている。アサヒグループホールディングスの小路明善社長に消費の現状と先行きについて聞いた。

「コト消費」が支え

――消費税率が10%に上がった10月1日前後の商況について教えてください。

「9月のビール類の販売数量は(前年の新製品の在庫積み上げ等の)特殊要因を除くと前年同月比で17%増で、業界全体の動向(推計)とほぼ同じだった。10月は中旬までは4%増となっていて全体を通すと前年を若干下回るだろう。前回(2014年)の消費増税時は税率引き上げ前に17%増、増税後は3%減だったので傾向は同じだ」

「ただ増税を機に消費低迷が長引いた前回のようなことにはならないと考えている。おそらく10月末から11月中旬ころには平準化していると思うし、そこから巡航速度で推移していくだろう。消費の谷のような現象は起きないはずだ」

――なぜでしょうか。

「増税後のポイント還元などの政府の支援策が下支えしているからだ。加えて生活者の購買行動が2年くらい前から大きく変わってきていて、イベントなどの『コト消費』に敏感に反応するようになった。メリハリがより効いている

「ラグビーW杯を例に挙げると、アサヒビール直営のビアホールのビールの売り上げは前年比で3倍になっている。31日にはハロウィーンを控えている。年末年始もいろいろなイベントがあり、期待できる」

価格上昇の条件

もはや商品の機能や品質のような『物性価値』では、競合他社に比べて違いが出しづらくなっている。新たな購買体験による共感、感動など主観的なもので商品が選ばれる時代だ。今年、ビールの『スーパードライ ザ・クール』を小瓶で提供する実験店舗を東京・表参道に出した。ターゲットは若者で極めて好調だった。缶やペットボトルで酒類や飲料を口にしていた若者にとって、肉厚なガラスの飲み口は新鮮な体験と感じてもらえた」

(後略)



…。


アサヒグループホールディングスと言えば、


アサヒビールなどを傘下に抱える超一流企業


その社長とは紛れもないエリートだと思いますが、


その小路氏は消費増税の影響への認識はかなり楽観的なようです。


しかし、その理由として挙げられていることは


心もとないように思えます。


楽観視する理由の1つである政府によるポイント還元制度ですが、


この制度は来年6月末までの時限措置です。


つまり、その時期が過ぎれば軽減税率対象商品(食品・新聞)以外は


税率10%になります。


恒久的な制度ではないものを頼りにするのは


理由としてあまりにも弱いと思います。


もう1つの理由に「コト消費」の隆盛を挙げられています。


ただ、コト消費すなわち消費者のモノと連動したイベントを好む傾向は、


20年以上デフレが続き、多くの国民が貧困化を続ける中で、


質が高く、価格の高いモノを購入できなくなった消費者が


やむなく高くない商品をイベントと絡めて楽しむようになったことで


生じているように思えます。


所得が十分に上がっていれば、


誰しもが質の高い、価格の高い商品を買うと思います。


ていうかそもそも、


記事にある通り、消費の活発化をラグビーW杯やハロウィーンなどの


イベントに期待する発想がなんともセコく感じてしまいます。


もしかすれば小路氏は、


消費税率アップで消費が低迷することを理解していながら、


そうならない理由を必死で探されているのではないでしょうか?


もしもそうであるならば、


影響力のある立場、エリートとして、


堂々と消費税率引き上げ反対・減税要求を政府に呼びかけてほしいです。


そうなれば、同社ビールをもっと買いたくなりますね。笑



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
人気ブログランキングに参加しています。ぜひクリックをお願いいたします。

社会・経済ランキング
にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村

【ツイッター】

日本が財政拡大し世界の規範に!~世界が日本の積極財政を求めている~




世界の主要国が金融政策偏重を見直し、


財政政策も活用すべきだという声が挙がる中、


消費税率の引き上げなど、緊縮財政路線をひた走る


日本の今後に注目が集まっています。



『【G20関連】財政政策重視、金融政策頼みに限界 日本の対応注目』
https://www.sankei.com/economy/news/191019/ecn1910190012-n1.html

今回の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では世界経済の悪化リスクに対処するため、公共事業などへ国の歳出を増やして景気を刺激する財政政策を重視すべきだとの意見が相次いだ。これまで各国は金融政策に頼ってきたが、限界や弊害が表面化してきたことが背景にある。今後はまず、消費税増税のタイミングに台風19号直撃が重なった日本の対応が世界の注目を集めそうだ。

 「政策手段を総動員し、強固で持続可能、バランスのとれた成長を目指すべきだ」。麻生太郎財務相は閉幕後の記者会見でこう訴えた。財務省高官によると、「初日の討議で、景気回復には金融政策だけでなく、財政政策も重要だとの発言が出た」という。

 会議に先立つ15日、国際通貨基金(IMF)は2019年の世界全体の実質経済成長率の予想を3・0%と、前回7月時点から0・2ポイント下方修正した。下方修正は昨年10月以降、5回連続。米中摩擦の悪影響が、思った以上に深刻化していることが背景にある。

 世界経済の変調に、各国は金融政策の強化で対応してきた。日銀や欧州中央銀行(ECB)はマイナス金利政策を長期化し、米連邦準備制度理事会(FRB)は今年に入り2回、利下げしている。

 ただ結果的に金融政策は成長減速を食い止められていない。また、低金利による利ざや縮小で金融機関の業績が悪化するなどの「副作用」も鮮明になり、「金融システムが破壊されている」(ドイツ銀行のゼービング最高経営責任者)といった批判が強まっている。

これを受け主要国で強まり始めたのが、「金融政策頼み」をやめ、財政政策にシフトすべきだとの声だ。IMFのゲオルギエワ専務理事は今月8日の講演で「通貨政策と金融政策だけでは役に立たない」と主張。ECBのドラギ総裁も9月、「今こそ財政政策が責任を負うべき時だ」と訴えた。

(後略)



…。


主要国の政策担当者も、ようやく財政政策の重要性に認識が至ったようですね。


遅すぎる気もしますが、気が付かないよりかはマシでしょう。


どれほど各国の中央銀行が量的緩和で通貨を発行しても、


それが借りられ、使われなければ、


誰の所得にもなりません。


こうした当たり前とも言える事実を把握していた人はきっと多いでしょう。


ただ、事実を把握していない人と


自分のビジネス拡大のために把握していないフリをしている人たちの


政策への影響力が強すぎたため、ここまで来てしまったのだと思います。


興味深いのは、


EU加盟の規則に則り、イタリアなどの財政赤字の拡大を非難し、


「財政規律」を厳しく指導してきたECBの総裁


財政政策の必要性を訴えていることです。


もしかすると、時代が変わりつつあるのかもしれません。


そんな中、日本はどうでしょうか?


