貯金しているのに、なぜかお金が増えない? 20〜40代が考えたい「お金の価値」
「毎月ちゃんと貯金しているのに、なかなかお金が増えない」
そんな感覚はないだろうか。
給料が入ったら、まず貯金する。
ボーナスが出たら、できるだけ使わずに残す。
毎月少しずつでも貯金を続ける。
それなのに、通帳の残高を見ると、思ったほど増えていない。
もちろん、毎月の支出がある以上、お金が一気に増えるわけではない。
しかし、もう一つ考えておきたいことがある。
それは、
「お金は、金額だけでなく価値も変化する」
ということだ。
100万円は、10年前も100万円。
今も100万円。
数字だけを見れば何も変わっていない。
でも、その100万円で買えるものまで同じだろうか。
100万円の「金額」は変わらなくても、「買えるもの」は変わる
例えば、昔は100円で買えたものが、今では150円になっているとする。
同じ100円を持っていても、以前より買えるものは少なくなる。
これは極端な例だが、考え方としてはこれが「インフレ」だ。
物価が上がると、お金そのものの数字が減るわけではない。
財布の中の1万円が9,000円になるわけでもない。
しかし、
1万円で買えるものが少なくなる。
ここが重要だ。
だから、貯金額が増えているからといって、必ずしも「資産が増えている」とは限らない。
例えば、毎年10万円ずつ貯金して、5年間で50万円増えたとする。
数字としては確実に増えている。
しかし、その5年間で物価が大きく上昇していれば、その50万円で買えるものは、以前の50万円より少なくなっている可能性がある。
「貯金しているのに、なんとなく豊かになっている感じがしない」
という感覚には、こうした背景もある。
だからといって「貯金は意味がない」わけではない
ここで誤解したくないのは、
「インフレになるなら、貯金なんてしなくていい」
という話ではないことだ。
むしろ、生活を守るためのお金は現金で持っておく必要がある。
病気やケガをするかもしれない。
突然仕事を失うかもしれない。
家電が壊れるかもしれない。
車の修理が必要になるかもしれない。
急な出費はいつ起きるかわからない。
そんなとき、すぐに使えるお金があることは大きな安心になる。
投資したお金は、必要なときに必ず値上がりしているとは限らない。
だから、
「すぐ使うお金」と「しばらく使わないお金」を分ける
という考え方が重要になる。
「貯金」と「資産形成」は同じではない
ここで一度、言葉を分けて考えてみたい。
貯金とは、基本的にお金を安全に保管しておくことだ。
一方、資産形成は、将来に向けてお金を育てていくことを考えるものだ。
もちろん、貯金も資産の一つだ。
ただし、目的が違う。
例えば、半年後に引っ越す予定がある。
そのために必要な100万円を株式などに投資するのは、あまり合理的ではないかもしれない。
半年後に市場が下落していたら、必要なお金が減ってしまう可能性があるからだ。
一方で、10年、20年先まで使う予定のないお金なら、別の考え方もできる。
つまり、
「いつ使うお金なのか」
によって、お金の置き場所を考える必要がある。
20〜40代は「時間」を味方にできる
20〜40代の大きな強みは、これから先の時間が比較的長いことだ。
例えば、老後まで20年、30年あるとする。
その期間ずっと現金だけで持っておくのか。
それとも、一部について長期的な資産形成を考えるのか。
ここには、それぞれメリットとリスクがある。
投資には元本割れの可能性がある。
だから、絶対に投資したほうがいいという話ではない。
ただ、
「投資は怖いから何もしない」
という判断をする前に、
「何もしないことにも別のリスクがある」
と知っておくことは大切だ。
物価が上がれば、現金の購買力は低下する可能性がある。
つまり、
「お金を減らしたくない」
と思って現金だけを持っていても、別の形で価値が目減りする可能性がある。
「増やす」より先に、「守る」を考える
資産形成というと、どうしても、
「どの株を買えばいい?」
「どの投資信託が儲かる?」
といった話になりやすい。
しかし、その前に考えたいことがある。
それは、
「そもそも、自分はいくらあれば安心なのか?」
ということだ。
例えば、
生活費の数か月分は現金で確保する。
近いうちに使う予定のお金は投資に回さない。
高金利の借金があるなら、まずそちらを減らす。
毎月の収支を把握する。
こうした基本的な部分ができていなければ、投資を始めても家計全体は安定しにくい。
資産形成は、
「お金を増やすゲーム」ではなく、「将来のお金の不安を減らすための準備」
と考えたほうが、長く続けやすい。
「貯金が増えた」だけで安心しない
毎月の貯金額を記録することは、とても良い習慣だ。
ただ、もう一つ見てほしい数字がある。
それは、
「毎月、いくら残せているか」
だけではなく、
「自分の生活費はいくらかかっているか」
という数字だ。
例えば、毎月20万円で生活している人と、毎月35万円で生活している人では、同じ100万円の貯金でも意味が違う。
前者なら5か月分の生活費に相当する。
後者なら約3か月分だ。
だから、「貯金100万円」という数字だけでは、その人の経済的な余裕までは分からない。
重要なのは、
「自分の生活を何か月維持できるお金があるのか」
という視点だ。
お金の不安は、「知らないこと」から生まれる
お金について不安になる理由の一つは、
「よく分からない」
ことだと思う。
物価が上がっている。
給料は少し増えた。
銀行には貯金がある。
でも、これで将来大丈夫なのか。
そう思っても、何を基準に考えればいいのかわからない。
だからこそ、まずは自分のお金を数字にしてみる。
毎月いくら入ってくるのか。
いくら使っているのか。
いくら残っているのか。
貯金はいくらあるのか。
借金はいくらあるのか。
そして、数年以内に必要になるお金はいくらなのか。
これだけでも、漠然とした不安がかなり具体的になる。
「お金を増やす」前に、「お金について考える」
経済ニュースを見ていると、
「株価が上がった」
「金利が上がった」
「円安になった」
「物価が上がった」
と、毎日のようにさまざまな情報が入ってくる。
そのたびに、
「何か投資しなければ」
「もっと貯金しなければ」
と焦る必要はない。
まず考えたいのは、
「自分のお金は、今どんな状態なのか」
ということだ。
生活を守るためのお金。
近い将来に使うお金。
しばらく使わないお金。
そして、将来のために育てたいお金。
全部を同じ場所に置く必要はない。
貯金は「ゴール」ではなく「土台」
貯金をすることは大切だ。
しかし、貯金額を増やすことだけを目標にすると、いつまで経っても「もっと貯めなければ」という不安が残る。
大切なのは、
「いくら貯めたか」ではなく、「そのお金を何のために持っているのか」
を考えることだ。
生活を守るためなのか。
近い将来の大きな出費のためなのか。
それとも、10年後、20年後のためなのか。
目的が変われば、お金との付き合い方も変わる。
物価が上がる時代だからこそ、
「とにかく貯金する」
から一歩進んで、
「自分のお金を、どこに、どれくらい置いておくのがいいのか」
を考えてみたい。
貯金はゴールではない。
これから先の生活を安心して選ぶための、土台なのだ。
そして、その土台ができて初めて、「投資」「資産形成」「働き方」といった次のことを考えられる。
経済ニュースを見たときに、
「また物価が上がった」
「また金利が動いた」
と不安になるだけではなく、
「この変化に対して、自分のお金は大丈夫だろうか?」
と考えてみる。
それが、お金を守るための最初の一歩になるのだと思う。
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