EUの政策転換手法を学ぼう!~財政拡大実現への工夫はいくらでもある!?~




日本経済がデフレから脱却するためには、需要不足を埋め合わせる規模の財政支出の拡大が不可欠なのは言うまでもありません。


しかし、それを実現するにはいわゆる「国の借金」に関するウソを明らかにして、インフレ率という真の「財政規律」を基に、現在の日本の政策を縛り付けている「緊縮財政」を打破しなければなりません。


とはいえ、そう簡単にはいかないのが現実です。


せめて「財政規律」について、政府の負債の絶対額に注目すべきではないと理解している人が増えてくれれば、と考えていましたが…、


欧州連合(EU)の政策担当者が、財政支出の拡大へ興味深い取り組みを始めるようです。



【欧州、財政ルール見直し 環境やデジタル投資なら 赤字基準適用外に】
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO55287630V00C20A2EA1000/


【ブリュッセル=竹内康雄】欧州連合(EU)の欧州委員会は5日、財政ルールの改革案を公表した。現在の厳格なルールを一部緩和し、環境やデジタル分野への投資に限って赤字などへの算入基準の適用外にすることを検討する。景気動向に関係なく有望分野に予算を投じられるようにして経済成長につなげるとともに、財政ルールに不満を抱く南欧諸国の意見を反映し、分断を回避する思惑もある。

(後略)


…。


EUは、加盟国内が慢性的な需要不足で経済の停滞が続く中、なんとか財政拡大を実現しようと、投資は財政規律の枠から外すべきだ!という議論を始めたようです。


このままこの考え方がすんなり実現するとは思いませんが、実に工夫された取り組みだと思います。


主流派経済学の誤りから、財政政策が打てない仕組みが整えられてしまったEU。


そんな中でもルールの抜け道をつくることで、何とか財政出動して不況を乗り切ろうとする。


これこそ、今の日本の政策担当者に求められていることではないでしょうか?


様々な利害関係が渦巻くこの複雑な世の中で(特に今は緊縮財政派の発言力が圧倒的に強い)、何かを実現するには膨大な調整や根回しが必要です。


それが嫌ならば、革命でも起こして権力を一手にするしかない。


そんなことは現実的ではない以上、この記事で紹介されているように、工夫に工夫を重ねて少しづつ物事を変えていくしかないのではないでしょうか。


こうしたEUの政策担当者の、忍耐強く物事を進める姿勢を見習いたいですね。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
人気ブログランキングに参加しています。ぜひクリックをお願いいたします。

社会・経済ランキング
にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村

【ツイッター】

〝A級戦犯〟の外交官・松岡洋右氏が伝えたかったこと 後編~アメリカが焚書した理由と現代の日本人への警告~





前回「〝A級戦犯〟の外交官・松岡洋右氏が伝えたかったこと 前編~天才外交官のロシア・中国・満州観~ https://eskunsf.blogspot.com/2019/12/a.html」からの続きを書きます。


前回の投稿では、アメリカが焚書扱いとした「東亜全局の動揺」を基に、戦前に活躍した外交官・松岡洋右氏が当時、どのようにロシアや中国、満州を見ていたのかについて書きました。


今回は、なぜアメリカが同書籍を焚書扱いにしたかについて書こうと思います。


そもそも焚書とは、書物を焼き捨てる行為のことで、時の権力者が自分たちにとって都合の悪い過去の人物の考え方や事実などを歴史から抹消するために行われます。


言論統制や検閲の一種ですね。


では、アメリカはなぜ「東亜全局の動揺」を焚書したのか…?


それは当然ながら、その書籍にアメリカにとって不都合なことが書かれているからですね。


その不都合なこととは何かと期待(?)しながら同書を読み進めていくと、こんなことが書かれていました。


「大和民族は二千五百年史、否維新以降六十年余年の歴史が示す通り、自己の安寧と存立とを脅かされぬ限り、決して戈をとって立つものではない。日本人は又寡欲である、寧ろ与うることを楽しみ、取ることを忌む。」


このように、日本人は自己防衛以外には安易に武器を持たないことを示した上で、その実例として、



「シベリア出兵、山東出兵などが何故成功しなかったかと問わば、その政策が誤って居たが為ではない、又我が心事が公明でなかった為でもない。主として大和民族のこの天分に累せられたからである。


と、自己防衛の範疇を超えた軍事行動がことごとく失敗に終わっている事実を示しています。


前回紹介したように、昭和初期の日本の外交官が、ロシアや中国(支那)に対して強硬姿勢ではなく、主張すべきことは主張しながら、あくまでも共存共栄の道を志していたこと。


さらに、日本は自存自衛以外望んでなかったことがこの本の記述から浮かび上がってきます。


そりゃ、アメリカも焚書にしますね…。この書籍に書かれていることが日本人に広まれば、日本を悪の帝国扱いにしたかったアメリカの思惑が揺らぎますから。



…。



このほかにも、同書には現代の日本人への警告ともいえることが再三にわたって書かれています。


例えば、満州地域の問題について、同地における自らの権利を(正当な範囲内で)主張しなければ、誰がするのか?日本の代わりに主張してくれるもの好きな国など存在しない、と実に真っ当なご指摘。


また、書籍の結びとして「自ら自己の人格を保持しない者に向かって、他人が之を尊重する道理はない。」と、日本の国威・国益は他国ではなく、自分たち自身で守らなくてはならない、というこれまた真っ当な意見を示しています。


さらには、今の日本人にとって耳が痛くなるような記述もあります。



「…かかる外交の徹底を可能ならしめた我が国民の無関心、無理解、無気力、そしてこの国を蔽うている所の堕気を一掃しなければならぬ」



譲歩を繰り返す幣原外交に苦言を呈した上で、それを招いた国民の姿勢についても糾弾しています。


いやー、国民が政治に無関心な間に、グローバル資本・投資家などにいいように搾取される今の日本人にも言えることですね…。



…。



いかがでしょうか?


少し書籍の内容を紹介したまでですが、これまでの戦前の歴史観が少し変わったかと思います。


もちろん、この「東亜全局の動揺」に書かれていることを妄信するわけではありません。


が、時には違う視点の歴史観に触れてみることも大切だと思います。


まだまだ焚書になった書籍はたくさんあるのでしょう。それらには未来の日本人に伝えたかったことがたくさん書かれているのでしょうね…。


全部復活しねえかな?笑



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
人気ブログランキングに参加しています。ぜひクリックをお願いいたします。

社会・経済ランキング
にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村

【ツイッター】

最新の投稿

自民党総裁選の危ういシナリオ──仮に党員票トップの高市氏が敗北すると開かれる“消滅への道”

  いよいよ本日、自民党総裁選が行われる。候補者の中でも注目を集めるのが高市早苗氏と小泉進次郎氏だ。 仮に今回の総裁選で、 高市氏が党員票で圧倒的にトップを取りながら、決選投票で小泉氏に議員票で逆転される ──そんな展開になったら、自民党はどんな未来を迎えるだろうか。 結論から...

人気の投稿