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9月, 2019の投稿を表示しています

消費税増税を前に~あきらめるのではなく、これから出来ることとは!?~

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明日、10月1日から消費税率が10%に上がりますが、 その直前の日に 藤井聡 京都大学教授(元内閣官房参与)のコラムをご紹介します。 【増税は「リーマンショック超え」の大災厄を招く】 https://president.jp/articles/-/30039 ▼97年3%→5%から始まった日本の凋落 消費増税で何が起こるかが、知られていない 2018年末まで6年間、内閣官房参与として内閣府に在籍していましたが、消費増税を推し進める財務省の大変な強さを感じました。 政府、国会、野党、学会とあらゆる領域に増税推進派が多数を占めているんですが、そういう状況をつくり出したのは明らかに財務省。 マスメディアにも大きな影響力を持ち、財界に対しても、社会保険料の負担を軽減したり法人税を減らしたりするのとバーターで増税に賛成させるという形で影響力を使っています。 財務省の勝利の最大のポイントは、経済学者を押さえたことです。 学者が真実を語れば、それがメディアを通じて政治家と世論に伝わり、増税を止める状況をつくれたかもしれませんが、吉川洋(東京大学名誉教授)、土居丈朗(慶應義塾大学教授)、伊藤隆敏(東大・一橋大学名誉教授)といった主流派の経済学者がほぼ全員財務省の意向を汲んでいますから、その意向に反するような情報はメディア上ではごく少ないという状況が長く続きました。データそのものは政府が隠さずに公表していましたが、それをちゃんと加工してメッセージを伝えるという作業を、経済学者、エコノミスト、ジャーナリストがほとんど行ってこなかったのです。 (中略) まず、増税した瞬間に個人消費がほぼ増税分だけ減ります。なぜなら、家計の出費額はモノの購入と税金とに分けられますが、今どき国民の可処分所得の金額は増税する前でも後でも別に変わりませんから、家計の出費額もそのまま。だから、税金が増えればモノの購入額は必然的に減ります。単純な話です。すると、実質的な需要が減って、必然的に売れるモノが減るわけです。 この短期的な影響以上に恐ろしいのは、消費の伸び率への影響です。ご存じのように日本のGDP(国内総生産)の半分から6割程度を個人消費が占めるわけですが、その消費の「伸び率」は、 税率が3%から5%に、5%から8%に上がった際、増税前の 半分 に

農業は国民を食わせることが本分~今、農政に必要な意識とは?~

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現在の政権が成立してから、 農業に関して 「これからは攻めの農政だ!」 何て言うフレーズをよく耳にするようになりました。 こうしたフレーズや考え方に疑義を呈する記事をご紹介します。 【提言 JAグループに望むこと 柴山桂太・京都大学大学院准教授 周回遅れの農政に否 自給体制の強化急務】 https://www.jacom.or.jp/noukyo/tokusyu/2019/07/190724-38699.php 食料・農業・地域の未来を拓くJA新時代を本当に迎えるために、いまJAグループは何を考え、どのような行動を起こすことが必要なのかについて、 柴山桂太 京都大学大学院准教授に提言していただいた。 ◆危うい"輸出戦略" 国家間の対立激化 グローバル化の時代は長続きしないのではないか。私は以前からそのように主張してきた。歴史を振り返っても、市場が開放され各国の経済が緊密に結びついた時代の後には、必ず巨大な反動の時代がやってくる。19世紀後半から本格化した前回のグローバル化が、やがて各国の保護主義を招くことになったのはその好例である。   20世紀後半から始まった現代のグローバル化も、いずれ激しい逆流に見舞われることになるのではないか...。 最近の国際情勢を見る限り、私の予想は大きくは間違っていなかったようである。これまで自由貿易の旗振り役だったアメリカで、公然と保護貿易を唱える大統領が出現する。他の地域に先駆けて市場統合を進めつつあった欧州では、選挙の度に反EU派の政治勢力が台頭している。私の見立てでは、これはまだ新たに始まりつつある歴史的変化の、ほんの序盤に過ぎない。近く起こる次の世界的な景気後退で、すでに表面化しつつある国家間の対立は、ますますエスカレートしていくことになると思われる。 (中略) そのような視点に立ったとき、危惧されるのは日本の農政である。 安倍政権は「攻めの農政」を合い言葉に、農業生産物の輸出を積極的に後押ししている。海外の消費者に販路を拡大することが日本の農業を再生させる切り札になる、との考えに基づいているのだろう。だが、国際政治経済の現状を考えた時、農業の輸出志向戦略は本当に望ましいと言えるのだろうか。  改革派は、農業の国際競争力を高めるために、生産の大規