10月1日に消費税税率を引き上げ、


台風15号、19号で甚大な被害が生じている中、


防災インフラ整備などのための大型補正予算の編成などの声は今の所聞こえてきません。


水面下では動いているのかもしれませんが…。


日本でも、財政政策の必要性を感じている人は少なくないと思います。


ただ、他の国と同様に、


政策への影響力が小さすぎるのでしょう。


しかし、世界の潮流が変わり始めている今、


政策転換のチャンスが巡ってきているのかもしれません。


反・緊縮財政派は、このチャンスを逃してはなりません!


普段「海外では~」とよく言っている人に手伝ってもらいたいですね笑



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
人気ブログランキングに参加しています。ぜひクリックをお願いいたします。

社会・経済ランキング
にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村

【ツイッター】

時代遅れの構造改革論~平成時代の失敗を令和に持ち込むな~




日本経済新聞の紙面には、「大機小機」という匿名のコラムがあります。


匿名ゆえに比較的自由度が高い内容が載っているようです。


先日、そのコラムに「時代遅れでは?」と感じる内容の記事が。



【大機小機 香港の自由と日本】
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20191018&c=DM1&ng=DGKKZO5110761017102019EN2000

米へリテージ財団とダウ・ジョーンズが毎年発表している世界の経済自由度指数によると、常に1位香港、2位シンガポール、最下位の北朝鮮が定着している。この指数は、1人当たり所得、経済成長率、起業家のダイナミズム、民主主義の程度、貧困率の低下、平等などと非常に高い相関があることが分かっている。1人当たり国内総生産(GDP)はシンガポール8位、米国9位、香港17位で日本の26位よりも高い。

西側諸国の価値観では経済発展で豊かになれば、国民が自由を求めて民主主義が浸透するとされていた。GDPが世界第2の中国ではなお民主化の兆しが見えず、この価値観の違いが米中摩擦の根本原因となっている。

中国の経済自由度指数は100位で、1人当たりGDPは70位だ。経済的自由に政治的自由が伴わないのは中国がなお1人当たり所得では貧しいからか、あるいは豊かになっても民主化しない国家が可能なのかが問われている。自由をよりどころに発展した香港の1人当たり所得は既に高いため、香港の一国二制度を巡る混乱はこの問題の先行きを占う世界史的意味を持つ。

一方、日本の自由度指数ランキングは2001年に14位だったが19年は30位に低下している。これは市場経済に移行した新興諸国が積極的な自由化政策と既得権益のしがらみのない急速な新技術導入で成長し、順位を上げたためである。アジア太平洋地域に限っても、台湾、マレーシア、韓国よりも低い8位である。

日本でも多様な成長戦略が提言されているものの、行動にスピード感がなく、その差は開くばかりである。低成長の原因は少子高齢化や人口減少ではなく、成長の原動力である新技術導入と普及の遅れにある。かつての規制緩和のかけ声も最近では影が薄い。

明治維新や高度成長期など最も成長した時期は既存体制の破壊を恐れず貪欲に新技術や新システムを導入した。全国民が市場の喪失や職種転換など変化の荒波に巻き込まれたが、めまぐるしい変化にそれぞれが懸命に対応してきた結果が現在の日本である。

一定の豊かさを得ると変化で失うものも増えて政治は保守化する。豊かになっても国際的競争を意識して国の活力を維持し続けるのは、より良い次の時代への貪欲な渇望である。

(桃李)



…。


「経済新聞」の立場から、


日本経済を世界と比較して論考するのは大切なことですが、


日本経済が伸び悩んでいることを「規制緩和」などの


「構造改革」が足りないからだ、というのはあまりにも的外れです。


日本経済が成長できていないのは、単にデフレだからです。


記事では、新技術導入の普及の遅れを嘆いていますが、


それはデフレゆえに企業が投資に踏み込むことができないからです。


今は、日本の多くの企業は人手不足に悩んでいます。


デフレから脱却できれば(+移民政策を進めなければ)、


人手不足を埋めるための設備・技術開発投資に多くの企業が乗り出すでしょう。


というか、そうせざるを得なくなる。(でないと、人手不足倒産)


日本経済の将来を憂うことは結構ですが、


20年以上実行し続け、我々をひたすら貧困化させてきた


時代遅れの構造改革論を振りかざすのは控えてもらいたいです。


デフレの今必要なのは、規制緩和・構造改革ではなく、


総需要(消費・投資)不足を補うための


政府による大規模な財政出動です。


日本経済新聞社のほどの影響力のある媒体が、


政府に財政出動を求めてくれたらいいんだけどなぁ…。(無理だけど)



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
人気ブログランキングに参加しています。ぜひクリックをお願いいたします。

社会・経済ランキング
にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村

【ツイッター】

「食」の安全保障意識を高めよう!~農業は国の根幹を支えるもの~




元内閣官房参与で、京都大学大学院教授の藤井聡氏が、


農業協同組合新聞に寄稿されていました。



【「食料自給率」向上は「国家安全保障」に必須『藤井聡・京都大学大学院教授』】
https://www.jacom.or.jp/noukyo/tokusyu/2019/10/191009-39335.php

わが国のカロリーベース食料自給率は史上最低の37%まで落ち込んでしまった。私たちは食料を海外に6割以上も依存していることになる。大きな要因が農業生産基盤の弱体化であり、農村地域の危機である。それはこの国のかたちにも関わる問題である。たんなる農業振興の方策ではなく、この国で人々が持続的に暮らしていくための視点を持って考えなければらないと考え、この特集を企画した。
 第2回は、藤井聡京都大学教授に寄稿していただいた。

あらゆるインフラは、私達の社会、経済、暮らしを支える極めて枢要な役割を担うが、「食」に関するインフラ、つまり「食産業インフラ」は、それらの中でもとりわけ重要だ。日本経済がどれだけ疲弊しようが、エネルギーの輸入が途切れようが、食料さえ自給できていれば、とりえず生きて行くことができる一方で、どれだけ経済が強くても、食料が途絶えれば国民は生きて行くことすらできなくなってしまうからだ。

 かくして、「食料安全保障」、そしてそのための「食料自給率」の向上は、我が国における枢要な国家政策に位置づけられているのである。
 しかも、仮に海外から食料を輸入可能な状況が持続できたとしても、莫大なカネを、食料輸出国に支払い続ける状況を回避することはできない。そしてそれは、日本経済に巨大なデフレ圧力をかけることとなり、経済を激しく疲弊させることとなる。しかも特定の外国から「食料を買い続けなければならない」という事態は、当該国との外交における大きな弱みとなる。
 つまり、食料自給率が低ければ、(1)国民の健康と生命が守れなくなるリスクを負うばかりで無く、(2)持続的な海外への支出拡大とそれを通した日本のデフレ不況拡大の巨大リスクを負っていると同時に、(3)海外の食料供給国達に将来日本を脅すのに使えるかもしれない巨大な「外交カード」をタダで配り歩いていることになるのである。こうした理由から、食料自給率問題はあらゆる国家において、安全保障の根幹を成す問題と位置づけられているのである。


