消費税10%の先を提言する人~緊縮財政派はさらなる増税を狙っている~




消費税が10%に上がって数日が経ちました。


「もう当分は増税はないだろう…」と考えている人も多いでしょう。


が、そんなはずはありません。


税率が上がった10月1日その日に、


10%以上の引き上げを提唱している方がいます。



【Deep Insight 消費税10%の先を考える】
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20191001&c=DM1&ng=DGKKZO5039534030092019TCR000

私たちが買い物するときに払う消費税率がきょうから10%になった。2度にわたる増税の延期を含め、ここ数年の消費税の話といえば税率を上げるか上げないかばかり。足元では、税率を8%に据え置く軽減税率の対象に何が含まれるのか、政府のポイント還元はどの店で受けられるのか、といった類いの情報があふれている。

その手の話はもちろん気になるが、一歩引いてとらえると、きょうは日本が長年の宿題をひとつ片付けた日でもある。税制の専門家が集まる政府税制調査会(首相の諮問機関)が消費税率を2桁にすべきだと答申に初めて記したのは16年前の2003年。旧民主党政権は12年、野党だった自民、公明両党と3党合意をまとめ、消費税率10%へのレールを敷いた。曲折はあったが、ようやくここまでたどり着いた。

次のレールはまだ敷かれていない。どこへ向かうのか私たち一人ひとりが考え、発信し、進んでいくことになる。いま、日本の未来にふさわしい税制を探すスタート台に立ったともいえる。消費税率を上げる上げないにかまけているうちに世界の変化はスピードを増してきた。宿題を片付けたと安堵しているヒマはない。


(中略)


私はやはり消費税の比重を高め、名実ともに税制の主役にもってくるしかないと思う。年金や医療、介護の費用はこれからいや応なしに膨らんでいく。次世代にツケを先送りしないための財源として、所得税や法人税、社会保険料を重くするより、消費税に頼る近未来をイメージしている。

課題先進国と呼ばれる日本は、人類史に例のない高齢化を筆頭にいくつものテーマを抱えている。経済成長や物価は低迷し、国内総生産の2倍を超える公的債務は心配の種だ。正社員の夫を専業主婦が支える均一的な家族像は崩れ、単発の仕事を請け負うフリーランスのような働き方が増えてきた。社会の変化に応じて所得税を手直ししながら、老若男女が等しく担う消費税の役割を高めるのがふさわしいのではないか。


(中略)


「今後10年は消費税率を上げる必要はない」という先の参院選を前にした安倍晋三首相の発言で、消費税の議論が封印されたと受け止める空気が政府内には漂う。だが、窮屈な発想に閉じこもらず、視野を広げて日本と税をゼロから考え直したらどうだろう。消費税への賛否だけでなく、国のあり方や社会の変化を巡るさまざまな意見を束ねて初めて、納得いく負担の分かち合いが見えてくる。大きな作業の最初の一歩を始めたい。



…。


この記事を書いたのは、上杉素直さん。


よく、日経新聞にコラムを書かれています。


この記事では、消費税増税があたかも政治の責務であるかのような印象を受けます。


政治の責務は増税ではなく、国民を豊かにすることです。


増税が国民を豊かにすることにつながるのであれば、


上杉氏の記事もうなずけますが、そうではないことは明らかです。




日本の実質賃金の推移(2015年=100)



(出典: 三橋貴明公式ブログ「新世紀のビッグブラザーへ」)




また、記事の中でツッコミたい記述があります。


「次世代にツケを先送りしない~」など、使い古されたフレーズと合わせて、


そのためには消費税の比重を上げるしかない、と上杉氏は主張した上で、


日本の課題として、経済成長と物価の低迷を挙げています。


ん?経済成長の低迷が課題なのに、


その低迷にさらに拍車をかける消費増税を推し進めるの?


物価にしても同様です。


物価が上がるのは、モノやサービスが多く買われた時です。


消費税という消費に対する罰金を増やすのに、


モノやサービスが多く買われるようになるはずがありません。


どうにもこの記事は、


「消費税を10%以上に上げなければならない」


という前提を置いた上で、


それっぽい説明を並べただけな気がしてなりません。


こうした記事が、それなりの部数を持つ日本経済新聞が載せていることを考えると、


ただただ悲しくなります。


読者はこうした「ふわっとした情報」に流されることなく、


自分の頭で考える必要があります。



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消費増税対策の闇~キャッシュレス還元で本当に得するのは誰なのか?~




政策コンサルタントの室伏謙一氏が、


今回、消費増税対策として用意された


ポイント還元制度のデタラメさを紹介しています。



【消費税増税のポイント還元は「どうしようもない愚策」と断言できる理由】
https://diamond.jp/articles/-/215961?display=b

(前略)