「医療費」という貴重な需要~これがなければ日本のGDPは激減!?~

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「医療費が過去最高!」 こうした新聞などの見出しを目にすると、あなたはどう思いますか? 【医療費、18年度42・6兆円 2年連続増加で過去最高】 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50253150W9A920C1EE8000/ 厚生労働省が26日発表した2018年度の概算医療費は42.6兆円で、前年度に比べ0.8%増えた。増加は2年連続で、過去最高を更新した。75歳未満の医療費は0.2%減となった一方、75歳以上で2.4%増となったことが押し上げた。高齢化や医療技術の発達に伴い、今後も医療費は膨らむ見通しだ。 概算医療費は労災保険などを除いた費用で、医療費全体の98%に相当する。16年度にC型肝炎を治療する高額薬剤の薬価を引き下げたことなどで一時的に減少したが、17年度から再び増加に転じた。ここ数年は平均で年2%のペースで増加している。 今回は0.8%増と一見、伸び幅が緩やかになったように見える。ただ18年度の診療報酬改定で薬価を引き下げており、「(引き下げの)影響を考慮すれば例年の伸びと同程度で、高齢化や医療の高度化で医療費が増える基調に大きな変化は無い」(厚労省)という。 …(後略) …。 恐らく、多くの人は 「医療費がこんなに伸びているなんて大変だ!これでは国の財政はますます厳しくなるし、今後医療費の自己負担が増えそうだなぁ…」 とか、 「高齢者が増えて、彼らを優遇しすぎているせいで現役世代が搾取されているのに、それがますます進んでいるのか…」 と感じるのかなと思います。 実はそんな心配は無用です。 医療費の増加は、むしろ今の日本にとって良いこと です。 まず、 「医療費の増加」 とは、 医療サービスを受けたいという「需要」が膨らんでいるということ です。 現在の日本は需要不足で生じる デフレ に悩まされています。 ということは、 医療サービスという膨らむ需要が、 今まさにデフレを緩和してくれているのです。 逆に、この医療サービスの需要が膨らんでいなければ、 もっと、デフレが進行して 我々の所得は減少していた でしょう。 考えるだけでも恐ろしいです…