(中略)


 以上の議論をまとめれば、次のようになる。
 食料自給率の向上は、日本の経済成長のためにも、安全保障の観点からも極めて重要な国家的課題である、したがって、日本以外の先進諸外国では、食料自給率の向上を企図して、豊富な国費を投入している。ところが我が国日本は、諸外国に比して低い水準の国費をしか農業に投入していない。しかも愚かな事に、そのような状況下であるにも関わらず、自由貿易を加速してしまっている。そうなれば必然的帰結として今、我が国の食料自給率は低い水準に留まり、そして今後、さらに低下していくことになる。
 つまり我が国政府は、食料自給率を下落させ、日本経済をさらに悪化させ、国家安全保障を悪化させる政治を、自らの取り組みを通して推進してしまっているのである。
 しかも、政府が進めている「安全保障の毀損」「経済悪化」は、「緊縮」プラス「自由貿易推進」だけではない。
 農業の発展にとって必須である農家の協力体制をさらに弱体化させるような農協改革を進めている。さらには、日本の農業の国産化において何よりも大切であった法制度の一つである「種子法」を解体してしまった。それを通して、日本の農業はさらに弱体化し、外資の影響力をさらに強化してしまった。
 こうして我が国の農業は「風前の灯」のような状況に追い込まれてしまっている。そしてそれは、繰り返すが日本の貴重な所得を諸外国にばら撒くことを通して経済低迷圧力を強化させており、かつ、安全保障を悪化させるという事を通して、日本の農家が苦境に立たされるのみならず、全ての国民の利益が激しく毀損する事態を招き続けているのである。


(後略)



…。


日本の食料自給率が低いことを問題視する声が、


私が小学生の頃から上がっていたように思います。


しかし、政府が諸外国に比べて農業の保護が極めて薄い以上、


自給率が低迷して当たり前です。


なぜ、これほどまで農業の保護が手薄なのか…?


その要因は様々あると思いますが、


最たるものは、「安全保障観の欠如」だと思います。


農業は、藤井氏が挙げられているように、


食うに困ることがなければ、とりあえずは生きていけるという


国として極めて重要な政策・産業として位置づけられるものです。


しかし、我々の多くはいつの間にか、


「食料の確保なんてたやすいこと。いざとなればお金を出して外国から輸入すればいい」


という甘い認識を抱くようになったのではないでしょうか?


食べ物が食卓に滞りなく届くのは、無数の人が動いた上で成り立っていますし、


外国から輸入しようとした際に、


その国が大規模な災害に遭い、輸出分が確保できなくなったらどうしますか?


その国は自国民を飢えさせてまで、輸出なんてしてくれませんよ。


国防と同じで、多くの人が「どのように自分たちが食べていくか」


という安全保障観を恐らく忘れてしまっているんでしょうね。


でなければ、諸外国との農業保護の差を知れば、


政府はもっと農業を保護すべきだ!という声が挙がるはずです。


かつて、「日本の農業は守られ過ぎている。もっと競争を促せば成長できる」


なんて意見を政治家でおっしゃられていた方がいたようですが、


実態をよく把握されていない上に、


仮にそんなに成長の余地があるのならば、


農業は後継者不足に悩むことなく、もっと若者が就農していると思います…。


…。


こうした記事にあるような事実を知り、


「食」の安全保障意識を高めていきましょう!



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
人気ブログランキングに参加しています。ぜひクリックをお願いいたします。

社会・経済ランキング
にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村

【ツイッター】

イギリスの町から移民問題を考える~イギリス国民はなぜEU離脱を選択したのか~




イギリスのEU離脱が迫る中(予定では10月末)、


同国・ボストンでの早期離脱を望む声が日経新聞で紹介されています。



【ブレグジット前夜(3) 移民はもううんざりだ】
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20191009&c=DM1&ng=DGKKZO5068107007102019EA1000

「ブリュッセル官僚に牛耳られるのは、もううんざりだ! 早く離脱実現を」。10月末の欧州連合(EU)からの「合意なき離脱」を阻止する英法案可決から一夜明けた9月5日。ロンドンから北に150キロメートルほど離れた町ボストンで、140年続く衣料品店を営むリチャード・チアー(65)は語気を荒らげた。10月末までの離脱を約束してきた英首相のボリス・ジョンソン(55)の行く手を阻む英議会への憤りをあらわにする。

ボストンは中世の教会などの建物が残る以外は特段の特徴がない、人口7万人弱の小さな町。しかし2016年のEU離脱を問う国民投票で、一躍有名な町へ転じた。離脱賛成票が全国最高の7割超に達したからだ。理由はEU拡大に伴う東欧からの移民の急流入。ボストンの人口は01年から11年までの10年で約15%も増え、約7%増だった英国全体を大きく上回った。

中心部から5分も車を走らせれば、広大な野菜畑が広がり、大型の農業トラクターが行き交う。収穫された野菜は、近くの加工施設に運ばれ、洗浄、袋詰めや冷凍を経てロンドンなど大都市のスーパーマーケットへ出荷されていく。低賃金の作業を黙々と支えるのは、ポーランドやルーマニアなど東欧やバルト3国からの移民たちだ。

しかし移民の急流入は、家賃の高騰や病院の混雑などにつながり、昔からのボストンの住民の不安をかき立ててきた。元船員で年金暮らしのビル・スモーリー(74)は「小さな町なのに、街中で外国語が飛び交う。受け入れるのは簡単ではない」とこぼす。


(後略)



…。


移民問題について、


ボストンのようにもろに影響を受けている地域の声は


やはり切実なようです。


我が国も昨年末、出入国管理法を改正(改悪?)し、


本格的な移民受け入れに舵を切りました。


こうした政策を推進した勢力は、


記事で紹介されているボストンのような地域の実情を


十分に把握した上で、判断されたのでしょうか。


…。


移民問題が厄介なのは、


記事にもある通り、移民が低賃金労働に従事することで、


移民なしには商売ができなくなる方々が発生してしまうことです。


つまり、一度移民を受け入れてしまえば、


何らかの問題が発生して受け入れを止めようとしても、


それに反対する勢力が出てきてしまうということです。


国民間で分断が生じてしまうわけですね。


これが、イギリスが簡単にEU離脱できない理由の1つです。


また、移民がその国や町に定住すれば、


移民の方が出生率が高い分、


やがて移民の方が人口に占める割合が増えてくるでしょう。


最終的には、国や町の中に「別の国」が出来上がります。


いかに、移民政策が後戻りできないものかが分かります。


TPP11日米FTAなど、日本の主権を縛る国際協定が締結されていますが、


それらは、協定を破棄するなどして後戻りすることは、


ある意味では可能です。


しかし、移民政策は後戻りができません。


こうした現実を踏まえた真っ当な議論や政策が必要です。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
人気ブログランキングに参加しています。ぜひクリックをお願いいたします。

