東洋経済オンライン・『令和の新教養』から学ぶ「物語」の必要性〜MMTを広める切り口になるか?〜




東洋経済オンラインにて不定期で連載されているコラム「令和の新教養」


先日、そのコラムに島倉原氏の記事が載りました。



【MMTが日本に「公益民主主義」をもたらす理由 「租税国家論」に代わる「新たな物語」が必要だ】
https://toyokeizai.net/articles/-/307183

内外で議論の最先端となっている文献を基点として、これから世界で起きること、すでに起こっているにもかかわらず日本ではまだ認識が薄いテーマを、気鋭の論客が読み解き、議論する「令和の新教養」シリーズ。
今回のテーマは、ホットな話題となっている現代貨幣理論(MMT)。このたび上梓された『MMT現代貨幣理論入門』の監訳者である島倉原氏が、日本にとってのMMTの意義を説き明かしていく。

(後略)



…。


島倉氏は、MMT(現代貨幣理論)を提唱する中心的人物である、


L・ランダル・レイ教授の著作「MMT 現代貨幣理論入門」の監訳を務められた方です。


その島倉氏は、上記の記事の中でMMTについて丁寧に解説した上で、


MMTの認知を高め、経済・財政に関する正しい知識を一般に広める上で、


通貨や税に関する解釈を得て、


「公益民主主義」の物語を創る必要性について書かれています。



(前略)


必要なのは「公益民主主義の物語」か

『表現者クライテリオン』2019年9月号における柴山桂太氏の論稿「国家が貨幣をつくる」では、MMTが人々に受け入れられるうえで最大の障害となるのは、租税国家論に代わる新たな物語の不在なのではないか、という問題提起がなされている。

租税国家論とは、「国民の税金で政府は運営されている。だから政府は国民のために働かなければならない」という物語であり、柴山氏によれば、これが近代以降の国家において、人々の納税意識を支えてきた。


(中略)


必要なのは「正しい貨幣観」に基づく発想の転換

「税金が財源」という見方は政府を家計や企業と同一視することにほかならず、それゆえ私益の論理と結びつきやすいという側面がある。MMTの貨幣観に基づいて、民主主義に基づく政府や通貨制度が公益のために果たしうる積極的な役割を認め、それらへのいわば信任投票として税金を理解する――そうした発想の転換が求められていることを、同書の記述は示唆しているのではないだろうか。

そして、このテーマはMMT受容以前の問題として、第2次世界大戦を経て政府あるいは国家の存在を否定的にとらえる風潮が根強く残り、それが財政法(赤字国債や財政ファイナンスの原則禁止)という形で現在の緊縮財政にも影を落としているこの日本において、とりわけ重要な意味を持つように筆者には思われる。

『MMT現代貨幣理論入門』の示唆をふまえれば、「民主的なプロセスの下で、政府が持つ無限の支出能力を活用してデフレ脱却という公益を成し遂げる」という新たな「公益民主主義の物語」が必要なのかもしれない。



…。


社会通念に沿って生活していれば、


「税金が政府支出の財源になる」という認識に至るのが普通です。


公務員に対して、「君たちは税金で食っているんだから」


って巷ではよく言ったりしますね。


ただ、この認識は実は正しくありません。


その理由は同書での解説に譲りますが、(私も読みました!)


こうした社会通念上の認識が根底から覆ってしまった場合、


頭が混乱し、税金を納める意味を疑ってしまうかもしれません。


ここで、通貨や税に関して新たな解釈をする必要があります。


その解釈として同書が提起するのは、


「政府は景気の安定化装置(ビルトイン・スタビライザー)、所得再分配による格差縮小などの公益のために通貨を発行し、その通貨を税金として受け取ることで通貨制度を裏付けする(日本であれば、日本円の使用を強制する)」


というものです。


なかなか馴染めないでしょうが、これがMMTが示す通貨・税の役割です。


この解釈を踏まえた上で、


『政府の支出能力をフル活用し、デフレ脱却して「公益」を実現する』


という物語が必要です。


人は、どうしても行動などに意味を求めがちですから。


国を統治する場合、神話を用いることがあるのもそのためですね。


通貨や税、政府による公益の実現について、


社会通念を覆し、違和感のないような物語を創ることが


MMTという正しい貨幣観を広めるカギを握っています。



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