財源の議論なんて旧い!~MMT(現代貨幣理論)で貨幣とは負債であることを知ろう~

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日本の 野党 は現在、与党に対抗するために 会派を合流を行ったり、公約を練ったりしているようですが、 政策を実行する際の 財源 の議論が行われています。 【[多弱の行方 政党を問う]<4>旧民主 公約トラウマ…財源議論 踏み込めず】 https://www.yomiuri.co.jp/politics/20190920-OYT1T50331/ 夏の参院選に向けた立憲民主党の公約作りは、民主党時代の「トラウマ」に縛られた。 「 財源 まで踏み込むべきだ」 「いや、そこまで入れなくてもいいんじゃないか」  経済分野のとりまとめを担った代表・枝野幸男(55)直轄の経済政策調査会では、こんなやりとりが交わされた。  経済政策の柱は「所得再分配」の強化。最低賃金の引き上げや残業代の完全支払いなどを実現し、消費の喚起を促す仕組みだ。 財源として化石燃料の使用に応じて企業や個人に課す炭素税などの案も浮上した が、踏み込んだ議論には至らなかった。  結局、財源については「税の累進性を強化して公平な税制へ転換」と曖昧な表現にとどまり、具体的な波及効果も示されなかった。「『この財源でこんな事業をやってこれだけ効果を上げる』と書いて失敗した2009年のマニフェストがトラウマになって、具体的な数字にはなるべく触れないという雰囲気があった」。調査会メンバーは振り返る。  9月6日に開かれた全国幹事長会議では、公約に対して「全体として抽象的だった」「支持者に不評だった」と不満が漏れた。 ■甘い見積もり  子ども手当、最低保障年金創設、高速道路無料化――。  鳩山由紀夫(72)が率いた民主党は09年衆院選の政権公約(マニフェスト)で、こうした政策を4年で実現すると掲げた。必要な財源16・8兆円は無駄遣いの削減や予算の組み替えで生み出すと約束した。  マニフェストを原動力に政権を奪ったが、財源の見積もりの甘さはすぐに露呈した。鳴り物入りで始めた行政刷新会議の「事業仕分け」の成果は約1・7兆円にとどまり、政策は次々と修正を余儀なくされた。  トラウマを抱えるのは国民民主党も同じだ。  代表の玉木雄一郎(50)は18年8月、3人目以降の子どもが生まれた家庭に1000万円を給付する「コドモノミクス」を提唱したが、 財源を見

国民経済を語るならマクロの視点で~合成の誤謬について理解するには~

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10月の 消費税率引き上げ に向けて、 我々に節約を勧める記事が掲載されていました。 【消費増税に節約で勝つ 日常生活品にこそ削る余地あり】 https://style.nikkei.com/article/DGXMZO49938170Y9A910C1000000 …(前略) ■日常生活費を削減するため、まずは買わない生活を 1つめは「日常生活品を買わない」というアプローチです。私たちは思った以上に「買いすぎ」ていますし、「買わなくてもいいもの」に手を出しています。 購入するのが当たり前に思っているものほど、「一度買うのをやめる」ことにチャレンジをしてみてください。私は若い頃にオタク趣味に散財しまくっていた時期があります。試しに数カ月、ゲームもアニメのDVDもマンガも雑誌もとにかく買わないという生活をしてみたことがあります。 何カ月かすると、それまでは当然のように思っていた物欲が、ほとんど強迫観念のようなものだったことに気がつきました。買っても遊びきれず読み切れず、「積みゲー」「積ん読」になっているなら、それは買ったお金が自分に還元されていないことになります。 食のあり方や生活習慣を見直すための「プチ断食」、スマートフォンやインターネットとの距離感を考え直すための「デジタルデトックス」などがあるように、「できるだけ買わない生活」を一度試してみることをオススメします。 もしどうしても欲しいものがあったとしても、数カ月くらい前のものなら電子商取引(EC)サイトでたいてい注文できます。 ■コンビニやスーパーで「買わない」に挑戦 コンビニやスーパーマーケットで買うお菓子や食料品などは削れない買い物のように思うかもしれません。でも、これらも「買わない」チャレンジに含めてみましょう。 最近、コンビニなどのフードロス(食品廃棄)問題が話題になっていますが、実は「家庭内フードロス問題」も無視できません。つまり野菜やお肉などの期限切れによる廃棄です。野菜を毎週2~3個捨てている人は買いすぎたことにより、月4000~5000円の節約チャンスを捨てていると言えるかもしれません。 フードロスは家計的には「使わずに捨てるお金」そのものですから、これをまずは削ってみたいものです。週末のまとめ買いなどでスーパーに行くときは

