「農業協同組合」の役割~収益を求めることが、農協において本当に必要ですか?~




農協の役割とは、なんでしょうか?



『農協、8割が「本業」赤字』https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46907380T00C19A7EE8000/

全国の農業協同組合の8割で農業関連事業が赤字であることが農林水産省の調査でわかった。農産品の卸売りや農機・農薬販売といった「本業」で稼げず、貯金の運用や民間の保険に似た共済の販売で穴埋めしている。低金利で金融事業の収益環境は厳しく、金融依存は限界に近づいている。再編を含めた収益基盤の弱い農協の経営強化が課題だ。

全国657の農協について最新である2017年度の決算を集計したところ、農業関連の経済事業が赤字は535組合と全体の81%を占めた。黒字は122組合にとどまった。組合員である農家が作ったコメや野菜を市場や小売店に卸売りしたり、肥料や農機を組合員に売ったりする経済事業の赤字は全体で1875億円に上った。赤字額は前年度比16%増えた。

収益を支えているのは金融と共済だ。1農協平均でみると経済事業の損益は2億8500万円の赤字だったが、金融を手掛ける信用事業が3億4900万円、共済事業が2億3400万円の黒字となった。この結果、全体で2億9800万円の黒字を確保した。

金融事業は農家から集めた貯金を元手にローンや農家向けに融資するほか、お金を各都道府県の信用農業協同組合連合会や農林中央金庫で運用してもらう。信連や農林中金は運用益を各農協に奨励金などの形で配る。これらの還元金は5千億円にのぼる。

金融事業に依存する農協は、本来の農業支援が不十分だった。政府の規制改革推進会議は各農協から金融事業を信連など上部団体に譲渡し、人員を農業に集中させる改革を求めてきた。だが、現状で譲渡をする組合は新たに5つにとどまる。


(後略)



…。


同記事では、全国の農協の多くが本業で赤字を出しており、


その穴埋めを「金融・共済事業」が担っていることが紹介されています。


一読すると、問題に見えるかもしれませんが、


実際はどうでしょうか?


そもそも協同組合とは、利益を出すことが目的ではなく、


お互いの助け合いを目指す組織です。


農家が作った農産物を買い取り、市場に流す。


農機具や肥料を安定的に農家に届ける。


さらには、地方に住む住民が困らないように、


スーパーやガソリンスタンドなどを運営する…など。


農協が地域住民の生活拠点としての役割を果たす以上、


非効率(不採算)な部分は必ず生じます。


(そもそも採算が取れるのであれば農協ではなく、民間企業が進出する)


それを踏まえた上で、


安定した利益が出る金融・共済事業で本業の赤字を埋め合わせる仕組みを作った


先人たちは賢いなと思います。


つまり、記事で触れられていることは、大した問題ではないのです。


金融の利益が減ってきている?


であれば、早期にデフレ脱却して、


自然に金利が上がるように景気を回復させればいいだけです。


…。


農協は近年何かと叩かれがちですが、


その本来の役割は、


地域の暮らしや農家を支え、「国民を食わせる」ことです。


この当たり前の感覚を取り戻さなければなりません。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
人気ブログランキングに参加しています。ぜひクリックをお願いいたします。

社会・経済ランキング
にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村

【ツイッター】
このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

人気の投稿

GDP(国内総生産)とは?初心者向け解説

消費税減税をめぐる議論:その誤解を解く

後知恵で神風特攻隊を語る危険性:過去への正しい向き合い方