外国人に日本の強みを指摘される情けなさ~「株主第一主義」見直しに乗り遅れるな!~




世界の政治・経済界のリーダーたちが集う、ダボス会議


その会議などを主催する世界経済フォーラムボルゲ・ブレンデ総裁は、先日、日本経済新聞の取材に応じ「株主第一主義」の見直しに理解を示すなど、興味深い発言をされています。



【「株主第一主義」見直しに理解 ダボス会議主催団体総裁】
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20191119&c=DM1&ng=DGKKZO5231125018112019FF2000

ダボス会議を主催する世界経済フォーラム(WEF)のボルゲ・ブレンデ総裁は都内で日本経済新聞に対し、従来の「株主第一主義」の見直しに理解を示した。「21世紀の企業は従業員や社会にも責任を負う」と指摘した。8月に米主要企業の団体がまとめた声明に理解を示した形で、2020年1月にスイスで開く年次総会(ダボス会議)でテーマの一つにする。

ダボス会議には先進国、新興国から政界、産業界のトップが多数参加する。次回が50回目。大きな課題として地政学上の緊張や(米中などの)貿易摩擦をあげ「経済の減速に対処する道を見いだすべきだ」と述べた。

ブレンデ氏は「我々は資本主義から(人材・才能を重視する)『タレンティズム』に移行しつつある」と述べ、人材をひき付けるための変化を企業に促した。「若い世代は環境や男女平等、腐敗対策にも広く責任を持つ企業で働きたいと思っている」と語った。

米主要企業の経営者団体ビジネス・ラウンドテーブルが株主第一主義を見直す宣言を8月にまとめたことは「歓迎する」と明言した。「企業は責任をより広くとらえなければ、株主に還元できない」と話した。日本型経営は「従業員と経営者の所得の差が小さく、従業員への義務が長期にわたる」ため「非常に競争力がある」と指摘した。


(後略)


株主第一主義といえば、企業の存在意義は株主を儲けさせることにあり、その目的はその企業で働く従業員や、企業の取引先、企業が立地する地域など、「公益」よりも優先する。


かなり大雑把に言えば、こういった考え方でしょうか?


この考え方は、過去20~30年間、世界のエリートの中で正しいこととして共有されてきたと思います。


だからこそ、世界中で格差が広がり、それに対して民主主義が反発を起こしている。


20~30年間も正しいこととして存在してきた考えですから、それが変わるのは簡単ではないでしょう。


しかし、こうした影響力のある立場の人が公然と株主第一主義の見直しに言及したことは大きいと思います。


時代が変わりつつあるのでしょう。


私たちはそれを敏感に感じ取り、時代の変化に対応しなければなりません。


が、日本は変化できそうもありません。



【増税避け法人税減税を検討へ 自公税調の議論スタート】
https://mainichi.jp/articles/20191121/k00/00m/020/282000c

自民、公明両党の税制調査会は21日、それぞれ総会を開いて2020年度税制改正に向けた議論を本格スタートさせた。12月12日をめどに与党税制改正大綱を取りまとめる。10月に消費税率を引き上げたばかりとあって今回は増税を極力避け、企業に投資を促す法人税減税など企業支援策を中心に検討する見通しだ。


(後略)


記事の中では、投資を促す法人税減税などと書かれていますが、これは減税の口実に過ぎず、10月に行われた消費税増税に伴う法人税減税の動きにほかなりません。


法人税減税の税収穴埋めを、10月に行った消費税増税で賄おうとしているわけです。(財務省と経済産業省のバーターの可能性あり)


法人税を減税すると、企業の純利益は拡大します。


すると、誰が喜ぶのか?


ほかでもない、企業の利益から配当を受け取る株主です。


上記の報道から、日本は株主第一主義の見直しなどほど遠い方向に進んでいることが分かります。


これでは、時代に乗り遅れてしまうこと間違えなしです。


また興味深いことに、ボルゲ総裁は日本型経営を評価しています。


かつて、社会学者のエズラ・ヴォーゲル氏が「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という本を著して日本型経営を称賛したように、日本の強みは株主ではなく、そこで働く従業員や取引先などステークホルダーなどとの公益をより重視する考え方にあったかと思います。


まさに株主第一主義とは真逆の考え方です。


それらを構造改革と称して壊し始めたのが、バブル崩壊後の日本です。


その構造改革で我々が豊かになったどうかは明らかです。



【日本の実質賃金の推移(2015年=100)】
(出典:新世紀のビッグブラザーへ http://mtdata.jp/data_66.html#JClong


外国人に自国の強みを指摘されるのは、なんとも複雑な思いですが…。


せっかく教えてもらった強みです。


それを再び取り戻しましょうよ!


何かと「外国では~」という人、出番ですよ!



