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河井案里氏の公職選挙法違反疑惑〜閣僚の辞任が続き安倍政権の痛手となるか〜

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広島選出の国会議員、 河井克行 法務大臣が、 妻で自民党・参議院議員の 河井案里 氏に 公職選挙法違反の疑いが浮上し、 その責任を取って法相を辞任しました。 【河井克行法相辞任 後任は森雅子氏 菅原氏に続く辞任ドミノ】 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191031-00000594-san-pol 河井克行法相(56)=衆院広島3区=は31日、妻の案里参院議員(46)=広島選挙区=の陣営が7月の参院選で法定上限を超える報酬を運動員に渡していたとされる公職選挙法違反疑惑の責任を取り、安倍晋三首相に辞表を提出し、受理された。事実上の更迭となる。 首相は後任に自民党の森雅子元少子化担当相(55)=参院福島選挙区=を起用。森氏は認証式を経て正式に就任した。  9月11日の第4次安倍再改造内閣発足後、閣僚の辞任は公選法違反疑惑で10月25日に辞任した菅原一秀前経済産業相に続き2人目で、1週間で閣僚2人が辞任するのは異例。野党は当面、国会審議に応じない方針で、首相の任命責任を厳しく追及する考えだ。  首相は官邸で記者団に「責任を痛感している。国民に深くおわびしたい」と述べ、陳謝した。その上で「菅原氏に続き、河井氏が辞職することに厳しい批判があることは真摯(しんし)に受け止めなければならない。身を引き締めて行政の責任を果たしたい」と語った。 (後略) …。 河井案里氏は今夏の参議院選挙で国政初当選した人物。 何と、現職のベテラン政治家・ 溝手顕正 氏を破っての当選でした。 かねてから、当時の広島選挙区は 自民党が河井氏と溝手氏の両名に候補者を出した異例の選挙として ちょっとした話題になっていました。 何やら、 総理官邸側が河井氏を推し、 自民党側は溝手氏を推していた ようで、 同じ組織が分裂したイメージの悪い選挙でしたね。 また、 県知事や市長が溝手氏への支持を露骨に示すなど、 政治家のさまざまな思惑が見え隠れしていました。 私自身は、支持基盤の厚い溝手氏が勝つかと思っていましたが、 結果は 河井氏の勝利 。 なんか後...

東洋経済オンライン・『令和の新教養』から学ぶ「物語」の必要性〜MMTを広める切り口になるか?〜

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東洋経済オンラインにて不定期で連載されているコラム 「令和の新教養」 。 先日、そのコラムに 島倉原 氏の記事が載りました。 【MMTが日本に「公益民主主義」をもたらす理由 「租税国家論」に代わる「新たな物語」が必要だ】 https://toyokeizai.net/articles/-/307183 内外で議論の最先端となっている文献を基点として、これから世界で起きること、すでに起こっているにもかかわらず日本ではまだ認識が薄いテーマを、気鋭の論客が読み解き、議論する「令和の新教養」シリーズ。 今回のテーマは、ホットな話題となっている現代貨幣理論(MMT)。このたび上梓された『MMT現代貨幣理論入門』の監訳者である島倉原氏が、日本にとってのMMTの意義を説き明かしていく。 (後略) …。 島倉氏は、 MMT(現代貨幣理論) を提唱する中心的人物である、 L・ランダル・レイ教授 の著作 「MMT 現代貨幣理論入門」 の監訳を務められた方です。 その島倉氏は、上記の記事の中でMMTについて丁寧に解説した上で、 MMTの認知を高め、経済・財政に関する正しい知識を一般に広める上で、 通貨や税に関する解釈を得て、 「公益民主主義」 の物語を創る必要性 について書かれています。 (前略) 必要なのは「公益民主主義の物語」か 『表現者クライテリオン』2019年9月号における柴山桂太氏の論稿「国家が貨幣をつくる」では、MMTが人々に受け入れられるうえで最大の障害となるのは、 租税国家論に代わる新たな物語の不在なのではないか、という問題提起がなされている。 租税国家論 とは、 「国民の税金で政府は運営されている。だから政府は国民のために働かなければならない」という物語 であり、柴山氏によれば、これが近代以降の国家において、人々の納税意識を支えてきた。 (中略) 必要なのは「正しい貨幣観」に基づく発想の転換 「税金が財源」という見方は政府を家計や企業と同一視することにほかならず、それゆえ私益の論理と結びつきやすいという側面がある。 MMTの貨幣観に基づいて、民主主義に基づく政府や通貨制度が公益のために果たしうる積極的な役割を認め、それらへのいわば信任投票として税金を理解...