当たり前の感覚を取り戻す~長年の緊縮財政で日本のインフラはボロボロです~

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台風15号 による被害は、政府の災害対策が十分に行き渡っておらず、 日本は災害大国であるにも関わらず、 災害に極めて弱い国に成り下がってしまった ことを浮き彫りにしています。 【真相深層 台風15号の大規模停電で断水 水道事業のもろさ映す 自家発電配備進まず】 https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190921&c=DM1&ng=DGKKZO5006524020092019EA1000 台風15号の大規模停電に伴う断水は、日本の水道事業が直面している危機を改めて浮き彫りにした。 全国の水道施設の6割は自家発電装置を備えておらず、停電に無防備な状態だ。人口減などによって各地の事業体の経営は厳しさを増し、災害対策どころか老朽設備の更新さえ滞っている。 千葉県の木更津、君津、富津、袖ケ浦の4市の事業体が4月に合併した「かずさ水道広域連合企業団」では、今回の台風15号によって一時、給水戸数全体の12%に当たる1万7千戸で水道が使えない状態となった。20日午後4時時点でも2002戸が断水している。 原因は水を送るための加圧ポンプが停電で止まったこと。「自家発電装置は大規模な浄水場などにあるだけで、配水の途中にあるポンプ場はカバーできていなかった」と担当者は話す。 2018年9月の北海道地震では44市町村で最大6万8千戸が断水し、揺れによる設備の被害だけでなく停電が原因の地域も広範囲に及んだ。地震を受けて厚生労働省が18年12月にまとめた調査によると、配水に電力を使う全国1万745カ所の施設のうち、6693カ所(62%)が自家発電設備を備えていなかった。 かずさ企業団は19年度に18億円分の企業債を発行し、設備の改修・改良予算を合併前の18年度の合計から3割積み増して44億円とした。だが「老朽化した水道管の改修を優先し、自家発電には予算を振り分けられなかった」(担当者)という。 水道管も老朽化 水道管の法定耐用年数は40年とされており、 高度経済成長期に普及した各地の水道インフラは老朽化が進んでいる。日本水道協会によると、全国で耐用年数を過ぎた水道管の割合は16年度に14.8%を占め、今後も増加する見通しだ。 老朽管の更新率の全国平均は近年わずか0.7%

気骨のある政治家・西田昌司参議院議員~自民党内の緊縮財政派を切り崩せ!~

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西田昌司参議院議員 は、 昨日ご紹介した 安藤裕衆議院議員 と同じく、 「安藤裕衆議院議員の奮闘」 https://eskunsf.blogspot.com/2019/09/blog-post_20.html 経済・財政について正しい知識を持ち、 デフレ下での消費増税に強く反対されています。 【自民党で消費税“延期論”も 「増税で景気が冷え込むと首相に直談判」】 https://dot.asahi.com/wa/2019091700085.html?page=1 自民党の中にあって「消費増税凍結」を一貫して訴え続けてきたのが、西田昌司参院議員だ。 政府はリーマン・ショック級の出来事が起きない限り、消費税率を引き上げるという立場を示してきたが、西田氏は不安を隠さない。 「アベノミクスで経済は再生路線に向かったが、金利が上がらずデフレ脱却には程遠い状態です。このため銀行の収益力は大幅に減少し、融資も伸び悩んでいます。何かの拍子で不良債権問題が発生したら、2008年のリーマン・ショック以来の金融危機に陥る恐れがあります。この時期に消費税を上げると、さらに景気が悪化する可能性が高い」  参院国会対策委員長代行を務める西田氏は、参院選から間もない8月6日、党役員連絡会が開かれた際、安倍首相にこう直言した。 「すでに消費増税を行う決意をされているのなら仕方がありませんが、私はいまでも反対です。 今後は景気対策をしっかりとやって頂きたい。そのためには大胆な財政出動で経済を支える必要があります。 私が国会でも提唱した MMT(現代貨幣理論) について、党内で議論して頂きたい」 …(略) 西田氏は17年12月、内閣官房参与(当時)の藤井聡・京都大学教授らとともに公邸を訪れた。安倍首相と会食しながら、MMTの理論について説明した。 「安倍首相は私たちの考えを理解してくれていると思います。だからといって、 党内議論が盛り上がらないことには、MMTが直ちに採用されるということはないでしょう。MMT支持を多数派に転換できるよう努力していきたいと思っています 」 …。 政治家の中で、財政拡大派がいかに少数派であろうとも、 自分ができることをコツコツと続けられている政治家 の方は、確かにいます

