アメリカで「株主第一主義」修正の動き!?~新自由主義の権化が方向転換。日本は?~




「企業は株主のためにある」


こういった考え方が最も浸透している印象のあるアメリカですが、


その考え方を見直しする動きがあるようです。



「米経済界「株主第一主義」見直し 従業員配慮を宣言」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48745980Q9A820C1000000/

【ニューヨーク=宮本岳則】米主要企業の経営者団体、ビジネス・ラウンドテーブルは19日、「株主第一主義」を見直し、従業員や地域社会などの利益を尊重した事業運営に取り組むと宣言した。株価上昇や配当増加など投資家の利益を優先してきた米国型の資本主義にとって大きな転換点となる。米国では所得格差の拡大で、大企業にも批判の矛先が向かっており、行動原則の修正を迫られた形だ。


19日公表した声明には同団体の会長を務めるJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)のほか、アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾスCEOやゼネラル・モーターズ(GM)のメアリー・バーラCEOなど181人の経営トップが名を連ねた。賛同企業は顧客や従業員、取引先、地域社会、株主といった全ての利害関係者の利益に配慮し、長期的な企業価値向上に取り組むという。


今回の宣言は米経済の根幹を成す「資本主義のかたち」を大きく見直すものだ。米ビジネス・ラウンドテーブルは1978年以降、定期的にコーポレートガバナンス(企業統治)原則を公表し、97年からは「企業は主に株主のために存在する」と明記してきた。JPモルガンのダイモンCEOは発表文で「アメリカンドリームは存在するが、揺らいでいる」と指摘した上で、行動原則の見直しは従業員や地域社会への投資継続を約束するものだと述べた。


「株主第一主義」の見直しは、米経済界に対する国民の批判をかわす狙いもありそうだ。トランプ米政権の税制改革で企業の利益水準は押し上げられたが、賃金の伸びは鈍い。余剰資金は自社株買いに回り、米株高を演出した。恩恵を受けたのは株式を持つ資産家や、自社株で報酬を得る経営者層――。そんな不満が富裕層増税や大企業解体などを唱える米民主党左派への支持につながっており、米経営者の危機感は強い。


80年代から2000年前後に生まれたミレニアル世代の存在も、行動原則の見直しにつながった。今回の声明に加わった米運用大手ブラックロックのラリー・フィンクCEOは、投資先企業に送った年初の手紙の中で、ミレニアル世代の6割が「会社の主な目的を利益追求より社会貢献と考えている」と指摘。経営者に対して社会問題の解決に取り組むよう求めていた。米経済界は優秀な人材の獲得や投資マネーの取り込みで、同世代の影響力を無視できなくなっている。


日本における株主と企業の力関係にも影響を及ぼす可能性がある。日本企業は近年、海外投資家から促される形で、株主重視経営への転換を迫られてきたからだ。すべての利害関係者の利益に配慮した経営は、日本の経営者が長年、主張していた経営思想と重なる。もっとも日米で企業の置かれた立場は異なる。米国は行き過ぎた株主重視の結果、揺り戻しが起きているのに対し、日本は過度な株主軽視が、企業の競争力低下を招いた。



…。


時代が変わりつつあるな、という印象を受けます。


株主を軽視することは、もちろん好ましくありませんが、


同じように、その企業で働く従業員やその家族、取引先、


事業を展開する地域のことを軽視することもまた、好ましくありません。


アメリカではここ2~30年の間、


過度に株主を優遇し、それ以外の利害関係者を軽視する考え方が主流でした。


当然、多数を成すのは株主以外の方々…。


であれば、社会に不満がたまり、不安定化するのも無理はありません。


それを体現する形で、労働者の側に立つトランプ大統領が登場したわけです。


特筆すべきなのは、今回の株主第一主義の見直しが、


世論を受けて動き出そうとしているということです。


自分は無力だと考えている有権者が日本には多いと感じますが、


このアメリカの動きを見ると、勇気づけられませんか?


アメリカ国民にできて、日本人にできないはずはありませんよ!


…。


もっとも、記事の締めには「日本は株主軽視が過ぎる」という趣旨の記述があります。


うーん…。本当にそうなんですかねぇ…?



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