マリナー・エクルズという人物〜彼はいかにしてアメリカを大恐慌から救ったのか?〜




マリナー・S・エクルズという人物をご存知ですか?


彼は元FRB(連邦準備制度理事会)の議長で、


世界恐慌期に、


アメリカのルーズベルト大統領が採用した


「ニューディール政策」の立案に携わった人物の1人です。


銀行家であった彼は、


実務家として現実の経済動向を見てきた経験を活かし、


デフレに陥っていた当時のアメリカで、


健全財政論者など、


周囲の猛反発を受けながらも財政政策拡大を主張。


見事にそれを実現させました。


(最終的にルーズベルト大統領が財政を引き締めてしまったので、デフレの完全脱却は成らず、完全脱却には日本との開戦を待たねばなりませんでしたが…。)


周囲から凄まじい批判や攻撃を受けながらも、


財政拡大という真っ当な主張をし続けたエクルズ。


そんな人物が日本にも現われてほしいと切に思います。


彼が残した言葉には、


現在の日本にそのまま通じるものが多くあります。


デフレは放置しておけば、


いずれ均衡して正常な景気循環に戻ると主張する


経済学者や金融関係者に対して、


「人々は価格が下がり続けると信じている限り、モノではなくカネを欲しがる」


と言いました。


即ち、デフレは底なしだと主張したわけですね。


さらに、


国債の増発(財政拡大)に対して猛反発した、


ハリー・F・バード上院議員に対しては、


「(資本主義経済下において、)債務の拡大なしに繁栄した時代はなく、反対に、債務の縮小なしにデフレに陥った時代はない」


と主張。


資本主義とは誰かが債務を拡大することで発展すると説きました。


また、


「国全体として、われわれは外国ではなく、自国民に対して債務を負っていることは、重要ではないのですか?」


とも話します。


そして極めつけは、


人々が恐慌に苦しむことに対して、


政府支出を惜しむ考え方に真っ向から異を唱えています。



「敵国との戦争から人命を守るために使われるのと同じ政府債務が、平時においては、失意と絶望から人命を守るために使われるのである。戦争を戦うための政府の能力には制限がないのと同様に、恐慌と戦う政府の能力にも制限はない。両方とも、人的資源と物質的資源、頭脳とそして勇気のみにかかっている



「頭脳とそして勇気のみにかかっている」というフレーズは、


正に、選挙権を持つ


我々に直結するものです!


…。


いかがでしょうか?


ケインズ経済学の登場や統計などが、


現在よりもはるかに不十分だった時代、


エクルズは自分の直感を信じて、


銀行家として経済を見てきた自らの目を信じて、


これらの政策提言を行いました。


それに勝負を挑むのには相当な勇気が必要だったでしょう。


それでも彼はやり切った。


我々日本人も彼と同じ人間です。


できないはずがありません。


いくら不利な立場でも、


先の見通しが暗くても、


デフレ脱却に不可欠な「財政拡大」を


訴えていきましょう!



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中野剛志さんのルーツと心構え~フリードリヒ・リストから学ぶ「忠国心」とは?




経済産業省の官僚で評論家の中野剛志さんが、


新刊「経済と国民――フリードリヒ・リストに学ぶ」に添えて、


ご自身のルーツと心構えについて書いた、


「リストの闘争とわたし」と題する寄稿文を「AREAdot.」に公開しました。


その内容をまとめて、感じたことを書こうと思います。



中野さんは20代の頃、


ドイツの政治経済学者、フリードリヒ・リストの著作


「政治経済学の国民的体系」を読み、


その後の人生を決定づけられたそうです。


その本には、経済自由主義でもマルクス主義でもなく、


現実の世界を反映した、より実践的な理論「経済ナショナリズム」


あったことに加えて、


リスト自身の生涯に強い衝撃を覚えたことが理由です。


リストは経済ナショナリズムの視点から、


経済自由主義に基づく自由貿易を批判した人物。


ただ、その先見の明と、後のドイツの経済発展への多大な貢献にも関わらず、


経済自由主義が主流を占める時代にあって、


その批判は、同じドイツ国民から誹謗中傷を受けることになりました。


結局彼は、それに耐えかねて自殺…。


その最期を知り、当時の中野さんは


(経済ナショナリズムの道を進み、有効な理論と一貫した実践を目指すことで)「リストのように、誤解や誹謗中傷にさらされながら、不当に低く評価された生涯を是非とも送りたいものだと夢想した」そうです。


そして、実際にTPPを筆頭に、自由貿易、グローバル資本主義などを痛烈に批判。


幸か不幸か「夢想」は叶い、


リストが闘争を挑んだ敵の強大さや、何が自殺に追い込んだかが分かってきました。


常人であれば、この状況に屈するでしょうが、


中野さんは違いました。


なぜなら、


あえて闘争に身を投じたリストと、同じ心構えでいるからです。


その心構えとは…。


リストは、自らを執筆に突き動かすのは、


「自らの本が、発言が、知識が、祖国ドイツの発展に役立つ可能性があること」


とした上で、


本で批判した考え方は、祖国にとって有害だと考え、


それに対処する最善の策は、「全力でもってそれを非難することだ」


と考えたからです。


世の中で主流や社会通念とされている考え方に歯向かうと、


すさまじい反撃を受けるにも関わらずに…です。


さらにリストはこう続けます。


「有名な学者が、その権威に基づき間違いを広めることは、とてつもない害悪を社会にもたらすことになる。だからこそ、一層力を尽くして彼らに反論するのだ。程よく、温和に、白黒つけることのない批判をすれば、人格などを責められることはないし、裁く者は、今度は裁かれることもよく心得ている。だが、それがどうしたというのだ。」


自分に批判の声が向けられることを十分に知っていながらも、


祖国のために、尽くす。


これが「忠国心」というものでしょうか。


このリストの心構えは、


自身の心構えでもあると、中野さんは語っているのです。



経済産業省という組織に所属する官僚という立場でありながらも、


同省が進める政策を批判。


自分の立場がどうなろうとも、


正しいと考えたことは、正しいと主張し、


間違えていると考えたことは、迷うことなく間違えていると主張する。


その心構えは、


中野さんの言論活動でしっかりと実行されています。


…。


今回の寄稿文を読み、


中野さんの秘めたる思いを知ることができました。


こうした忠国心を持った人がどれほど今の日本にいるでしょうか?


あるいは持っていても、それを行動に移せる人がどれほどいるでしょうか。


これからも、


中野さんの言論活動を見守っていきたいと思います。



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