ファスナー──“知らないフリ”で生きる僕らの物語~ミスチル考察~
「きっと ウルトラマンのそれのように 君の背中にもファスナーが付いていて」
Mr.Childrenの『ファスナー』は、ただのラブソングではありません。
それは、人間の裏側=ファスナーの中身に触れたときの戸惑いと、
それでもなお“信じてみる”という切ない希望を描いた物語です。
🧩 ファスナー=人間の“裏側”を開くメタファーです
この曲には3つのファスナーが登場します。
スカートのファスナー:恋人の“表面”を開いた瞬間
背中のファスナー:その人が隠している“裏の顔”
胸のファスナー:主人公がそれを“記憶に閉じ込める”場所
つまり、ファスナーとは人間の多面性を象徴する装置なのです。
😶 “君じゃない”と気づいた瞬間の冷たさ
「でもそれが君じゃないこと 今日 僕は気付いてしまった」
主人公は、恋人の“奥”に触れたことで、
自分が求めていた人ではなかったと気づいてしまいます。
それは、恋人の“裏の顔”を見たからではなく、
自分の期待と現実のズレに気づいたからなのです。
🦸♂️ ウルトラマンの背中にもファスナーがあるのです
「君の背中にもファスナーが付いていて 違う顔を誰かに見せているんだろう」
この一節は、人間の裏の顔=社会的仮面を示しています。
恋人は、主人公に見せる顔と、他人に見せる顔を使い分けているのです。
それを知ってしまった主人公は、信じることの難しさに直面します。
📉 “御座なりの優しさ”と“次の標的”の予感
「帰り際 リビングで僕が上げてやるファスナー」
この場面は、関係の終わりを予感しながらも演じる優しさを描いています。
そして、主人公は次の“標的”を探し始めます。
でもそれが「君じゃない」と想像すると、少し萎えてしまうのです。
ここには、欲望と孤独の交差点が見えてきます。
🧠 仮面ライダーのファスナーは“僕自身”の裏側です
「僕の背中にもファスナーが付いていて 目を腫らして泣きじゃくってるのかも」
主人公は、恋人だけでなく自分にも裏の顔があると気づきます。
それは、強がっている自分の奥にある、弱くて泣いている自分です。
この瞬間、曲は他者への疑念から、自分への理解へと転じていきます。
🗳️ “知らないフリ”をすることで、人は生きていけるのかもしれません
「記憶の中 焼き付けて そっと胸のファスナーに閉じ込めるんだ」
主人公は、恋人の裏の顔を暴こうとはしません。
むしろ、それを胸のファスナーに閉じ込めることで、
惜しみない敬意と愛を込めてその人を受け入れようとします。
これは、知ってしまった事実を“知らないフリ”で抱きしめるという、
大人の“生きる術”なのかもしれません。
📝 おわりに──ファスナーの中にあるものを、どう扱うか
『ファスナー』は、
人間の多面性
愛と諦念
信じることの価値
を描いた、静かで深いメッセージソングです。
誰かの裏側を知ってしまったとき、
それを暴くのか、抱きしめるのか──
その選択が、人間関係の質を決めるのかもしれません。
それにしても、桜井さんの作詞の才能がさく裂している曲ですね。。
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