「異次元緩和」が終了~もう、日銀だけに頼らず政府は財政拡大を!~




黒田総裁が率いる日本銀行が、2013年4月以降に開始した、


いわゆる「異次元緩和」が先日、終了しました。



【日銀、「異次元」の国債購入終了 黒田緩和前の水準に ピーク時の3割に縮小】
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190912&c=DM1&ng=DGKKZO4970040011092019EN2000

日銀の長期国債の年間購入額が、2013年4月に異次元金融緩和を始める前の水準にほぼ戻ってきた。19年8月末の長期国債保有額は1年前と比べて約24兆円の拡大にとどまり、13年4月末時点の年間増加額(約25兆円)を下回った。ピーク時の3割程度への縮小だ。中央銀行の歴史に残るとの見方もあった「異次元」の巨額国債買い入れは、いったん終わった。


日銀は黒田東彦総裁の下で異次元緩和を始めたとき、年約50兆円ペースに向けた長期国債の購入増額に着手した。14年の追加緩和で約80兆円とした。白川方明前総裁時代の13年1~2月期には年23兆円程度のペースだったので、文字通り異次元だった。だが次第に政策の持続性に疑問が指摘されるようになった。


そこで16年9月に決めたのが緩和策の軸足を「資金供給」から「長短金利操作」に移す措置だ。長期国債は長期金利(10年物国債利回り)を「ゼロ%程度」に誘導するのに必要な額だけ買えばよくなり、減額への道が開かれた。「ステルス(隠密な)緩和縮小」と呼ばれたこの路線を3年続け、ついに異次元緩和前の購入額にほぼ戻った。


…(後略)



…。


景気回復やデフレ状態からの脱却など、名ばかりである今日この頃ですが、


なんだか、その責任は日銀にあるかのような雰囲気が世間にある気がします。


日銀が今回、国債の購入額を減らさざるを得ないのはしょうがありません。


なぜなら、政府が国債発行を減らしているため、


そもそも市場にある国債のそこが見えてきているからです。


また、景気回復やデフレ脱却は日本銀行の金融緩和だけでは実現できません。


日本銀行による金融緩和はあくまでも、


民間銀行の企業への融資可能な額を拡大するだけであって、


融資自体を拡大させることはできないからです。


ではなぜ融資自体が拡大していないのでしょうか?


それは単に、企業の資金需要が乏しいためです。


なぜ、企業の資金需要が乏しいのでしょうか?


それは、デフレ(需要不足)により企業がお金を借りてまで投資をしないためです。


であれば、誰かが需要を創り出さなければなりません。


デフレ下で、それができるのは政府だけです。


ところが、現在の政府は先ほど書いた通り、


需要を削って(国債発行の抑制=緊縮財政)います。


これでは、日銀がいくら頑張って(金融緩和)も、景気は回復しませんね。


日本銀行はこれまでよく踏ん張ったと思います。


政府はこれまでの緊縮財政の姿勢を改めて、


需要創出へ国債発行に乗り出さなければなりません。


日銀の異次元緩和終了は、市場が国債発行を求めている合図です。


政府は今回のことを契機に、


積極財政(国債発行による需要創出)への転換をしなければなりません。



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迫る「大倒産時代」~市場原理を絶対視すれば中小・零細企業が壊滅する~




政府による中小・零細企業支援法の終了など、


様々な要因が重なり、「大倒産時代」が迫りつつあるようです。



【恐るべき「大倒産時代」が到来中の日本で、これから起きること】
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/67115

…(前略)


東京商工リサーチがまとめた2018年の倒産件数は8235件と10年連続で前年を下回り、過去30年で3番目に低い水準となった。日本は倒産件数が異様に少ない「無倒産」社会となっているが、その直接的な原因は、2009年に導入された中小企業金融円滑化法である。

この法律は、銀行が、資金繰りが厳しくなった中小企業から返済条件の変更を求められた場合、金利の減免や返済期限の見直しに応じなければならないというものである。この法律が存在していたことで、銀行は仮に融資先の経営が苦しくなった場合でも、安易に資金を引き上げることができなかった。

日本は長期間にわたって消費が低迷しており、中小企業の経営環境はむしろ悪化しているが、銀行は政府の意向によって無条件で融資を継続してくれる。先行きが不透明であるにもかかわらず、資金繰りに窮することはないという、ある種のぬるま湯状態が続いていたわけだが、この状況に終止符を打つきっかけとなったのは、皮肉にも量的緩和策がもたらした異様な低金利だった。

銀行は低金利が長期にわたって継続したことで、利ざやが稼げなくなっており、メガバンク各行の収益力は大幅に低下した。手数料収入の強化や海外進出などで収益源の多角化を図ってきたが、そろそろ限界となりつつある。メガバンクは、極めて重い人件費と店舗網の維持コストに耐えられなくなり、数万人規模のリストラ計画を表明。経営体質のスリム化に乗り出した。

地方銀行の状況はさらに厳しく、各行は規模拡大を目指して経営統合を進めている最中だ。主要行の経営統合は一段落しつつあり、今後は、統合効果を顕在化させるため、コスト削減を本格化させることになるだろう。

こうした中、今年の3月、とうとう金融庁に対する報告義務がなくなり、中小企業金融円滑化法に関するすべての施策が終了した。

円滑化法に関する施策が終了したことと、メガバンクが前代未聞の大リストラに乗り出したこと、そして、地方銀行の統合が一段落したことが、同じタイミングなのは決して偶然ではない。昭和から平成にかけて維持されてきた日本型金融システムがとうとう継続不可能となり、円滑化法の完全終了をきっかけに、金融庁がシステム全体の再編成に乗り出したとみてよい。

金融庁は統合した銀行が、金利引き上げなどの措置を実施しないよう貸出金利の監視を強化するとしているが、これも融資姿勢の変化を警戒した動きと捉えるべきだろう。人口が減少し、経済がシュリンクする日本においては、過剰となった企業がいよいよ市場から退出を迫られることになる。


…(後略)



…。


記事中で触れられている「中小企業金融円滑化法」は、


亀井静香氏の主導の下で成立した法律です。


デフレ不況が続く中、一定の効果を発揮していたようですね。


また記事中では、その法律が失効した上に、


金融機関が日銀の低金利政策によって収益が悪化し、余裕を失っていること


そもそも、企業自身も不況で売り上げが下がり苦しんでいることなどが重なり、


倒産が相次ぐのでは?と書かれています。


この状況で、10月には消費税が上がります。


ますます消費が冷え込み、企業の売り上げは下がるでしょう。


やはり、このタイミングでの増税は正気の沙汰とは思えませんね。


今こそ、かつて亀井氏が金融法円滑化法を成立させたように、


立場の弱い企業を救うべく、政治が動かなければなりません。


今は、その逆方向に動いていますね…。


そして気になったのは、


記事の最終段落において、


「倒産は過度に回避しない方がよい」とした上で、


「倒産は当該社員にとっては大変なことかもしれないが、人材の最適配置と経済の新陳代謝を促す効果もある。持続できない企業は、自然の摂理に従って市場から退出させた方が、社会全体の不利益は少ないはずだ。


という記述がありました。


うーん、この方は市場原理を全て正しいと考えていらっしゃるんですかね?


敗者は、退場しろと。


しかも「新陳代謝」という言葉が特に気になります。


新陳代謝って、人体で言えば「垢を体外に排出する」ってことですよね?


倒産した企業や失業者って、垢なんですか?


…。


これは個人の記事ですし、公人でもなさそうなので構いませんが、


何だか読んでいて悲しい気持ちになりますね…。



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