社会・経済ランキング
にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村

【ツイッター】

災害に国家なしでは立ち向かえない~緊縮財政を打破し、防災インフラの整備を~




台風19号が各地に甚大な被害をもたらしています。


そんな中、日本経済新聞に以下の記事が掲載されました。



【「もう堤防には頼れない」 国頼みの防災から転換を】
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50958710T11C19A0MM8000/

首都を含む多くの都県に「特別警報」が発令され、身近な河川が氾濫する事態を「自分の身に起きうること」と予期していた市民は、どれほどいただろうか。近年、頻発する災害は行政が主導してきた防災対策の限界を示し、市民や企業に発想の転換を迫っている。

2011年の東日本大震災は津波で多数の死傷者を出し、防潮堤などハードに頼る対策の限界を見せつけた。これを教訓に国や自治体は、注意報や警報を迅速に出して住民の命を守る「ソフト防災」を強めた。しかし18年の西日本豪雨でその限界も露呈した。気象庁は「命を守る行動を」と呼び掛けたが、逃げ遅れる住民が多かった。

堤防の増強が議論になるだろうが、公共工事の安易な積み増しは慎むべきだ。台風の強大化や豪雨の頻発は地球温暖化との関連が疑われ、堤防をかさ上げしても水害を防げる保証はない。人口減少が続くなか、費用対効果の面でも疑問が多い。

西日本豪雨を受け、中央防災会議の有識者会議がまとめた報告は、行政主導の対策はハード・ソフト両面で限界があるとし、「自らの命は自ら守る意識を持つべきだ」と発想の転換を促した。


(後略)



…。


これだけ毎年、災害が多発する中で、


日経新聞としては、


防災インフラの整備などはもう限界!国民は政府を頼るな!


と言いたいようです。


読んでいて、何だか悲しい気持ちになりました…。


公共事業バッシングを改め、


国民の生命・財産を守るために、防災インフラ整備に予算を回そう!


と、提言するのかと思えば、その全く逆を主張する。


記事を書いた記者の方の本位ではないと信じたいですが、


紙面に載せたということは、会社として問題ないということなのでしょう。


国内最大の経済新聞が、こうした残酷な記事を堂々と載せる。


何かが間違っていると感じなければ、おかしいと思います。


さらに同記事は、防災インフラ整備について


人口減少を理由に費用対効果を疑問視しています。


人命よりも「おカネ」が大事なんですか…?


おカネなんてその気になれば、中央銀行がいくらでも発行できます。


しかし、人命は違うでしょう?


防災訓練の蓄積(ソフト面)は確かに重要です。


ただ、それと同等以上に、インフラ整備(ハード面)も重要です。


災害から個人の力だけで身を守ることは不可能です。


上記の記事に違和感を持つ人で溢れることを願います。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
人気ブログランキングに参加しています。ぜひクリックをお願いいたします。

社会・経済ランキング
にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村

【ツイッター】

改革好きのお爺さん~ファーストリテイリング・柳井正社長の使命感~




柳井正さんといえば、


言わずと知れた、「ユニクロ」などを展開するファーストリテイリングの創業者です。


その柳井氏が日経ビジネス誌のインタビューで怒りを強調されています。



【柳井正氏の怒り 「このままでは日本は滅びる」】
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/depth/00357/

日本の再成長への一手を考える「目覚めるニッポン」。今回は柳井正ファーストリテイリング会長兼社長。政治的な発言を控える経営者が増えるなか、柳井氏はあえて直言をやめない。怒りともいえる危機感を示し、企業経営から政治まで大改革の必要性を説く。


最悪ですから、日本は。

 この30年間、世界は急速に成長しています。日本は世界の最先端の国から、もう中位の国になっています。ひょっとしたら、発展途上国になるんじゃないかと僕は思うんですよ。

 国民の所得は伸びず、企業もまだ製造業が優先でしょう。IoTとかAI(人工知能)、ロボティクスが重要だと言っていても、本格的に取り組む企業はほとんどありません。あるとしても、僕らみたいな老人が引っ張るような会社ばかりでしょう。僕らはまだ創業者ですけど、サラリーマンがたらい回しで経営者を務める会社が多い。こんな状況で成長するわけがない。

 起業家の多くも上場して引退するから、僕は「日本の起業家は引退興行」と言っています。今、成長しているのは本当の起業家が経営している企業だけです。

 結局、この30年間に1つも成長せずに、稼げる人が1人もいない、稼げる企業が1社もない。いや、1社はあるかもしれないですけど、国の大きさからいったらあまりにも少ないし、輸出に依存していてグローバルカンパニーにはなっていない。稼いでいる人がいなかったら家計は成り立たないでしょう。30年間、負け続けているのにそのことに気付いていません。

 柳井会長はインタビューの冒頭から、怒りをみなぎらせた表情で日本の現状を語った。そして話は政治改革に向かっていった。

 日本出身ということは必要で、日本のDNAはすごく必要だけど、強みが弱みになっています。例えば、みんなと一緒にやるという強みが弱みになってしまっている。たとえば忖度(そんたく)で公文書を偽造するのは犯罪で、官僚なら捕まって当然でしょう。

 民度がすごく劣化した。それにもかかわらず、本屋では「日本が最高だ」という本ばかりで、僕はいつも気分が悪くなる。「日本は最高だった」なら分かるけど、どこが今、最高なのでしょうか。

 新聞のスポーツ欄を見たらよく分かります。日本選手が3位や4位になったという記事ばかりで、1位は結局、誰かが書いてない。オリンピックなどにたきつけたお祭り騒ぎで、ローマ帝国の「パンとサーカス」と一緒ですよ。国民がそうした生活に明け暮れ、気が付いたらパンが全部なくなり、サーカスをする費用もなくなっていくということです。

 いわゆる「ゆでガエル現象」というものが全部でき上がってしまった。私はそんな日本についてあきれ果てているけれど、絶望はできない。この国がつぶれたら、企業も個人も将来はないのですから。だからこそ大改革する以外に道はないんですよ。

まずは国の歳出を半分にして、公務員などの人員数も半分にする。それを2年間で実行するぐらいの荒療治をしないと。今の延長線上では、この国は滅びます。邱永漢さんも亡くなる前に「日本は政治家と生活保護の人だけになる」と言っていました。でも滅びると思っている人がほとんどいません。

 参議院も衆議院も機能していないので、一院制にした方がいい。もっと言えば、国会議員もあんなに必要ないでしょう。町会議員とか村会議員もそう。選挙制度から何から全部改革しないと、とんでもない国になります。


(後略)