今こそ政治の力を!~財政主権を財務省から取り戻し、緊縮財政の打破を~

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大規模な災害が相次ぐなか、 政治の世界においても、さすがに防災インフラの整備に向けて 公共事業拡大の声 が上がり始めています。 【公共事業予算確保で圧力…台風被害で「防災・減災」関心 自公、長期の「強靱化」計画】 https://www.yomiuri.co.jp/politics/20191027-OYT1T50261/ 台風19号の被害を受けて、自民、公明両党が国土強靱きょうじん化に向けた公共事業費の拡大圧力を強めている。 防災や減災に対する国民の関心が高いうちに、継続的な社会資本(インフラ)整備の予算獲得を確実にしたいとの狙いからだ。 財政規律重視 財務省難色   両党は23日に幹事長、国会対策委員長間で防災・減災と国土強靱化に関するA4判1枚の合意文書をまとめた。強靱化を「国家百年の大計」と位置付け、政府に対し、中長期の新たなインフラ整備計画を作り、必要な予算を確保するよう求める内容となっている。  主導したのは、国土強靱化の旗振り役である自民党の二階幹事長だ。二階氏は今月17日、台風19号で利根川の氾濫を防ぐ働きをしたとされる八ッ場ダム(群馬県長野原町)を視察した。  同ダムを巡っては、2009年に誕生した民主党政権が「コンクリートから人へ」をスローガンに一時、建設中止を表明した経緯がある。二階氏は視察で「この現状を見ると『自民党も重要なことを指摘しているな』と思うはずだ」と述べ、野党を当てこすった。  公明党も自民党と足並みをそろえている。12年の第2次安倍内閣発足後、一貫して国土交通相ポストを押さえていることもあり、この間の国政選挙では防災・減災対策を公約の目玉に据えてきた。今年9月まで約4年、国交相を務めた石井啓一幹事長代行を党の対策本部長に充て、今月25日には台風対策の提言を政府に提出した。石井氏は「災害対策は国政の最重要課題の一つ」と強調した。   政府による国土強靱化基本計画に基づく現在の緊急対策は3か年で、20年度に期限切れを迎える。自民、公明両党は、今から公共事業による防災・減災への機運を盛り上げて、21年度以降の新たな対策の作成、予算規模の拡充につなげたい考えだ。   現在の公共事業予算は1990年代後半のピーク時に比べ半分近くにとどまる。 東日本大震災による復興需要も落ち...