安藤裕衆議院議員の奮闘~「日本の未来を考える勉強会」が日本を救う~

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緊縮財政・構造改革派 の政治家さんが多い印象のある 自民党 ですが、 その中にも、経済・財政について正しい認識を持たれている方もいます。 例えば、 安藤裕 衆議院議員。 先日、安藤議員があるべき財政政策などについて語った記事が配信されていました。 【「財政出動が必要」前内閣府兼復興大臣政務官安藤裕氏】 https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190913-00010001-jindepth-pol&p=1 本日のゲストは、自民党衆議院議院で前内閣府兼復興大臣政務官の 安藤裕 (あんどうひろし)氏。安藤氏主宰の 「日本の未来を考える勉強会」 の活動について、政治ジャーナリストの細川珠生が話を聞いた。 …(略) このまま若手議員で先輩達が決めることに従うのではなく、若手でも「こうするべきではないか」としっかり意見を出して、提言をまとめてく姿勢をとろうという意図で勉強会を始めたという。 安藤氏は、「初めて当選したときから、少人数での勉強会はやっていた。そのとき、内閣官房参与で京都大学の藤井聡先生に指導いただいた。なかなかデフレ脱却できない、そんなときにもうちょっと幅を広げて、うちの同期全員に声をかけて始まってのがこの勉強会。」と述べた。 …(略) 安藤氏は、「アベノミクスが始まる前まではずっと緊縮財政だった。政府は金を使うな。財政が厳しいから、政府支出は削減するのが正しい、というのが流れだった。そこでアベノミクスは、 財政再建の前に経済再生が必要だが、それではデフレから脱却できない。そのために財政支出を拡大することが必要だから第2の矢を撃った。その原点に戻り、それをしっかりやるべきだ。 」と述べた。 …(後略) …。 安藤さんは記事にもある通り、 「日本の未来を考える勉強会」 ( https://nihonm.jp/ )を立ち上げ、 経済・財政に関する正しい知識を多くの議員さんたちと勉強されています。 こうした未来への危機感から 社会通念 (日本の財政破綻論など)に疑問を感じ、 自ら動かれていることは素晴らしいと思います。 結局、世の中を動かすのは、こうした地道な努力の積み重ねではないでしょうか。 とはいえ

EUは財政拡大へ!日本は?~日本もEUに続いて財政拡大を目指せ~

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欧州連合(EU) が今後の世界経済の悪化などを懸念し、 景気を下支えするための 財政支出の拡大を検討 しています。 【EU、財政規律緩和の議論着手 景気下支えを視野に】 https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190914&c=DM1&ng=DGKKZO4979659013092019FF8000 【ブリュッセル=竹内康雄】 欧州連合(EU)は加盟各国を縛る財政ルールを緩和する検討に着手する。 米中貿易戦争などのあおりを受けて欧州経済が減速するなか、柔軟な財政出動の余地を認め、成長を下支えする構想だ。 実現すれば厳格な財政規律を堅持してきた姿勢からの転換となる。だが北部欧州を中心にルールの緩和は財政規律の緩みにつながりかねないと反対論も根強い。実現には曲折がありそうだ。 13~14日にヘルシンキで開く財務相会合で議論を始める。EU議長国のフィンランドは会合前に議論のポイントを提示した文書で、従来のEU財政ルールが「健全で持続可能な財政を守るのが唯一の目的だった」とした一方で「数カ国が財政政策の役割は経済の安定にもあると提起した」と説明した。 財政規律にこだわるあまり、景気を犠牲にすべきではないとの主張だ。 北欧のフィンランドは財政規律の維持に厳格なEU加盟国のひとつ。それでもこの問題を取り上げるのは、足元で欧州景気が減速感を強めているためだ。ユーロ圏経済は4~6月期の実質成長率が前期比0.8%増(年率換算)と前期(1.7%増)から減速。とりわけけん引役のドイツは0.3%減で7~9月期もマイナス成長になるとの見方がある。 このまま手をこまねいていては、域内が景気後退に陥ることになりかねない。2010年前後の欧州債務危機では財政健全化を重視しすぎて、景気回復が遅れたとの批判もあった。 金融政策の余地が一段と狭まっていることもあり、財政で景気を下支えすべきだとの声は広がっている。12日に3年半ぶりの金融緩和を決めた 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁も「財政余力のある国は(財政出動に)動くべきだ」とドイツなどを念頭に対応を呼び掛けた。 …(後略) …。 EUおよび共通通貨ユーロという枠