…。



今の日本の現状について、かなりお怒りの様ですが…、


言っていることは滅茶苦茶です。


今の日本が20年近く経済成長できていないのは事実ですが、


それは個人や経営者が無能だからではありません。


単にデフレだからです。


デフレ下でGDPを成長させることは不可能です。


また、デフレから脱却するのも個人や経営者の力では不可能です。


政府の経済政策が間違い続けているから、デフレが続き経済成長できていないだけです。


柳井氏は、停滞からの脱却策として「大改革」の言葉を使い、


国家の歳出削減や公務員、国会議員数の削減などを例に挙げられております。


今の日本経済を低迷させている「デフレ」は、


総需要(消費・投資)が不足して生じる現象です。


柳井氏が挙げた国家の歳出削減や公務員、国会議員数の削減は


いずれも総需要を削る政策です。


そんなことをしたら、デフレがますます悪化してしまいますよ💦


…。


平成の30年間は、


こうした影響力のある方々が同じような議論を展開し、


日本は一向にデフレから脱せず、全く経済成長できませんでした。


日本や若者の未来を憂う熱い気持ちは分かります。


ですが、間違った方向にその情熱を使うのは控えていただきたいです。


我々も、こうした改革論に騙されるのは、


いい加減やめましょう。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
人気ブログランキングに参加しています。ぜひクリックをお願いいたします。

社会・経済ランキング
にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村

【ツイッター】

経済学者・吉川洋氏の変化~かつては財務省の緊縮財政を批判していた!?~




吉川洋さんと言えば、


東京大学名誉教授であり、日本経済学会会長や


財政制度等審議会会長などを歴任するなど、著名な学者さんです。


そんな吉川氏のインタビュー記事が新聞に掲載されました。



10%が問う日本 識者に聞く 景気の議論に偏りすぎ 立正大学学長 吉川洋氏
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20191002&c=DM1&ng=DGKKZO5047523001102019EE8000

消費税率が1日から10%に上がった。税収の増加分は少子高齢化で膨らむ社会保障費用の財源の一部に充当される。5年半ぶりの消費増税をどう評価すればよいのか。今後の国民負担や社会保障給付の課題は何か。識者に聞いた。

軽減税率やキャッシュレス決済のポイント還元制度に教育無償化など政府が様々な手を打ったのは景気の落ち込みを避けたいからだ。しかし今回の対策はやりすぎだろう。とりわけポイント還元は時限措置にせよ分かりにくい。そもそも増税を巡る議論が景気の話にばかり偏っているきらいがある。消費税の本来の役割や意義を考える視点が欠けている。

もちろん増税は景気を左右する。橋本内閣が税率を5%に上げた97年は深刻な不況に陥った。夏にタイから始まるアジア通貨危機があり、秋には山一証券の破綻など金融危機が起きた。ただ後から振り返って景気に最も影響したのは(増税ではなく)金融危機だ。

14年の増税時は消費が低迷した。増税で実質の所得が減るので消費の水準が下がりはする。しかし、その後の消費がなかなか回復していないことに増税は関係していない。本質的な問題は賃金の伸び悩みや社会保障の不安だ。

やはり大事なのは長期の課題、要するに社会保障の将来ではないか。高齢化が進めば社会保障の財源・財政はさらに苦しくなる。それを支える本命が消費税だ。その本質を政治がきちんと説明すべきだ。

よく消費税は逆進的と言われるが、国民年金や国民健康保険などの定額保険料の方が逆進性は大きい。2000年代以降、マクロでみても税よりは社会保障負担が増えている。税のうち所得税は累進的で平等とされるが、捕捉の問題があり、それほど単純ではない。

グローバル化で企業が立地を選ぶ時代、法人税は税率引き下げの国際競争が起きている。そもそも制度上、景気が良くても税金を払っていない企業が少なくない。法人税を払わない企業も消費税は負担する。消費税は徴税コストが低いかたちで課税できる優れた制度と言える。

何より消費税には世代間の公平性がある。保険料や所得税を負担するのは主に現役世代だが、消費税は高齢者も等しく負担する。景気に左右されにくい安定性もあり、社会保障の財源にふさわしい。社会保障が手厚い欧州も付加価値税(日本の消費税に相当)が財源の核になっている。日本が大きな意味でその方向に歩むのは正しい。


(後略)



…。


権威のある方ではあるのですが、


おっしゃられていることに多くの間違えがあるように思えます。


例えば、消費税の公平性について。


多くの思慮が浅い方は「国民全員に課税されるから、公平だ!」


なんて言う方がいますが、トンデモありません。


消費税は、低所得者に厳しく高所得者には痛くもかゆくもない税金です。


それは消費性向(所得から消費に回す割合)と関係しています。


例えば、



・A氏 年収1000万円 消費性向50% 支払った消費税 50万円
・B氏 年収200万円 消費性向100% 支払った消費税 20万円



一見すると、A氏のほうが税負担が重いように思えますが、


所得に占める消費税の割合を計算すると、


A氏は5%、一方でB氏10%と、所得に占める消費税の割合は


B氏の方が2倍になってしまいます。


こんなこと、吉川氏ほどの学者であればとっくに把握されているでしょう。


さらに、記事の中盤で消費税の逆進性が大きいことについて、


社会保険料の方が逆進性が大きいと主張されています。


いや、それは消費税の逆進性の大きさとなんの関係もありません。


こういうのを詭弁と言います。


また、消費税は景気に左右されないことがいい所だと主張されていますが、


景気に左右されないということは、


赤字だろうと所得が低かろうと、容赦なく徴収されるという欠陥税制であり、


税金にあるべき自動安定化装置(ビルトイン・スタビライザー)


存在しない、ということです。


貧乏人は死ね!ということでしょうか…ね?


…。


こうした権威のある方がこうしたインタビューを出されていることを考えると、


悲しくてなりません。


因みに、吉川氏はかつて「転換期の日本経済(岩波書店)」(1999年)を刊行し、


以下の文章を残しています。



「社会保障制度の基本に立ち返りどのようなシステムを設計するかではなく、ともかく財政赤字を抑制するためには数字の上でどのようなことがなされなければならないか、という議論が先行してきた。そのために『国民負担率』をめぐる議論と同じように、社会保障を抑制しないと日本経済が『破局』をむかえるというプロパガンダが使われてきた



…。


何て、真っ当な意見でしょうか。


吉川氏は、ここまで変わってしまわれたんですね…。


残念です。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
人気ブログランキングに参加しています。ぜひクリックをお願いいたします。

社会・経済ランキング
にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村

【ツイッター】

思考の転換を!~ステレオタイプな公共事業・悪玉論を捨て去ろう~




先日、日本経済新聞の紙面に


政府の財政状況を強烈に糾弾する記事が掲載されました。



【10%が問う日本(2)止まらぬ借金の誘惑 増税しても緩む財政規律】
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20191002&c=DM1&ng=DGKKZO5047798001102019MM8000

道東自動車道、米子道、徳島道……。この春、全国16区間の高速道路で4車線化の計画が動き出した。約1兆円の財政融資資金を使うもので、新名神高速道路の6車線化事業も進む。


