「郵政民営化」見直しへ~なぜ、こんなことを進めたのか?という反省をしなければならない~

     




年初から報道が出ていましたが(産経新聞のスクープ!)、結局、郵便サービスの質を下げるだけの結果に終わった「郵政民営化」について、見直しの方向で政治が動いているようです。


<独自>郵政民営化方針撤回、金融2社の株式保有継続 自民、通常国会に改正法案提出検討
https://www.sankei.com/article/20240106-BCQMIUNAE5MBJCJDV4N6MHSZ3A/

政府の郵政民営化方針の撤回に向けて、自民党内で郵政民営化法を改正する議論が進められていることが6日、分かった。日本郵政が保有するゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の金融2社の株式について、一部を保有し続けられるよう完全分離の規定をなくす。日本郵政が日本郵便を吸収統合し、赤字体質の郵便事業を金融2社が支える構図を明確にする。郵便物の減少など郵便事業の業績悪化が背景にある。

(後略)


郵政民営化法、自民議連「今国会で改正やりたい」 社内には慎重論も

日本郵政グループが民営化する道筋を定めた郵政民営化法について、自民党の議員連盟「郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟」が25日に都内で総会を開き、今国会での改正をめざす方向を確認した。全国郵便局長会の要望などを受け、郵便局網の維持コストを捻出する狙いだが、日本郵政グループ側には慎重論もある。国会が自民党の裏金問題で揺れるなか、調整は難航しそうだ。

(後略)


流れとしては、素晴らしいことだと思います…が、そもそも、郵政民営化って何のために実施したのでしょうか。


一応、民営化によって民間活力を導入し、郵便サービスの向上を図る!と言われていたかと思いますが、実際はどうだったでしょうか?


度重なる郵送料の値上げ、土曜配達の廃止…などなど、郵便サービスの向上なんて何一つ実現してはいないじゃないですか?


冷静になって考えてみればわかると思いますが、そもそも郵便事業というのは僻地だろうが離島だろうが均一の料金で郵便サービスを行き届ける以上、赤字になって当たり前です。


その当たり前の感覚をもっていた私たちの先人たちが、それでも郵便事業を維持するにはどうすべきかについて知恵を出し合い、金融事業(ゆうちょ銀行、かんぽ生命)で得た収益で郵便事業の赤字を穴埋めすることで、郵便・金融事業を合わせた全体で帳尻を合わせる、という仕組みを作ってくれたわけです。


その仕組みをぶち壊したのが、「郵政民営化」です。
民営化によって郵便・金融事業がそれぞれ別会社に分けられ、上記の帳尻を合わせる仕組みが成り立たなくなり、郵便事業は赤字のまま放置(当たり前ですが)。その分、郵便サービスの質は下がり続けた…。


顛末はこんな感じですが、その現状に見直しが入るのは繰り返しますがいいことです。
ただ、気になるのは見直しとともに「なぜこんなことを進めてしまったのか」という反省と振り返りが行われるのか?ということです。


郵政民営化は小泉政権時に実施が決められたことですが、その真の狙いは郵便サービスの質の向上ではなく、「改革姿勢をアピールして、有権者の支持を得る」ことだったのではないかと思います。


だとすれば、有権者もなめられたものです(まぁ、実際に当時の有権者は郵政民営化に熱狂したわけですが💦)。


そして、政策ではなく、政治家が支持を得るために行った愚策、という事実に対して反省してそれを有権者にしっかりと説明する必要があると思います。


うやむやのまま進めてしまうと、こうした行き当たりばったたりで結局は大多数の国民が損をする政策やその決定が今後も別の形で起きてしまう気がしてならないのです。


政治的には、というか自民党的には自分たちの非を認めるようなものですから、反省や振り返りは絶対にしないでしょうけど、そこは真の政治家であるならばきっちりとしてほしいものです。


われわれ有権者も同じように「なぜ、こんな愚策を支持してしまったのか」と反省が必要です。反省をしないものに改善など、できっこないのですから。



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