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「反・緊縮財政」の空気が永田町に出現!?~野党結集で自民党をけん制せよ~




選挙のたびに、何かと不十分な連携が目立つ野党ですが、「反・緊縮財政」を旗印にして、結集が進みつつあります。



【「消費減税」の旗のもと、集まりつつある野党陣営。注目は立憲民主党の動向】
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191108-00205815-hbolz-soci&p=1

共産党、国民民主党と基本合意、野党結集まであともう一歩!?
 山本太郎・れいわ新選組代表が、9月の北海道ツアーに続く第2弾の九州ツアー(10月15日~28日)を行った。

山本代表が「消費税5%減税」を旗印にした野党結集・政権交代を訴えると、聴衆から大きな拍手が沸き起こった。その直後の10月30日には、同じ考えを持つ馬淵澄夫・元国交大臣と超党派勉強会の「減税研究会」を設立。初回会合に現職議員22名が参加した。

 そして翌10月31日には国民民主党の玉木雄一郎代表とネット番組「たまきチャンネル」で対談。消費税5%減税を含む経済政策全般で意気投合したのだ。

 すでに、共産党の志位和夫委員長とは9月12日の党首会談で消費税廃止を目標にすることで一致していた。旗印の「5%減税」についても「選択肢の一つ」(志位委員長)と賛同を得ていたが、 玉木代表との“ネット党首会談”でも両者の意見は同じだった。

 共産党に続いて、国民民主党とも実質的な基本合意に至ったに等しい。野党第1党の立憲民主党の対応が注目されるが、「5%減税」旗印の野党結集までもう一段階というところまでステップアップしたといえる。

玉木代表「家計を豊かにするしか持続的成長の方法はない」
 野党結集・政権交代の気運を確実に高めたこの対談(配信は11月2日)は、両者が同意する場面の連続だった。

 番組の冒頭で玉木代表は、米国ファッション雑誌『GQ』の日本語版『GQ JAPAN』に続いて、「特集:山本太郎現象」と銘打った『ニューズウィーク日本版』11月5日号(10月29日発売)でも山本代表が表紙を飾ったことに触れ、「社会現象になっている」と切り出した。

 そして「街宣(街頭記者会見)をネット上で見ている」と言いつつ、そこで繰り返している山本代表の主張に次々と賛同していったのだ。

 消費税5%減税を旗印に野党合意をすることについて、山本代表は「国民民主党より立憲民主党のほうが、ハードルが高いなと思っています」と語った。この発言を受けて、玉木代表は「消費税減税はありうると思っている」と自らの立場を明らかにしたうえで、次のように語った。

『GDPの6割を占める消費をいかに回すのか』ということにあらゆる経済資源を投入しないと、経済成長はありえないと思う。とにかく景気を良くするには、お金がぐるぐる回った方がいい。好循環を作らないといけない。

 今までの経済政策は、好循環のスタート地点を大企業に置いていたのです。大企業が良くなれば、賃金が上がって労働者も取引先も、中小企業も地方も良くなる。これが今までの経済政策だった。民主党政権もそうですよ。

 これがもう回らなくなっていることはアベノミクスが証明してくれました。これからは好循環を作るスタートを消費・家計にするのです。家計をとにかく豊かにして、可処分所得をちょっとでも増やして、消費を軸とした好循環を作る。これでしか経済は持続的に成長しないと確信している」


(後略)



…。


おそらく、念頭にあるのはこれ以上の国民の貧困化を、何としてでも食い止めたいという思いでしょう。



日本の実質賃金の推移(2015年=100)


日本の家計最終消費支出(実質値、除持ち家の帰属家賃、十億円)


【共に出典は「新世紀のビッグブラザーへ」http://mtdata.jp/data_66.html#JClong



上記の通り、実質賃金は見事なまでに下がり続けており、家計の最終消費支出は2014年の消費増税以降、2013年の水準を回復しておりません。


そんな中で先月始まった消費税率のさらなる引き上げ。


家計の実質消費がまた一段と低迷するのは確実だと思います。


流れが変わりつつあると感じるのは、国民民主党の玉木代表など、野党の党首が大企業よりも家計を優先した政策を打つべき、ということを堂々と主張していることです。


これまで、なぜ大企業が優先されてきたか?それは単純に彼らの声(影響力)が大きいからです。


有力な政治家には献金し、世論に多大な影響を与えるメディアには広告宣伝費を大々的に用意する。


これらの大企業の行動を僕は別に否定はしません。合法である限りは。


さらに言えば、大企業も営利企業である以上、利益を出さなければならないために必死です。そうであれば、政治に影響力を与えて自らを優遇してもらおうとするのは当然ともいえるかもしれません。


真に問題なのは、そうした大企業の利益拡大行動に対して、これまで政治が国民の利益を守るための行動を十分にしてこなかったことです。


しかし、上記の報道を見る限り、その流れは変わりつつあるようです。


こうした動きを見て、「野党など所詮無力だ。政権交代など実現しやしない」と感じる人も多いでしょう。


そういった意見は一理も二理もあるでしょう。ただし、悲観的になる必要は全くありません。


こうした野党の動きを見て、少なからず与党・自民党は焦るでしょう。「やばい、このままだと選挙でだいぶやられるかもしれない」と。


そうなれば、世論に敏感な政治家は過去の言動はひとまず置いておき、「反・緊縮財政」を訴え始めます。


要は、誰が「反・緊縮財政」の政策転換を行うかは重要ではなく、それをどう実現するかの方がより重要なのです。


今の野党間の動きを支援し、「反・緊縮財政」に政策転換させるために動けるのは国民自身です。


そう考えれば、自分にもできることがあるかも!と感じませんか?



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