インフラ整備を怠ってきたツケ~自然災害大国が公共事業バッシングで滅びる~

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台風15号 の被害により、 日本が20年近くインフラ整備を怠ってきた ツケ が 一気に回ってきているように思えます。 【老朽インフラ、日本の岐路に 台風で停電、復旧あと2週間 送電網や道路橋、更新コスト重く】 https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190914&c=DM1&ng=DGKKZO4982085013092019MM8000 大規模停電を引き起こした台風15号は生活インフラが抱える災害リスクを浮き彫りにした。なお17万戸が停電し影響はライフラインに広がる。1970年代に整備が進んだ送電施設は更新時期が迫り老いるインフラは道路などにも共通する課題だ。 国と地方を合わせた借金が1千兆円と財政が厳しく社会保障費も膨らむなか、巨額投資によりインフラをどこまで維持していくか、重い判断が迫られる。 台風15号が首都圏を直撃した9日以降、千葉県南部を中心に停電が続く。東京電力パワーグリッドは13日夜、東京都内で記者会見し、「今後、2週間以内におおむね復旧見込み」と発表した。 同社は当初、11日に全面復旧するとの見通しを発表していたが、会見で「過去の被害規模から過小な想定をしてしまった。複雑な難工事に直面している」と釈明した。房総半島の送電網は山林に張り巡らされており、倒木によって大規模に損傷しているという。 台風による被害は広範囲に及び、停電の全面復旧は時間がかかる傾向にある。2018年に関西を襲った台風21号の被害は、全面復旧まで17日間を要した。 停電はライフライン全体に影響を及ぼした。携帯電話の電波を飛ばす基地局が多くの場所で機能せず、スマートフォンの電源も確保できなくなったため、11年の東日本大震災の際には避難所や支援物資の情報共有で力を発揮したSNS(交流サイト)の効果も限定的なものになった。市役所などに設置された充電設備には電源を求める人で長蛇の列ができた。 被害が広がった背景として、想定外の強風に加え、送電設備の老朽化も指摘されている。送電線の鉄塔は70年代に建てられたものが大部分を占める。倒壊し、10万戸の大規模停電につながった千葉県君津市の鉄塔は72年に完成したものだった。 …(後略) …。 こうした災害が発生し、大

