イギリスの町から移民問題を考える~イギリス国民はなぜEU離脱を選択したのか~




イギリスのEU離脱が迫る中(予定では10月末)、


同国・ボストンでの早期離脱を望む声が日経新聞で紹介されています。



【ブレグジット前夜(3) 移民はもううんざりだ】
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20191009&c=DM1&ng=DGKKZO5068107007102019EA1000

「ブリュッセル官僚に牛耳られるのは、もううんざりだ! 早く離脱実現を」。10月末の欧州連合(EU)からの「合意なき離脱」を阻止する英法案可決から一夜明けた9月5日。ロンドンから北に150キロメートルほど離れた町ボストンで、140年続く衣料品店を営むリチャード・チアー(65)は語気を荒らげた。10月末までの離脱を約束してきた英首相のボリス・ジョンソン(55)の行く手を阻む英議会への憤りをあらわにする。

ボストンは中世の教会などの建物が残る以外は特段の特徴がない、人口7万人弱の小さな町。しかし2016年のEU離脱を問う国民投票で、一躍有名な町へ転じた。離脱賛成票が全国最高の7割超に達したからだ。理由はEU拡大に伴う東欧からの移民の急流入。ボストンの人口は01年から11年までの10年で約15%も増え、約7%増だった英国全体を大きく上回った。

中心部から5分も車を走らせれば、広大な野菜畑が広がり、大型の農業トラクターが行き交う。収穫された野菜は、近くの加工施設に運ばれ、洗浄、袋詰めや冷凍を経てロンドンなど大都市のスーパーマーケットへ出荷されていく。低賃金の作業を黙々と支えるのは、ポーランドやルーマニアなど東欧やバルト3国からの移民たちだ。

しかし移民の急流入は、家賃の高騰や病院の混雑などにつながり、昔からのボストンの住民の不安をかき立ててきた。元船員で年金暮らしのビル・スモーリー(74)は「小さな町なのに、街中で外国語が飛び交う。受け入れるのは簡単ではない」とこぼす。


(後略)



…。


移民問題について、


ボストンのようにもろに影響を受けている地域の声は


やはり切実なようです。


我が国も昨年末、出入国管理法を改正(改悪?)し、


本格的な移民受け入れに舵を切りました。


こうした政策を推進した勢力は、


記事で紹介されているボストンのような地域の実情を


十分に把握した上で、判断されたのでしょうか。


…。


移民問題が厄介なのは、


記事にもある通り、移民が低賃金労働に従事することで、


移民なしには商売ができなくなる方々が発生してしまうことです。


つまり、一度移民を受け入れてしまえば、


何らかの問題が発生して受け入れを止めようとしても、


それに反対する勢力が出てきてしまうということです。


国民間で分断が生じてしまうわけですね。


これが、イギリスが簡単にEU離脱できない理由の1つです。


また、移民がその国や町に定住すれば、


移民の方が出生率が高い分、


やがて移民の方が人口に占める割合が増えてくるでしょう。


最終的には、国や町の中に「別の国」が出来上がります。


いかに、移民政策が後戻りできないものかが分かります。


TPP11日米FTAなど、日本の主権を縛る国際協定が締結されていますが、


それらは、協定を破棄するなどして後戻りすることは、


ある意味では可能です。


しかし、移民政策は後戻りができません。


こうした現実を踏まえた真っ当な議論や政策が必要です。



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