「賢い支出」とは何なのか?~未来は誰にもわからない。だからこそ、不確実性の高い投資は政府が行う~





たまに新聞などで見かける、「賢い支出」というワード。
これってどういう意味なのでしょうか?


「賢い」と聞くと、なんだか良いイメージや、至極当たり前のこと、と感じてしまうかもしれません。


一般的に連想されるのは、「必要な分野にはしっかりと支出して、そうでない部分への支出は控えて、無駄を徹底的になくすべき」といったところでしょうか。


恐らく、そういいたいのであろうと感じる社説が大手紙に掲載されていました。


[社説]「賢い支出」で財政健全化と成長の両立を
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK022V60S4A400C2000000/

ばらまきの発想をやめ、一刻も早く財政を「平時」に戻す必要がある。一方で、将来に向けた投資まで絞り込めば成長の芽を摘んでしまう。「賢い支出」を追求し、財政の健全化と成長の両立をめざすべきだ。

内閣府は2日、2060年度までの社会保障費と財政状況の長期推計を初めてまとめた。そこから浮かび上がるのは、社会保障費の急増で財政が持続可能でなくなる危うい未来だ。

(後略)



確かに、民間企業であれば「賢い支出」とやらが必要だと思います。
なぜなら予算には限りがあり、支出(投資)に失敗すると倒産のリスクがあります。


でも、政府は違います。
国債を発行することで財源を確保でき、インフレ率が許す限り財源に限りがありません。


つまり民間企業とは違い、政府は投資を失敗することによる倒産のリスクにとらわれる必要がないのです。
ということは、政府こそリスクを取らなければならず、果敢に投資に挑むべきなんです。
「賢い支出」なんて、間抜けなことを言っている場合ではありません。


というよりそもそも、その投資が将来必ず付加価値を生み出す「賢い」ものだと、この記事を書いた記者はわかるんですかね…?神様?笑


道路など交通インフラの建設、海洋資源の採掘、技術開発…などなど、将来どれだけの利益が見込めるかが極めて不透明で、かつ巨額の費用が必要な分野に対して、民間企業はリスクが高すぎて手が出せません。


だからこそ、政府がやる!


政府がなぜ、何のために存在しているのか?
その原点にも立ち返り、政府こそリスクの大きい投資に果敢に挑むべきだという当たり前の感覚を取り戻しましょう!



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

人気ブログランキングに参加しています。ぜひクリックをお願いいたします。

もはや手遅れ?の物流危機~政府は物流業界への残業規制を延期すべきでは?~

 


2024年問題がようやく注目を集めています。



物流戦略なき30年のツケ 人材14万人不足、損失10兆円 物流クライシス 2024年問題の衝撃㊤
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC19ALR0Z10C23A9000000/

2024年4月からトラック運転手の時間外労働が年960時間までに制限される。人手不足に加え労働時間が短くなることで、物流が停滞する「2024年問題」が迫る。「経済の血液」とされる物流を止めない取り組みは待ったなしだ。

トヨタ自動車は物流会社に支払う料金を上げる方針を打ち出した。1次取引先からトヨタへ部品を運ぶ20〜30社が対象。24年4月から残業時間が短くなると運転手は手取りが減ってしまう。トヨタは料金を引き上げて運転手の年収を維持し、部品輸送の担い手の離職を防ぐ。

(後略)


2024年問題とは、残業規制が物流業界に適用され、残業代で稼いでいたドライバーの離職や、そもそも残業時間(業務時間)が減り、モノを十分に配達できない状況が危惧されていることです。


こうなることはずいぶん前から予想されていたことだと思いますが、今になって騒ぎになっています。


記事にあるように、岸田首相は「即効性の高い取り組みを経済対策に盛り込み速やかに実行に移す」と発言していますが、今更何ができるというのでしょうか?


規制緩和により、物流業界はここ30年間競争が激化し、各社が疲弊していきました。


30年ですよ!?さんざん供給能力を痛めつけてきて、
それを何が即効性の高い取り組みで…なんて発言ができるのか。


恐らく、真剣に考えていないんでしょうね。


政府がとるべき政策は、物流業界の参入規制を強化してこれ以上の競争激化を防ぎながら、
運送会社への補助金の支給などを通じてドライバーの待遇を改善し、供給能力を回復させることです。


それも、「長期的に」


せめて、即効性を求めるのであれば、
少なくとも、残業規制の適用を延期すべきだと思います。


政府の真っ当な判断を待っています。


2024年なんて、来年ですから!


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

人気ブログランキングに参加しています。ぜひクリックをお願いいたします。

にほんブログ村 経済ブログへ

【ツイッター】

最新の投稿

自民党総裁選の危ういシナリオ──仮に党員票トップの高市氏が敗北すると開かれる“消滅への道”

  いよいよ本日、自民党総裁選が行われる。候補者の中でも注目を集めるのが高市早苗氏と小泉進次郎氏だ。 仮に今回の総裁選で、 高市氏が党員票で圧倒的にトップを取りながら、決選投票で小泉氏に議員票で逆転される ──そんな展開になったら、自民党はどんな未来を迎えるだろうか。 結論から...

人気の投稿