認識の甘いエリート経営者~消費税の影響を舐めてはならない~

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10月1日に消費税率が引き上げられました。 消費税は消費に対する罰金 なので、 消費が今まで以上に低迷するのは明らか に思えるのですが、 そうではないと考える方もいるようです。 【月曜経済観測 増税後の消費行動 来月は巡航速度に アサヒGHD社長 小路明善氏】 https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20191021&c=DM1&ng=DGKKZO5120910020102019NN1000 消費増税に伴う駆け込み購入と買い控え、ラグビー・ワールドカップ(W杯)の盛り上がり、台風19号に備えた備蓄などで消費活動の変動が大きくなり、実像が見えにくくなっている。アサヒグループホールディングスの小路明善社長に消費の現状と先行きについて聞いた。 「コト消費」が支え ――消費税率が10%に上がった10月1日前後の商況について教えてください。 「9月のビール類の販売数量は(前年の新製品の在庫積み上げ等の)特殊要因を除くと前年同月比で17%増で、業界全体の動向(推計)とほぼ同じだった。10月は中旬までは4%増となっていて全体を通すと前年を若干下回るだろう。前回(2014年)の消費増税時は税率引き上げ前に17%増、増税後は3%減だったので傾向は同じだ」 「ただ増税を機に消費低迷が長引いた前回のようなことにはならないと考えている。おそらく10月末から11月中旬ころには平準化していると思うし、そこから巡航速度で推移していくだろう。 消費の谷のような現象は起きないはずだ」 ――なぜでしょうか。 「増税後のポイント還元などの政府の支援策が下支えしているからだ。 加えて生活者の購買行動が2年くらい前から大きく変わってきていて、 イベントなどの 『コト消費』 に敏感に反応するようになった。メリハリがより効いている 」 「ラグビーW杯を例に挙げると、アサヒビール直営のビアホールのビールの売り上げは前年比で3倍になっている。31日にはハロウィーンを控えている。年末年始もいろいろなイベントがあり、期待できる」 価格上昇の条件 「 もはや商品の機能や品質のような『物性価値』では、競合他社に比べて違いが出しづらくなっている。新たな購買体験による共感、感動など主観的なもので...

日本が財政拡大し世界の規範に!~世界が日本の積極財政を求めている~

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世界の主要国が 金融政策偏重を見直し、 財政政策も活用すべきだという声が挙がる 中、 消費税率の引き上げなど、 緊縮財政路線をひた走る 日本 の今後に注目が集まっています。 『【G20関連】財政政策重視、金融政策頼みに限界 日本の対応注目』 https://www.sankei.com/economy/news/191019/ecn1910190012-n1.html 今回の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では世界経済の悪化リスクに対処するため、 公共事業などへ国の歳出を増やして景気を刺激する財政政策を重視すべきだとの意見が相次いだ。 これまで各国は金融政策に頼ってきたが、限界や弊害が表面化してきたことが背景にある。今後はまず、消費税増税のタイミングに台風19号直撃が重なった 日本の対応が世界の注目を集めそうだ。  「政策手段を総動員し、強固で持続可能、バランスのとれた成長を目指すべきだ」。麻生太郎財務相は閉幕後の記者会見でこう訴えた。財務省高官によると、 「初日の討議で、景気回復には金融政策だけでなく、財政政策も重要だとの発言が出た」 という。  会議に先立つ15日、国際通貨基金(IMF)は2019年の世界全体の実質経済成長率の予想を3・0%と、前回7月時点から0・2ポイント下方修正した。下方修正は昨年10月以降、5回連続。米中摩擦の悪影響が、思った以上に深刻化していることが背景にある。  世界経済の変調に、各国は金融政策の強化で対応してきた。日銀や欧州中央銀行(ECB)はマイナス金利政策を長期化し、米連邦準備制度理事会(FRB)は今年に入り2回、利下げしている。  ただ結果的に金融政策は成長減速を食い止められていない。また、低金利による利ざや縮小で金融機関の業績が悪化するなどの「副作用」も鮮明になり、「金融システムが破壊されている」(ドイツ銀行のゼービング最高経営責任者)といった批判が強まっている。 これを受け 主要国で強まり始めたのが、「金融政策頼み」をやめ、財政政策にシフトすべきだとの声 だ。IMFのゲオルギエワ専務理事は今月8日の講演で「通貨政策と金融政策だけでは役に立たない」と主張。 ECBのドラギ総裁も9月、「今こそ財政政策が責任を負うべき時だ」と訴えた。 (後略) ...