「異次元緩和」が終了~もう、日銀だけに頼らず政府は財政拡大を!~

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黒田総裁が率いる日本銀行が、2013年4月以降に開始した、 いわゆる 「異次元緩和」 が先日、終了しました。 【日銀、「異次元」の国債購入終了 黒田緩和前の水準に ピーク時の3割に縮小】 https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190912&c=DM1&ng=DGKKZO4970040011092019EN2000 日銀の長期国債の年間購入額が、2013年4月に異次元金融緩和を始める前の水準にほぼ戻ってきた。 19年8月末の長期国債保有額は1年前と比べて約24兆円の拡大にとどまり、13年4月末時点の年間増加額(約25兆円)を下回った。ピーク時の3割程度への縮小だ。中央銀行の歴史に残るとの見方もあった「異次元」の巨額国債買い入れは、いったん終わった。 日銀は黒田東彦総裁の下で異次元緩和を始めたとき、年約50兆円ペースに向けた長期国債の購入増額に着手した。14年の追加緩和で約80兆円とした。白川方明前総裁時代の13年1~2月期には年23兆円程度のペースだったので、文字通り異次元だった。 だが次第に政策の持続性に疑問が指摘されるようになった。 そこで16年9月に決めたのが緩和策の軸足を「資金供給」から「長短金利操作」に移す措置だ。長期国債は長期金利(10年物国債利回り)を「ゼロ%程度」に誘導するのに必要な額だけ買えばよくなり、減額への道が開かれた。「ステルス(隠密な)緩和縮小」と呼ばれたこの路線を3年続け、 ついに異次元緩和前の購入額にほぼ戻った。 …(後略) …。 景気回復やデフレ状態からの脱却など、名ばかりである今日この頃ですが、 なんだか、その責任は日銀にあるかのような雰囲気が世間にある気がします。 日銀が今回、国債の購入額を減らさざるを得ないのはしょうがありません。 なぜなら、 政府が国債発行を減らしているため、 そもそも市場にある国債のそこが見えてきているから です。 また、景気回復やデフレ脱却は日本銀行の金融緩和だけでは実現できません。 日本銀行による 金融緩和はあくまでも、 民間銀行の企業への融資可能な額を拡大するだけであって、 融資自体を拡大させることはできない からです。 ではなぜ

迫る「大倒産時代」~市場原理を絶対視すれば中小・零細企業が壊滅する~

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政府による中小・零細企業支援法の終了など、 様々な要因が重なり、 「大倒産時代」 が迫りつつあるようです。 【恐るべき「大倒産時代」が到来中の日本で、これから起きること】 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/67115 …(前略) 東京商工リサーチがまとめた2018年の倒産件数は8235件と10年連続で前年を下回り、過去30年で3番目に低い水準となった。日本は倒産件数が異様に少ない「無倒産」社会となっているが、その直接的な原因は、2009年に導入された中小企業金融円滑化法である。 この法律は、銀行が、資金繰りが厳しくなった中小企業から返済条件の変更を求められた場合、金利の減免や返済期限の見直しに応じなければならないというものである。この法律が存在していたことで、銀行は仮に融資先の経営が苦しくなった場合でも、安易に資金を引き上げることができなかった。 日本は長期間にわたって消費が低迷しており、中小企業の経営環境はむしろ悪化しているが、銀行は政府の意向によって無条件で融資を継続してくれる。先行きが不透明であるにもかかわらず、資金繰りに窮することはないという、ある種のぬるま湯状態が続いていたわけだが、この状況に終止符を打つきっかけとなったのは、皮肉にも量的緩和策がもたらした異様な低金利だった。 銀行は低金利が長期にわたって継続したことで、利ざやが稼げなくなっており、メガバンク各行の収益力は大幅に低下した。手数料収入の強化や海外進出などで収益源の多角化を図ってきたが、そろそろ限界となりつつある。メガバンクは、極めて重い人件費と店舗網の維持コストに耐えられなくなり、数万人規模のリストラ計画を表明。経営体質のスリム化に乗り出した。 地方銀行の状況はさらに厳しく、各行は規模拡大を目指して経営統合を進めている最中だ。主要行の経営統合は一段落しつつあり、今後は、統合効果を顕在化させるため、コスト削減を本格化させることになるだろう。 こうした中、今年の3月、とうとう金融庁に対する報告義務がなくなり、中小企業金融円滑化法に関するすべての施策が終了した。 円滑化法に関する施策が終了したことと、メガバンクが前代未聞の大リストラに乗り出したこと、そして、地方銀行の統合が一段落したことが、同じタイミ