国の借金で資金を集める財政融資資金。かつては過剰な道路建設への反省から削減の対象だった。だが足元では低金利を追い風に道路融資に勢いが出てきた。「今は絶好のチャンス。来年度はさらに増額を勝ち取りたい」。自民党の国交族議員らは意気込む。


異常な構図定着

消費税が税率3%で導入されたのはバブル最盛期の1989年。翌90年の予算では歳出削減努力もあり、「赤字国債ゼロ」を達成した。それから約30年。税率は10%に上がったが、財政は転がるように悪化した。

バブル崩壊やリーマン・ショックで税収が細り赤字国債が復活。高齢化で社会保障費が膨らむ中、景気が復調しても補正予算などで経済対策を重ね、歳入の3割超を借金でまかなう異常な構図が定着した。

消費税10%で税収は年5.6兆円増えるが、幼児教育・保育の無償化など給付の拡充に2.8兆円を充てるので、財政健全化に回るのは2.8兆円しかない。新たな借金に頼らずに国と地方の政策経費を賄えるかを示す基礎的財政収支(PB)の赤字は2019年度に15兆円も残る。

増税は財政健全化への道筋を示すのが本来あるべき姿。だが政府は18年6月にPBの黒字化目標を25年度に5年先送りした。20年度予算への各省庁の概算要求は過去最大の約105兆円に拡大。歳出に厳しく切り込む姿勢はない。


(中略)


「効率性」に疑問

まずはバラマキをやめるべきだ。財務省の19年度予算の点検では35事業の約8割で「効率性」に疑問があった。スタートアップ企業育成が目的の経済産業省の補助金の行き先は実際には大企業もあった。

その上で緩んだ規律をただす仕掛けが要る。英国は複数年の経済財政予測を作成し、歳出や税収を中立に検証する独立機関をリーマン危機後に設置した。政治の影響を受けずに財政を監視するのが役割だ。

短期国債の外国人保有比率は3月末で約7割を超えた。「世界経済の変化などで外国人が国債売りに転じれば、金利急騰の引き金になりうる」(ピクテ投信投資顧問の市川真一シニア・フェロー)。歳出改革に残された時間は少ない。



…。


私としては、一文足りとも読む価値のない記事だと思います。


が、社会通念に沿った考え方からすれば、真っ当なのでしょう…。


序盤では、政治家からの交通インフラ整備への予算要求について、


「族議員」という、何だか悪代官かのような雰囲気のフレーズで批判しています。


そもそも、政治家は有権者の求める政策を実現するために、


予算を確保することが何よりもの仕事なんですが…、


そこに関してはどうなんでしょうか?


経済対策についても同様です。


政府は景気が落ち込んだ際に、国民の所得や雇用を守るために、


財政拡大などの景気対策を打つのは当たり前です。


それを批判するということは、


国民の暮らしよりも「財政規律」の方が大切だと言っているに等しいわけです。


記事の終盤では、政府の事業の効率性について批判しています…が、


政府の事業なんて、効率性が低くて当たり前です。


もちろん、過去において明らかなムダがあったことも確かなようです。


しかし、効率性が低く民間企業が手を出せない事業を進めるのが、


政府の役割のはずです。


こうした現実を無視して、


一口に政府の事業にもっと効率性を!というのはあまりにも幼稚です。


…。


こうした記事が掲載されるということは、


政府の財政赤字を頭ごなしに否定する考え方が、


未だに社会通念を支配していることを意味しています。


もちろん、記事を書いた記者も自信をもって世に出したことでしょう。


一度定着した社会通念を変えることの困難さがよくわかります。


このままでは、デフレ脱却に必要な財政拡大の実施など望むべくもなく、


日本は早晩、経済大国の座から落ちていくでしょう。


早期の思考の転換が求められています。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
人気ブログランキングに参加しています。ぜひクリックをお願いいたします。

社会・経済ランキング
にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村

【ツイッター】

「アベ・ショック」を浸透させよう!~デフレを深刻化させる安倍政権の経済政策~




経済評論家の三橋貴明氏は、


今回の消費税率引き上げ以降、様々な経済の低迷要因が加わり、


大規模な経済危機「アベ・ショック」が起きると多くのメディアで語られています。



【クローズアップ・消費増税10%】国民を貧困化させる税 アベ・ショックが日本を襲う【三橋貴明・経世論研究所所長】
https://www.jacom.or.jp/nousei/closeup/2019/190927-39219.php

10月1日から消費税が10%に引き上げられる。消費の冷え込みが懸念され農業経営とJAの事業にとっても影響は少なくない。しかし、そもそも消費税とはどんな税金なのか。その負担によって私たちの暮らしに還元され、将来世代にも豊かさがもたらされるものなのか。引き上げを前に三橋貴明・経世論研究所所長に聞いた。


◆消費に対する罰金
 --そもそも消費税をどう考えますか。
三橋貴明氏 消費税の政策的な意味は、実は消費に対する罰金です。炭素税は二酸化炭素排出企業に対する罰金であり、タバコ税はタバコを吸うことに対する罰金。特定の行動をさせないための罰金としての税ですから、消費税は消費を減らすことが政策目的になります。実際、消費増税で実質消費の量が確実に減ります。たとえば、2014年4月の8%への消費増税のときには年間で8兆円分の消費が実質で減りました。
 重要なことは農業も含めすべての産業において、生産と消費と所得がイコールになるという大原則があることです。つまり、消費が8兆円減った2014年度は、その分が生産されていないということになる。ということはその分の所得を失った人たちがいるということです。実際、実質賃金が大幅に下落しました。単年度では、何とリーマンショック時を超えました。
 今回は食料品などは8%に据え置かれますが、国民経済はつながっているため、食料品や新聞は引き上げられずに済んだと安心している人もダメージは受ける。なぜなら、10%に引き上げられた他の製品を生産している人たちの所得が減ってしまうためです。間違いなく日本国民の貧困化が進んでしまう。


(中略)


◆経産と財務の思惑
 今回は、面白い経産省と財務省の取引がありました。それはキャッシュレス決済に対するポイント還元制度です。
 簡単に言えば中小の小売店でキャッシュレス対応し、登録した店は、キャッシュレスで買うと5%還元されるというもので、これは事実上の消費税減税ですね。食料品だと据え置き税率の8%から5%を引きますから税率3%です。
 但し、これはクレジットカードなどキャッシュレス決済が使える人限定です。細かいことをいえばコンビニは2%しか還元がないとか、大手量販店は対象外などとなっていますが、要はこのポイント還元制度は、経産省の官僚がクレジットカードや電子マネー会社の経営者から、日本のキャッシュレス化は遅れていると言われ、何とか広めたいというわけで、消費増税のショックを利用して入れてしまえ、ということなのです。
 ポイント還元は来年の6月末で終了しますが、財務省からすれば、永続的な減税はだめだが悲願の消費増税が達成できるならば、9か月ぐらいならまあいいですよ、という取引でした。


