米山議員先生の“移民は都合よく祖国に帰せる”という幻想







米山隆一議員が「AIやロボットが発達して単純労働が無くなったら、移民には帰ってもらえばよい」と発言しました。しかし、これは二重に誤った認識です。


現実と適切な解決策はこれ!!


  1. 移民を都合よく帰国させることは現実的に不可能

  2. 人手不足の解決は、移民依存ではなく投資による生産性向上で実現すべき




1. 移民は“使い捨て”にできない

移民は一度受け入れれば、地域社会の一員となります。実際、日本に住む外国人住民は 2023年時点で約322万人(出入国在留管理庁)。そのうち永住者は91万人を超え、すでに「帰る祖国」を持たない人も少なくありません。


また、在留外国人のうち約15万人は日本で生まれた子どもたちです。彼らにとって「祖国」とは日本以外にありません。
したがって「仕事がなくなったら帰ってもらう」という発想は、現実をまったく理解していないといえます。


欧州諸国の事例を見ても同じです。ドイツの「ゲストワーカー政策」では、移民を一時的に受け入れ、景気が落ち着いたら帰国を前提としていました。


しかし現実には多くが定住し、第二世代・第三世代に広がりました。「不要になったら帰す」というモデルは、すでに破綻しているのです。




2. 日本の人手不足は「人口構造」によるもの

ちなみに、日本の人手不足の根本原因は人口減少です。

  • 日本の生産年齢人口(15〜64歳)は 1995年の8,716万人をピークに減少

  • 2023年には 7,451万人、今後2040年には 6,000万人程度まで落ち込む見込み(国立社会保障・人口問題研究所)


つまり、人手不足は一時的な問題ではなく、長期的な人口構造の変化によって起きています。
移民を受け入れても、この規模の人口減少を埋めるには膨大な数が必要となり、現実的ではありません。




3. 日本の生産性は低い

移民に頼らずとも、日本には改善余地があります。それが「労働生産性の低さ」です。

  • 日本の時間当たり労働生産性は 49.9ドル(2022年)

  • OECD加盟38か国中 29位、主要7か国(G7)では 最下位(日本生産性本部)


つまり日本は「人が足りない」のではなく、「人を活かせていない」のです。


さらに言うと、労働者が生み出す付加価値(給料)がこの30年間ほとんど上がっていないのだから、生産性は低くて当然です。


ちなみに給料が上がっていないのは、別に我々が不真面目だからではなく、単にデフレだったからです。




4. 投資による生産性向上の道

人手不足に直面している主要分野では、すでにテクノロジー導入の可能性が示されています。


  • 介護:介護ロボットやセンサー導入で職員1人あたりの負担を20〜30%軽減(経産省試算)

  • 農業:自動走行トラクターやドローン活用で労働時間を最大50%削減(農林水産省)

  • 物流:自動搬送システム導入で倉庫業務の人員を30%減らせる事例(大手物流企業の試算)


これらは一時的に投資コストがかかりますが、長期的には人手不足を補い、経済全体の効率を高めます。




5. 「移民依存」ではなく「投資と改革」へ

米山議員の「AIが発達したら移民は帰せばよい」という発言は、現実を無視した安易な考え方です。


  • 移民はすでに日本社会に根を下ろしており、簡単に帰国させられない

  • 人手不足は人口構造によるもので、移民では解決できない

  • 日本にはまだ「低生産性」という大きな改善余地がある


だからこそ、必要なのは「移民に頼ること」ではなく、投資と技術革新による生産性向上です。政治が本気で未来を考えるなら、短絡的に移民を使い捨てるのではなく、生産性向上に取り組むべきです。




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