世界中が「日本化」する~需要縮小で貸し出し先が減り、国債金利が暴落へ~

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世界の主要国が発行する 債券の金利低下 が著しいです。 何と、金利がマイナス圏に達した債券は全体の4分の1に達しているようです。 チャートは語る 水没する世界の金利 債券の4分の1、マイナス圏 欧米で「日本化」懸念 https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190908&ng=DGKKZO49557550Y9A900C1MM8000 マイナス金利(総合2面きょうのことば)の拡大が止まらない。利回りがマイナスの債券の残高は世界で約17兆ドル(約1800兆円)と年初から2倍になり、いまや全体の約4分の1を占める。世界的に景況感が悪化し、金融緩和がさらに進むとみられているためだ。欧州では金利がマイナスの住宅ローンまで登場。「金融システムや経済に悪影響を与える」として過度の低金利を問題視する声が増えている。 債券を金利収入と満期時に戻る元本の合計額を超える高値で買うと、利回りはマイナスになる。貸し手が金利を負担する異常な状態だ。その背後には債券の一段の値上がり(利回りの低下)を見込む短期筋や、お金の置き場が見当たらないとして損失覚悟で債券を買う機関投資家がいる。 金融危機後の2008年12月に、逃避マネーの流入で米短期国債は利回りが史上初めてマイナスになった。12年以降、欧州や日本でマイナス金利政策が広がり、債券のマイナス利回りが定着した。スイスでは残存45年債の利回りまでマイナス圏に「水没」している。 …(後略) …。 見出しの中で、「欧米で『日本化』懸念」とあるのは、 我が国では1998年に経済がデフレ化して以降、 国債の金利が低迷し続けているからです。 巷では、 「国の借金で破綻する!」 と騒がれながらも、です。 国債の金利が下がる、とはどういうことでしょうか? 当たり前ですが、 国債が多く買われている場合 ですね。 では、なぜ国債が多く買われるのでしょうか? それは、 国債を購入する金融機関が貸し出し先に困っているから です。 金融機関、特に銀行は預金者からお金を預かります。 そのお金は預金者にとってはもちろん資産ですが、 銀行にとっては 負債

めげない藤巻さん~日本の財政破綻を煽るのは自らのビジネス拡大のため?~

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ネット上で 「オオカミ少年!」 と揶揄されながらも、 めげずに日本の財政破綻論を主張する 藤巻健史 さん。 またもや同様の内容で講演をされています。 【「いつか日本経済はクラッシュする」 “オオカミ少年”と呼ばれても藤巻健史がめげないわけ〈週刊朝日〉】 https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190908-00000001-sasahi-bus_all 「日本の経済は世界でもダントツのビリ成長。やはり成長する国の資産を買っていかなければなりません」  9月7日に都内であった個人投資家向けのイベント「みんなのお金フォーラム2019」で、“伝説のディーラー”と呼ばれた藤巻健史さんはこう訴えた。  数百人の聴衆を前に講演した藤巻さんは、日本という国は安全だし自然も豊かで大好きだとしつつ、海外への投資が「リスクヘッジ」になると強調した。 「個別にどの株が上がるのかではなく、日本の経済がどうなるかを考えて投資しないといけない。全体的に強い国の資産を買うのが原則。自分の財産を海外に移すことは一種の保険です」  こう訴える背景には 日本の財政悪化 がある。国債や借入金などを合計した国の借金は1105兆円に達し、過去最高を更新し続けている。 藤巻さんは早くから日本の財政危機を唱えており、ネット上の一部からは“オオカミ少年”と呼ばれるほど。そう言われても気にならないのは、もはや通常のやり方では借金は返せないという確信があるからだ。 「これだけ借金がたまると尋常な方法では返せない。景気が良くなれば税収も上がると言われるが、国の税収が過去最高になっても60兆円ほど。これから大増税して税収を大幅に増やすのは難しい。できるのは『インフレ税』。インフレは借金をしている人にはラッキーだが、銀行にお金をためている人にはつらい。日本最大の“借金王”は国なので、国民から国へと富が移る。これだけの借金を返すには、 ハイパーインフレ しかないのです」 …(後略) …。 日本の借金、というか 日本政府の負債は100%円建てであり、 通貨発行権を有する日本政府が財政破綻(債務不履行)に陥ることはできません。 あり得ない、のではなく 不可能 なのです。 また、政府は