(中略)


一方、社会保障についてはお金の問題ではないことを理解しなければなりません。問題は年金受給者が病院で医療を受ける、あるいは買い物に行ったときに、その人たちが必要とする十分な供給ができるのか、ということです。少子高齢化で生産者の割合が少なくなっていき、需要に対して供給能力が足りなくなることもある。対処法は働き手一人ひとりの生産性を高めることしかない。つまり、社会保障の問題は実は生産性の問題なのです。


(中略)


私は今回「アベ・ショック」が起きるとみています。何しろ消費増税だけでなく、五輪不況と重なり、外需の縮小も始まっている。来年の日本経済は、とんでもない経済的ショックを受ける可能性が高い。そういうときに政治が動く。歴史を振り返ればバブル崩壊後の細川内閣成立、アジア通貨危機後の橋本内閣の崩壊、リーマンショック後の鳩山内閣成立などです。経済的ショックがまた来るのです。そのときにまっとうな反緊縮の政策に転換できるのか。そこに全てがかかっていると思っています。



…。


消費税の特徴(悪い面での)や、


今回の増税における財務省と経済産業省の取引


社会保障の真の問題などについて、分かりやすく解説されています。


改めて読むと、大手メディアには登場していない情報ばかりで、


背筋が凍る思いがします。


ここで強調しておくべきなのは、


三橋氏が予期し名付けている「アベ・ショック」


できるだけ浸透させておくべきだということです。


次なる不況は安倍内閣の失政で生じた、ということが強調されるではないですか!


これまで、消費税の引き上げで生じた経済ショックについて、


1998年の橋本政権時の5%への引き上げでは、


アジア通貨危機のせいだ!との声が多かったようです。


それでは、消費税率引き上げの悪影響は見逃されてしまいますね。


そうではなく、経済危機にれっきとした名前を付けることで、


失政を際立たせましょう!


そして、次なる内閣を反緊縮政策を堂々と打てる者に担ってもらいましょう!


「アベ・ショック」が浸透すれば、


安倍首相は悪い意味で歴史に名前が残りそうですね…。


とにもかくにも、


これから生じるであろう経済危機を国民に広く認知させて、


政治が財政拡大という正しいデフレ対策を打てるようにしなければ、


繁栄の未来などあり得ません。


どうせ経済危機が起きるならば、それすら利用する。


これからはそんなヤケクソに近い気持ちも必要かもしれませんね。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
人気ブログランキングに参加しています。ぜひクリックをお願いいたします。

社会・経済ランキング
にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村

【ツイッター】

消費税10%の先を提言する人~緊縮財政派はさらなる増税を狙っている~




消費税が10%に上がって数日が経ちました。


「もう当分は増税はないだろう…」と考えている人も多いでしょう。


が、そんなはずはありません。


税率が上がった10月1日その日に、


10%以上の引き上げを提唱している方がいます。



【Deep Insight 消費税10%の先を考える】
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20191001&c=DM1&ng=DGKKZO5039534030092019TCR000

私たちが買い物するときに払う消費税率がきょうから10%になった。2度にわたる増税の延期を含め、ここ数年の消費税の話といえば税率を上げるか上げないかばかり。足元では、税率を8%に据え置く軽減税率の対象に何が含まれるのか、政府のポイント還元はどの店で受けられるのか、といった類いの情報があふれている。

その手の話はもちろん気になるが、一歩引いてとらえると、きょうは日本が長年の宿題をひとつ片付けた日でもある。税制の専門家が集まる政府税制調査会(首相の諮問機関)が消費税率を2桁にすべきだと答申に初めて記したのは16年前の2003年。旧民主党政権は12年、野党だった自民、公明両党と3党合意をまとめ、消費税率10%へのレールを敷いた。曲折はあったが、ようやくここまでたどり着いた。

次のレールはまだ敷かれていない。どこへ向かうのか私たち一人ひとりが考え、発信し、進んでいくことになる。いま、日本の未来にふさわしい税制を探すスタート台に立ったともいえる。消費税率を上げる上げないにかまけているうちに世界の変化はスピードを増してきた。宿題を片付けたと安堵しているヒマはない。


(中略)


私はやはり消費税の比重を高め、名実ともに税制の主役にもってくるしかないと思う。年金や医療、介護の費用はこれからいや応なしに膨らんでいく。次世代にツケを先送りしないための財源として、所得税や法人税、社会保険料を重くするより、消費税に頼る近未来をイメージしている。

課題先進国と呼ばれる日本は、人類史に例のない高齢化を筆頭にいくつものテーマを抱えている。経済成長や物価は低迷し、国内総生産の2倍を超える公的債務は心配の種だ。正社員の夫を専業主婦が支える均一的な家族像は崩れ、単発の仕事を請け負うフリーランスのような働き方が増えてきた。社会の変化に応じて所得税を手直ししながら、老若男女が等しく担う消費税の役割を高めるのがふさわしいのではないか。


(中略)


「今後10年は消費税率を上げる必要はない」という先の参院選を前にした安倍晋三首相の発言で、消費税の議論が封印されたと受け止める空気が政府内には漂う。だが、窮屈な発想に閉じこもらず、視野を広げて日本と税をゼロから考え直したらどうだろう。消費税への賛否だけでなく、国のあり方や社会の変化を巡るさまざまな意見を束ねて初めて、納得いく負担の分かち合いが見えてくる。大きな作業の最初の一歩を始めたい。



…。


この記事を書いたのは、上杉素直さん。


よく、日経新聞にコラムを書かれています。


この記事では、消費税増税があたかも政治の責務であるかのような印象を受けます。


政治の責務は増税ではなく、国民を豊かにすることです。


増税が国民を豊かにすることにつながるのであれば、


上杉氏の記事もうなずけますが、そうではないことは明らかです。




日本の実質賃金の推移(2015年=100)



(出典: 三橋貴明公式ブログ「新世紀のビッグブラザーへ」)




また、記事の中でツッコミたい記述があります。


「次世代にツケを先送りしない~」など、使い古されたフレーズと合わせて、


そのためには消費税の比重を上げるしかない、と上杉氏は主張した上で、


日本の課題として、経済成長と物価の低迷を挙げています。


ん?経済成長の低迷が課題なのに、


その低迷にさらに拍車をかける消費増税を推し進めるの?


