「会社員だから安心」が、これからも続くとは限らない理由
結論から言うと、会社員であることは、今でも生活を安定させる大きな力になる。
毎月給料が入る。
健康保険や年金などの仕組みもある。
住宅ローンなどでも、安定した収入があることは強みになる。
だから、「会社員だから安心」という考え方が間違っているわけではない。
ただ、
「今の会社で働いていれば、定年まで安心」
と考えるのは、少し難しくなっている。
会社の業績が変わることもある。
仕事のやり方が変わることもある。
AIや新しい仕組みによって、これまで必要だった仕事が減ることもある。
大切なのは、会社員であることを否定することではない。
会社に給料をもらいながら、自分自身の働く力も持っておくことだ。
「この会社で定年まで」が当たり前だった
これまで、多くの人にとって、
「学校を卒業して会社に入る」
「そこで長く働く」
「経験を積みながら給料が上がる」
「定年まで働く」
という流れは、一つの安心できるモデルだった。
もちろん、昔から転職する人はいた。
それでも、一つの会社で長く働くことが、生活の安定につながりやすかった。
ところが、会社を取り巻く環境は変わっている。
会社の業績が悪くなることもある。
事業そのものがなくなることもある。
別の会社と一緒になることもある。
仕事の一部を外部に任せることもある。
AIやデジタル化によって、仕事の進め方が変わることもある。
これは「会社が悪い」という話ではない。
会社も変化に対応しなければ、生き残れない時代になっているということだ。
会社がなくなるより、「自分の仕事が変わる」ことを考える
会社員の将来を考えるとき、
「会社が倒産したらどうしよう」
と考えることはある。
もちろん、それも一つのリスクだ。
ただ、もっと身近なのは、
「会社は残っているけれど、自分の仕事が変わる」
ということかもしれない。
例えば、これまで人が手作業でやっていた仕事が、システムで処理できるようになる。
資料作成の一部をAIがやってくれる。
店舗の仕事が機械化される。
会社の業務そのものが簡単になる。
こうなると、会社がなくならなくても、必要とされる仕事は変わっていく。
つまり、
「どの会社にいるか」だけでなく、
「その会社で、自分はどんな仕事ができるのか」
が大切になる。
「長く働いた」だけでは、安心とは限らない
会社で10年、20年と働いていれば、それだけで大きな経験になる。
ただし、
「長く働いたこと」と「どこでも通用する力が身についたこと」は、同じではない。
例えば、今の会社だけで使う独自のルールやシステムに詳しいことは、その会社では大きな強みになる。
一方で、会社が変われば、その経験がそのまま評価されるとは限らない。
だから、ときどき考えてみたい。
「今の会社を離れても、自分は何ができるだろう?」
これは、転職する予定がなくても大切な質問だ。
自分の経験を「持ち運べる形」にしておく
会社の外でも役立つ力は、特別な資格だけではない。
営業なら、顧客との関係を作る力。
事務なら、仕事を整理して効率化する力。
管理職なら、人をまとめる力。
技術職なら、専門的な知識や経験。
こうした経験は、会社が変わっても生かせる可能性がある。
さらに、
人にわかりやすく説明する。
問題を見つける。
仕事を効率化する。
人と交渉する。
新しい道具を使う。
といった力も、多くの仕事で役立つ。
大切なのは、資格をたくさん取ることではない。
「自分は仕事を通じて、何ができるようになったのか」
を自分で説明できるようにしておくことだ。
「転職しなければ」という話ではない
ここまで読むと、
「会社員は転職を考えたほうがいいの?」
と思うかもしれない。
そういう話ではない。
今の会社で働き続けることも、十分に良い選択肢だ。
大切なのは、
「今の会社にいるしかない」状態にならないことだ。
もし会社の状況が変わったとき、
「別の会社でも経験を生かせる」
「少し学べば別の仕事にも挑戦できる」
と思えるなら、選択肢は増える。
その準備は、転職するためだけのものではない。
今の会社で安心して働き続けるためにも役立つ。
50代でも遅くない
「こういう準備は20代や30代の話では?」
と思う人もいるかもしれない。
でも、50代には若い世代にはない強みがある。
長年の仕事で身につけた知識。
顧客との関係。
部下を育てた経験。
トラブルを解決してきた経験。
会社の仕組みを理解していること。
こうした経験は、簡単に置き換えられるものではない。
重要なのは、それを自分の強みとして整理することだ。
「今まで何をしてきたか」だけではなく、
「その経験を使って、他に何ができるか」
と考えてみる。
年齢に関係なく、ここから始めることはできる。
「安定」の意味を少し変えてみる
会社員の安定とは、これまで主に、
「毎月決まった給料が入ること」
を意味していた。
これは今でも大切だ。
ただ、これからはもう一つ、
「環境が変わっても、働き続けられること」
も安定の一つになるのではないか。
会社が変わっても働ける。
仕事が変わっても学べる。
新しい道具が出てきても使ってみる。
これまでの経験を別の仕事でも生かせる。
こうした力があれば、会社の変化に振り回されにくくなる。
一度だけ、自分に聞いてみる
今すぐ転職する必要はない。
資格を取る必要もない。
まずは一度、
「もし今の会社で、自分の仕事がなくなったら、何ができるだろう?」
と考えてみる。
少し厳しい質問かもしれない。
でも、
「今と同じ仕事ならできる」
「これまでの経験を使って別の仕事もできる」
「少し勉強すれば、新しい仕事にも挑戦できる」
と思えるなら、それは大きな安心材料になる。
逆に、
「この会社を離れたら、自分には何もない」
と感じるなら、今の仕事をしながら、少しずつできることを増やしていけばいい。
「会社員だから安心」から、一歩先へ
これからも、会社員という働き方は生活を支える重要な選択肢であり続けるだろう。
ただし、
「会社が自分を守ってくれるから安心」
だけではなく、
「会社で経験を積みながら、自分自身の力も育てているから安心」
という考え方に変えていくことが大切だ。
会社の変化を止めることはできない。
AIの進歩を止めることもできない。
経済や社会の変化を、自分一人でコントロールすることもできない。
だからこそ、自分でコントロールできる部分に目を向ける。
今の仕事で何を身につけるか。
どんな経験を積むか。
新しい道具をどう使うか。
これまでの経験を、別の仕事でどう生かせるか。
こうしたことを少しずつ考えておく。
ニュースで「リストラ」や「AIで仕事が変わる」と聞いたときも、ただ不安になるのではなく、
「自分の場合はどうだろう?」
と考えてみる。
「会社員だから安心」という考え方を捨てる必要はない。
その安心に、「自分自身の働く力」も加えておく。
それが、20代、30代、40代、50代の現役世代にとって、これからの時代の「安定」を考える一つの方法になる。
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