時代遅れの構造改革論~平成時代の失敗を令和に持ち込むな~

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日本経済新聞 の紙面には、 「大機小機」 という匿名のコラムがあります。 匿名ゆえに比較的自由度が高い内容が載っているようです。 先日、そのコラムに 「時代遅れでは?」 と感じる内容の記事が。 【大機小機 香港の自由と日本】 https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20191018&c=DM1&ng=DGKKZO5110761017102019EN2000 米へリテージ財団とダウ・ジョーンズが毎年発表している世界の経済自由度指数によると、常に1位香港、2位シンガポール、最下位の北朝鮮が定着している。この指数は、1人当たり所得、経済成長率、起業家のダイナミズム、民主主義の程度、貧困率の低下、平等などと非常に高い相関があることが分かっている 。1人当たり国内総生産(GDP)はシンガポール8位、米国9位、香港17位で日本の26位よりも高い。 西側諸国の価値観では経済発展で豊かになれば、国民が自由を求めて民主主義が浸透するとされていた。GDPが世界第2の中国ではなお民主化の兆しが見えず、この価値観の違いが米中摩擦の根本原因となっている。 中国の経済自由度指数は100位で、1人当たりGDPは70位だ。経済的自由に政治的自由が伴わないのは中国がなお1人当たり所得では貧しいからか、あるいは豊かになっても民主化しない国家が可能なのかが問われている。自由をよりどころに発展した香港の1人当たり所得は既に高いため、香港の一国二制度を巡る混乱はこの問題の先行きを占う世界史的意味を持つ。 一方、 日本の自由度指数ランキングは2001年に14位だったが19年は30位に低下している。これは市場経済に移行した新興諸国が積極的な自由化政策と既得権益のしがらみのない急速な新技術導入で成長し、順位を上げたためである。アジア太平洋地域に限っても、台湾、マレーシア、韓国よりも低い8位である。 日本でも多様な成長戦略が提言されているものの、行動にスピード感がなく、その差は開くばかりである。低成長の原因は少子高齢化や人口減少ではなく、成長の原動力である新技術導入と普及の遅れにある。 かつての規制緩和のかけ声も最近では影が薄い。 明治維新や高度成長期など最も成長した時期は既存体制の破壊を恐れず貪欲に新技...

「食」の安全保障意識を高めよう!~農業は国の根幹を支えるもの~

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元内閣官房参与で、京都大学大学院教授の 藤井聡 氏が、 農業協同組合新聞に寄稿 されていました。 【「食料自給率」向上は「国家安全保障」に必須『藤井聡・京都大学大学院教授』】 https://www.jacom.or.jp/noukyo/tokusyu/2019/10/191009-39335.php わが国のカロリーベース食料自給率は史上最低の37%まで落ち込んでしまった。私たちは食料を海外に6割以上も依存していることになる。大きな要因が農業生産基盤の弱体化であり、農村地域の危機である。それはこの国のかたちにも関わる問題である。たんなる農業振興の方策ではなく、この国で人々が持続的に暮らしていくための視点を持って考えなければらないと考え、この特集を企画した。  第2回は、藤井聡京都大学教授に寄稿していただいた。 あらゆるインフラは、私達の社会、経済、暮らしを支える極めて枢要な役割を担うが、「食」に関するインフラ、つまり「食産業インフラ」は、それらの中でもとりわけ重要だ。 日本経済がどれだけ疲弊しようが、エネルギーの輸入が途切れようが、食料さえ自給できていれば、とりえず生きて行くことができる一方で、どれだけ経済が強くても、食料が途絶えれば国民は生きて行くことすらできなくなってしまうからだ。  かくして、 「食料安全保障」、そしてそのための「食料自給率」の向上は、我が国における枢要な国家政策に位置づけられている のである。  しかも、仮に海外から食料を輸入可能な状況が持続できたとしても、莫大なカネを、食料輸出国に支払い続ける状況を回避することはできない。そしてそれは、日本経済に巨大なデフレ圧力をかけることとなり、経済を激しく疲弊させることとなる。しかも特定の外国から「食料を買い続けなければならない」という事態は、当該国との外交における大きな弱みとなる。  つまり、 食料自給率が低ければ、(1)国民の健康と生命が守れなくなるリスクを負うばかりで無く、(2)持続的な海外への支出拡大とそれを通した日本のデフレ不況拡大の巨大リスクを負っていると同時に、(3)海外の食料供給国達に将来日本を脅すのに使えるかもしれない巨大な「外交カード」をタダで配り歩いていることになる のである。こうした理由から、食料自給率問題はあらゆる国家において、安全...