物価にしても同様です。


物価が上がるのは、モノやサービスが多く買われた時です。


消費税という消費に対する罰金を増やすのに、


モノやサービスが多く買われるようになるはずがありません。


どうにもこの記事は、


「消費税を10%以上に上げなければならない」


という前提を置いた上で、


それっぽい説明を並べただけな気がしてなりません。


こうした記事が、それなりの部数を持つ日本経済新聞が載せていることを考えると、


ただただ悲しくなります。


読者はこうした「ふわっとした情報」に流されることなく、


自分の頭で考える必要があります。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
人気ブログランキングに参加しています。ぜひクリックをお願いいたします。

社会・経済ランキング
にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村

【ツイッター】

消費増税対策の闇~キャッシュレス還元で本当に得するのは誰なのか?~




政策コンサルタントの室伏謙一氏が、


今回、消費増税対策として用意された


ポイント還元制度のデタラメさを紹介しています。



【消費税増税のポイント還元は「どうしようもない愚策」と断言できる理由】
https://diamond.jp/articles/-/215961?display=b

(前略)

そもそもキャッシュレス決済によることを、ポイント還元の条件とすること自体おかしな話だ。
 しかも、ポイント還元の実施期間は9ヵ月限定である。やはり真の目的は、手数料負担から、中小・零細事業者を中心になかなか導入が進まないキャッシュレス決済の導入促進を図ること、と考えるべきであろう。
 別の見方をすれば、ポイント還元による集客やカード利用手数料への補助金をインセンティブにしつつ、実質的にはカードインフラを導入・利用することを強制しているのと同じようなものである。
 先にも述べたとおり、キヤッシュレス決済インフラ利用に係る手数料は、この期間中は上限が3.25%で一部を国が補助するとされているが、期間終了後の手数料設定は自由である。
 極論すればキャッシュレス決済事業者の意のままにできる。キャッシュレス決済事業者が手数料を引き上げる可能性は否定できず、事業者の負担増は避けられなくなる可能性が高いだろう。
 しかし、一度キャッシュレス決済インフラを導入し、お客さんもそれに慣れてしまった状況で、特に中小事業者は、手数料を上げるならキャッシュレス決済はやめますと簡単に言えるだろうか?(優越的地位の濫用に該当する事例が出てくる可能性すらあるのではないか、との声もある。詳しくは後述)。


キャッシュレス決済導入の実質的な強制は
中小・零細企業に「死ね」と言っているに等しい

 それ以前の問題として、キャッシュレス決済インフラを利用する以上、いずれにせよ手数料は支払い続けなければならず、それは小規模事業者や零細事業者にはそもそも大きな負担である。手数料負担に耐えられず潰れる店も出てくるかもしれない。
 実際、消費税増税後の価格は柔軟に設定できるというのが政府の理解であり、大企業については、「消費税引き上げ後、自らの経営資源を活用して~価格設定を行うことに何ら制約はありません」とされている。つまり、増税分を価格転嫁しなければならないとはされていないということである。
 一方で中小・零細企業は増税分を転嫁できず、粗利が減ることになるのは確実。そこにさらにキャッシュレス決済導入で手数料を徴収されたら、粗利減と合わせて5%以上利益が吹き飛ぶことになりかねない。
 すなわち、キャッシュレス決済導入の実質的な強制は、中小・零細企業に「死ね」と言っているに等しいということであろう。

(中略)

ところが、どうも多くの日本の政治家や官僚は「日本はキャッシュレスの導入が遅れている」と思い込んでしまっているようで、それに対して反論する政治家も少ないため、結果的にこの事業の追い風になってしまっているのだろう。
 そしてこうした状況を、キャッシュレス決済事業者が上手に利用して、キャッシュレス決済導入促進策としてのポイント還元事業を押し込んだのではないかとの話もあるくらいである。
 つまりは、消費税増税ポイント還元事業は、端的に言えば、ひとえにキャッシュレス決済インフラを提供しているプラットフォーマーのビジネスのためのものなのではないかということである。

(後略)



…。


いやー、背筋も凍るお話ですね…。


政府が増税を推し進める状況に乗じて、


カネ儲けがしたいキャッシュレス決済プラットフォーマーたちが、


増税対策を隠れ蓑にしてビジネス拡大を図る。


しかも、増税対策は来年6月までの時限措置であるため、


それ以降は決済システムの利用料を意のままに上げられるという始末。


感心したくなるほど、ビジネス拡大が上手ですね…、プラットフォーマーたちは。


プラットフォーマーおよび事業者たちは


利益を出すことが目的なので、しょうがない部分もありますが、


その強欲さから中小・小規模事業者や消費者を守るのが政治の役割です。


しかし、こうした中小事業者の負担増に対して世耕経済産業大臣(当時)は…。



世耕大臣

 確かに、負担がふえるという面はあるだろうと思っています。

 ただ、今、キャッシュレス事業者は激しい小売店舗の囲い込み競争というべき状況にもなっていまして、これはキャンペーンということになりますが、一部のQRコード決済事業者は、手数料当面ただというような施策もとっているわけであります。
 ですから、まずはそういった競争でかなり手数料といったものが引き下がっていくんじゃないか。我々のポイント還元策が終わった後、もとへ戻します、例えば7%に戻しますよというようなクレジットカード事業者は、その後どうするのかなというふうに思いますけれども、そういう競争があるということ。
 もう一つは、じゃ、そういうことがないとしても、一定の手数料の負担は出てくるわけであります。今度、決済事業者が、その手数料に見合う付加価値をどのように提供するかだと思っています。

 ~(中略)~

 キャッシュレスがきちっと普及をしていけば、例えば、この間も、私、オールキャッシュレスの飲食店に行きましたけれども、そうすると、いわゆるレジカウンターがないんですね。その分そこに客席を数席置けるということで、それだけでもやはり売り上げのふえる要因になる。
 ですから、キャッシュレスを通して小売店の生産性を高めていく、そのことによって手数料分を上回る利益が小売店に渡るようにするという考え方が重要ではないかと思っています。



…。


競争が生じるから、生産性が高まるから大丈夫、という認識だそうです。


デフレが続く中、地方で何とかやりくりしている企業に対しても、


こうしたスタンスで通用すると思っていらっしゃるのでしょうか?


企業努力にも限界があります。


政府のスタンスは、室伏氏が言う通り



「キャッシュレス決済導入の実質的な強制は、中小・零細企業に「死ね」と言っているに等しいということ」



なのでしょうね…。


…。


政治が国民の暮らしを豊かにする方向に向かない限り、


こうしたことは今後何度でも起きるでしょう。


早期の政治の転換が求められています。


そのために、正しい知識を身に付けて声を挙げていきましょう!



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
人気ブログランキングに参加しています。ぜひクリックをお願いいたします。

社会・経済ランキング
にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村

【ツイッター】

最新の投稿

自民党総裁選の危ういシナリオ──仮に党員票トップの高市氏が敗北すると開かれる“消滅への道”

  いよいよ本日、自民党総裁選が行われる。候補者の中でも注目を集めるのが高市早苗氏と小泉進次郎氏だ。 仮に今回の総裁選で、 高市氏が党員票で圧倒的にトップを取りながら、決選投票で小泉氏に議員票で逆転される ──そんな展開になったら、自民党はどんな未来を迎えるだろうか。 結論から...

人気の投稿