認識の甘いエリート経営者~消費税の影響を舐めてはならない~
10月1日に消費税率が引き上げられました。
消費税は消費に対する罰金なので、
消費が今まで以上に低迷するのは明らかに思えるのですが、
そうではないと考える方もいるようです。
【月曜経済観測 増税後の消費行動 来月は巡航速度に アサヒGHD社長 小路明善氏】
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20191021&c=DM1&ng=DGKKZO5120910020102019NN1000
消費増税に伴う駆け込み購入と買い控え、ラグビー・ワールドカップ(W杯)の盛り上がり、台風19号に備えた備蓄などで消費活動の変動が大きくなり、実像が見えにくくなっている。アサヒグループホールディングスの小路明善社長に消費の現状と先行きについて聞いた。
「コト消費」が支え
――消費税率が10%に上がった10月1日前後の商況について教えてください。
「9月のビール類の販売数量は(前年の新製品の在庫積み上げ等の)特殊要因を除くと前年同月比で17%増で、業界全体の動向(推計)とほぼ同じだった。10月は中旬までは4%増となっていて全体を通すと前年を若干下回るだろう。前回(2014年)の消費増税時は税率引き上げ前に17%増、増税後は3%減だったので傾向は同じだ」
「ただ増税を機に消費低迷が長引いた前回のようなことにはならないと考えている。おそらく10月末から11月中旬ころには平準化していると思うし、そこから巡航速度で推移していくだろう。消費の谷のような現象は起きないはずだ」
――なぜでしょうか。
「増税後のポイント還元などの政府の支援策が下支えしているからだ。加えて生活者の購買行動が2年くらい前から大きく変わってきていて、イベントなどの『コト消費』に敏感に反応するようになった。メリハリがより効いている」
「ラグビーW杯を例に挙げると、アサヒビール直営のビアホールのビールの売り上げは前年比で3倍になっている。31日にはハロウィーンを控えている。年末年始もいろいろなイベントがあり、期待できる」
価格上昇の条件
「もはや商品の機能や品質のような『物性価値』では、競合他社に比べて違いが出しづらくなっている。新たな購買体験による共感、感動など主観的なもので商品が選ばれる時代だ。今年、ビールの『スーパードライ ザ・クール』を小瓶で提供する実験店舗を東京・表参道に出した。ターゲットは若者で極めて好調だった。缶やペットボトルで酒類や飲料を口にしていた若者にとって、肉厚なガラスの飲み口は新鮮な体験と感じてもらえた」
(後略)
…。
アサヒグループホールディングスと言えば、
アサヒビールなどを傘下に抱える超一流企業。
その社長とは紛れもないエリートだと思いますが、
その小路氏は消費増税の影響への認識はかなり楽観的なようです。
しかし、その理由として挙げられていることは
心もとないように思えます。
楽観視する理由の1つである政府によるポイント還元制度ですが、
この制度は来年6月末までの時限措置です。
つまり、その時期が過ぎれば軽減税率対象商品(食品・新聞)以外は
税率10%になります。
恒久的な制度ではないものを頼りにするのは
理由としてあまりにも弱いと思います。
もう1つの理由に「コト消費」の隆盛を挙げられています。
ただ、コト消費すなわち消費者のモノと連動したイベントを好む傾向は、
20年以上デフレが続き、多くの国民が貧困化を続ける中で、
質が高く、価格の高いモノを購入できなくなった消費者が
やむなく高くない商品をイベントと絡めて楽しむようになったことで
生じているように思えます。
所得が十分に上がっていれば、
誰しもが質の高い、価格の高い商品を買うと思います。
ていうかそもそも、
記事にある通り、消費の活発化をラグビーW杯やハロウィーンなどの
イベントに期待する発想がなんともセコく感じてしまいます。
もしかすれば小路氏は、
消費税率アップで消費が低迷することを理解していながら、
そうならない理由を必死で探されているのではないでしょうか?
もしもそうであるならば、
影響力のある立場、エリートとして、
堂々と消費税率引き上げ反対・減税要求を政府に呼びかけてほしいです。
そうなれば、同社ビールをもっと買いたくなりますね。笑
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