そもそもキャッシュレス決済によることを、ポイント還元の条件とすること自体おかしな話だ。
 しかも、ポイント還元の実施期間は9ヵ月限定である。やはり真の目的は、手数料負担から、中小・零細事業者を中心になかなか導入が進まないキャッシュレス決済の導入促進を図ること、と考えるべきであろう。
 別の見方をすれば、ポイント還元による集客やカード利用手数料への補助金をインセンティブにしつつ、実質的にはカードインフラを導入・利用することを強制しているのと同じようなものである。
 先にも述べたとおり、キヤッシュレス決済インフラ利用に係る手数料は、この期間中は上限が3.25%で一部を国が補助するとされているが、期間終了後の手数料設定は自由である。
 極論すればキャッシュレス決済事業者の意のままにできる。キャッシュレス決済事業者が手数料を引き上げる可能性は否定できず、事業者の負担増は避けられなくなる可能性が高いだろう。
 しかし、一度キャッシュレス決済インフラを導入し、お客さんもそれに慣れてしまった状況で、特に中小事業者は、手数料を上げるならキャッシュレス決済はやめますと簡単に言えるだろうか?(優越的地位の濫用に該当する事例が出てくる可能性すらあるのではないか、との声もある。詳しくは後述)。


キャッシュレス決済導入の実質的な強制は
中小・零細企業に「死ね」と言っているに等しい

 それ以前の問題として、キャッシュレス決済インフラを利用する以上、いずれにせよ手数料は支払い続けなければならず、それは小規模事業者や零細事業者にはそもそも大きな負担である。手数料負担に耐えられず潰れる店も出てくるかもしれない。
 実際、消費税増税後の価格は柔軟に設定できるというのが政府の理解であり、大企業については、「消費税引き上げ後、自らの経営資源を活用して~価格設定を行うことに何ら制約はありません」とされている。つまり、増税分を価格転嫁しなければならないとはされていないということである。
 一方で中小・零細企業は増税分を転嫁できず、粗利が減ることになるのは確実。そこにさらにキャッシュレス決済導入で手数料を徴収されたら、粗利減と合わせて5%以上利益が吹き飛ぶことになりかねない。
 すなわち、キャッシュレス決済導入の実質的な強制は、中小・零細企業に「死ね」と言っているに等しいということであろう。

(中略)

ところが、どうも多くの日本の政治家や官僚は「日本はキャッシュレスの導入が遅れている」と思い込んでしまっているようで、それに対して反論する政治家も少ないため、結果的にこの事業の追い風になってしまっているのだろう。
 そしてこうした状況を、キャッシュレス決済事業者が上手に利用して、キャッシュレス決済導入促進策としてのポイント還元事業を押し込んだのではないかとの話もあるくらいである。
 つまりは、消費税増税ポイント還元事業は、端的に言えば、ひとえにキャッシュレス決済インフラを提供しているプラットフォーマーのビジネスのためのものなのではないかということである。

(後略)



…。


いやー、背筋も凍るお話ですね…。


政府が増税を推し進める状況に乗じて、


カネ儲けがしたいキャッシュレス決済プラットフォーマーたちが、


増税対策を隠れ蓑にしてビジネス拡大を図る。


しかも、増税対策は来年6月までの時限措置であるため、


それ以降は決済システムの利用料を意のままに上げられるという始末。


感心したくなるほど、ビジネス拡大が上手ですね…、プラットフォーマーたちは。


プラットフォーマーおよび事業者たちは


利益を出すことが目的なので、しょうがない部分もありますが、


その強欲さから中小・小規模事業者や消費者を守るのが政治の役割です。


しかし、こうした中小事業者の負担増に対して世耕経済産業大臣(当時)は…。



世耕大臣

 確かに、負担がふえるという面はあるだろうと思っています。

 ただ、今、キャッシュレス事業者は激しい小売店舗の囲い込み競争というべき状況にもなっていまして、これはキャンペーンということになりますが、一部のQRコード決済事業者は、手数料当面ただというような施策もとっているわけであります。
 ですから、まずはそういった競争でかなり手数料といったものが引き下がっていくんじゃないか。我々のポイント還元策が終わった後、もとへ戻します、例えば7%に戻しますよというようなクレジットカード事業者は、その後どうするのかなというふうに思いますけれども、そういう競争があるということ。
 もう一つは、じゃ、そういうことがないとしても、一定の手数料の負担は出てくるわけであります。今度、決済事業者が、その手数料に見合う付加価値をどのように提供するかだと思っています。

 ~(中略)~

 キャッシュレスがきちっと普及をしていけば、例えば、この間も、私、オールキャッシュレスの飲食店に行きましたけれども、そうすると、いわゆるレジカウンターがないんですね。その分そこに客席を数席置けるということで、それだけでもやはり売り上げのふえる要因になる。
 ですから、キャッシュレスを通して小売店の生産性を高めていく、そのことによって手数料分を上回る利益が小売店に渡るようにするという考え方が重要ではないかと思っています。



…。


競争が生じるから、生産性が高まるから大丈夫、という認識だそうです。


デフレが続く中、地方で何とかやりくりしている企業に対しても、


こうしたスタンスで通用すると思っていらっしゃるのでしょうか?


企業努力にも限界があります。


政府のスタンスは、室伏氏が言う通り



「キャッシュレス決済導入の実質的な強制は、中小・零細企業に「死ね」と言っているに等しいということ」



なのでしょうね…。


…。


政治が国民の暮らしを豊かにする方向に向かない限り、


こうしたことは今後何度でも起きるでしょう。


早期の政治の転換が求められています。


そのために、正しい知識を身に付けて声を挙げていきましょう!



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